[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

リベロマイシンA /Reveromycin A

[スポンサーリンク]

reveromycinA.jpg

 リベロマイシンA (reveromycin A)は、放線菌Streptomyces sp. SN-593株から単離されたポリケチド化合物。抗癌活性及び抗骨粗鬆症作用を示す化合物として現在注目を集めている。

  • 歴史・用途

 理化学研究所主任研究員・長田裕之らのグループによって単離されました。もともと癌細胞の増殖抑制活性のある、新規構造の天然物として報告されていました。2006年同じく長田らによって、リベロマイシンAは破骨細胞を選んで細胞死させ、抗骨粗鬆症作用を示すことが突き止められました[1]。ビボ(in vivo)でも効果があるそうです。

 構造的特徴として、スピロケタール部位、多くの不斉炭素中心、トリカルボン酸を有しています。合成化学的にも興味深い化合物とされ、実際、多くの有機合成化学者により化学合成が報告されています。初の全合成は当時理研の中田忠主任研究員らにより達成[2]されています。

 

  • 関連文献
[1] Osada, H. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2006, 103, 4729. DOI:10.1073/pnas.0505663103
[2] Shimizu, T.; Masuda, T.; Hiramoto, K.; Nakata, T. Org. Lett. 2000, 2, 2153. DOI: 10.1021/ol0060634

  • 関連書籍
  • 関連リンク

長田抗生物質研究室(理研)

骨粗鬆症の骨の破壊をとめる新たな治療法を確立 (理研プレスリリース)

がんの増殖を抑え、破骨細胞をころすリベロマイシンA (理研パテント情報)

東京理科大学 中田研究室

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. スピノシン spinosyn
  2. カイニン酸 kainic acid
  3. ヘロナミドA Heronamide A
  4. ディスコデルモライド /Discodermolide
  5. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無電解めっきの原理編~
  6. ソラノエクレピンA (solanoeclepin A)
  7. アデノシン /adenosine
  8. キセノン (xenon; Xe)

注目情報

ピックアップ記事

  1. 春日大社
  2. 国際化学オリンピックで今年も好成績!
  3. フラスコ内でタンパクが連続的に進化する
  4. (+)-2,2′-メチレンビス[(3aR,8aS)-3a,8a-ジヒドロ-8H-インデノ[1,2-d]オキサゾール] : (+)-2,2′-Methylenebis[(3aR,8aS)-3a,8a-dihydro-8H-indeno[1,2-d]oxazole]
  5. 福山還元反応 Fukuyama Reduction
  6. 先端の質量分析:GC-MSおよびLC-MSデータ処理における機械学習の応用
  7. カーボンナノチューブ /carbon nanotube (CNT)
  8. マテリアルズ・インフォマティクスの基礎
  9. 三次元アクアナノシートの創製! 〜ジャイロイド構造が生み出す高速プロトン輸送〜
  10. フラーレンの“籠”でH2O2を運ぶ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年11月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP