[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

書物から学ぶ有機化学 2

[スポンサーリンク]

 

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

関東は暑い日が続いていますが、冷房は極力ひかえ、節電に徹しましょう。

さて、書物から学ぶ有機化学の2回目を書かせていただきます。

 

 

生物とは何か、という問いに向かって、筆者の体験談とともに少しずつ語られていく、とてもわかりやすい本です。当然ながら生物学的なお話が多いですが、あまり生物学に精通していない方のほうが楽しめる本かもしれません。

近年、生物の機能を模倣した分子マシンの研究が盛んですが、果たして生物は巧妙に設計された分子マシンのようなものなのでしょうか?以下、一部引用させていただきます。

分子機械の部品をひとつだけ働かないようにして、そのとき生命体にどのような異常が起きるかを観察すれば、部品の役割をいい当てることができるだろう。

私は膵臓のある部品に興味を持っていた。この部品の情報だけをDNAから切り取って、この部品が欠損したマウスを作った。このマウスを育ててどのような変化が起っているのかを調べれば、部品の役割が判明する。

(略) なにごとも起らなかった。どこにもとりたてて異常も変化もない。私も最初は落胆した。もちろん今でも半ば落胆している。しかしもう半分の気持ちでは、実は、ここに生命の本質があるのではないか、そのようにも考えてみられるようになってきたのである。

なるほどと思うと同時に、私たち化学者はどこまで生命の神秘を解き明かすことができるのだろうか、なんてことを考えてしまう今日この頃であります。

 

らぱ

投稿者の記事一覧

現在、博士課程にて有機合成化学を学んでいます。 特に、生体分子を模倣した超分子化合物に興味があります。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 有機合成化学協会誌2020年2月号:ナノポーラス スケルトン型金…
  2. 好奇心の使い方 Whitesides教授のエッセイより
  3. 落葉の化学~「コロ助の科学質問箱」に捧ぐ
  4. 【2分クッキング】シキミ酸エスプレッソ
  5. 白リンを超分子ケージに閉じ込めて安定化!
  6. 製造業の研究開発、生産現場におけるDX×ノーコード
  7. 第39回ケムステVシンポ「AIが拓く材料開発の最前線」を開催しま…
  8. 648個の誘導体を合成!ペプチド創薬の新手法を開発

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 渡辺化学工業ってどんな会社?
  2. 化学者の単語登録テクニック
  3. 京都の高校生の学術論文が優秀賞に輝く
  4. アーサー・C・コープ賞・受賞者一覧
  5. ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:Bis(triphenylphosphine)palladium(II) Dichloride
  6. 第94回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part III
  7. 温故知新ケミストリー:シクロプロペニルカチオンを活用した有機合成
  8. 風力で作る燃料電池
  9. 有機反応を俯瞰する ー付加脱離
  10. “秒”で分析 をあたりまえに―利便性が高まるSFC

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する

第602回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科 塩谷研究室の中島 朋紀(なかじま …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP