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理系女性の人生設計ガイド 自分を生かす仕事と生き方

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2021年5月に刊行されたばかりの書籍をご紹介します。進路選択やキャリア形成の参考になれば幸いです。つい先日公開された記事も参考になると思うので、合わせてご覧ください。

概要

理系の学部出身の女性は増えているとはいえ、理系であることを生かして活躍する女性はまだ少数派で、その実態はあまり知られていなことも。そんな「リケジョ」はどんな場所でどのような仕事をして、どのようなプライベートライフを送っているのか、先輩リケジョ達の体験やリケジョを取り巻く環境がどうなっているかを、レポートします。(引用:Amazon

対象

  • 進路選択に迷っている理系の女子高校生〜女子大学院生
  • 自分のキャリアを模索している理系女性

女性に限らず、理系女性を取り巻く環境を理解するためにも多くの方々に呼んでいただきたい一冊です。

内容

第I部 先輩理系女性たちが歩んできた道

  • 第1章 研究者へと導いてくれた、多様なロールモデル(大隅典子 東北大学副学長、教授)
  • 第2章 悩みながらたどり着いた「これだ!」という研究(大島まり 東京大学教授)
  • 第3章 ベースの理系を生かしながら、仕事の幅を広げて(山本佳世子 日刊工業新聞社論説委員、編集局科学技術部編集委員)

第II部 大学で、企業で。理系女性のさまざまな活躍の場所

  • 第4章 理系女性のマインドとそれを取り巻く環境
  • 第5章 理系の第一歩、大学選び
  • 第6章 理系の研究と学び方
  • 第7章 理系の研究職、仕事とプライベートはどうなる?
  • 第8章 企業や大学トップの理系女性と、これからのリケジョ

第III部 2人の教授が現在・未来の理系女性を語る

  • 第9章 対談・本当に好きなものを探しながら柔軟な生き方を

第1部では、リケジョの憧れの先輩たちが今までの理系女性人生を語ります。語ってくれるのは、東北大学の副学長で、生命科学分野の研究第一人者である大隅典子さん、東京大学教授で、今注目の流体工学を研究している大島まりさんのお二人。研究者として大切だと感じること、そして女性ならではの苦労話、これからの時代を見すえたアドバイスなど、これから理系を目指す女性、迷っている女性、理系の道を歩み始めた女性、理系女性と一緒に働く人などに参考になることが満載の内容です。また、第2部でさまざまな分野の研究者や企業で活躍する理系女性を取材しまとめている、日刊工業新聞社の論説委員の山本佳世子さんの仕事や理系の能力の活かし方、気持ちの持っていき方なども紹介します。
第2部ではリケジョが中学、高時代から大学、社会人へと進むなかで、どのような困難にあうことがあるのか、どんな悩みを乗り越えて進んでいるのか、といった実態をレポートします。また、時代の変化によって変わってきたことや、逆に変わらないことなどを大学、企業など分野や状況別に解説。女性だからと肩肘張る必要はないとしても、女性だからこそぶつかりがちな壁を知っておくと、慌てず対処できたり、ライフプランを立てやすくなるかもしれません。
大学での研究職、国立研究開発法人などの公的研究機関、企業も化粧品会社やライフサイエンス系のベンチャー企業などいろいろな業種を、また企業と大学両方での経験がある研究者など幅広く、さまざまな実例を紹介します。結婚や子育て、海外での経験とも絡めて、理系女子としての生き方をイメージする一助となる1冊です。(引用:Amazon

感想

「本当に今のままでいいのか」「結婚・出産したらどうなるのか」と、今後のキャリアに対して不安や悩みを感じていた時に、この本に出会いました。本書では、いわゆる”ロールモデル”と呼ばれる様々な分野や立場の理系女性たちが、上記の引用文に記載したように、同じように悩み、挫折を繰り返しながら、どのように試行錯誤して乗り切ったかなど、彼女たちの半生や若い理系女性へのアドバイスなどが詳しく描かれており、「みんな悩んでいるのは同じ。自分も頑張らないと。」と、これからの生き方に対して前向きに捉え、背中を押してくれる一冊だと思います。

第I部では、本書の著者でもある三名の理系女性が、理系の道を究めるまでどのような道を歩んでこられたかがリアルに描かれています。一人目は、東北大学の副学長を務めておられる大隅典子先生です。幼少期のエピソードから始まり、”女子大学院生”が当たり前でない時代や、東北大学医学部初の女性教授を経験する中で、周囲からのネガティブな感情を浴びせられながらも、大隅先生自身の強い精神力や前向きな姿勢に感銘を受けました。そして、研究者として自分にとって大事な部分、自分のオリジナリティを見つけ出して発展させることの大切さ、世代を越えてのネットワーク作りの大切さなどを我々若い世代に訴えかけています。一方で、女性研究者のロールモデルを育成する活動にもご尽力されておられ、東北大学サイエンス・エンジェル(SA)における活動についても詳しく記されています。二人目の大島まり先生は、当時では珍しかった工学の道に迷いなく進まれ、留学、異分野との繋がりを経て、研究者としてのキャリアを歩んでおられます。分野融合の広がりにより変化した理系の概念や理系女子の活躍の場の変化について、工学分野を歩んできた視点から述べられている点も面白いです。「社会は変わるときには物凄く大きな変化が短期間で起こる。やりたいと思うことに挑戦していってほしい。」という最後の言葉にはまさに昨今の社会情勢が当てはまると思います。先が見えないとネガティブにならず、創造的な未来をつくるために何ができるかが試されているような気がしました。一方、近年では理系出身でも様々なキャリアの選択肢が増えており、第I部の三人目で取り上げられている、新聞記者を務めておられる山本佳代子先生もその一人です。「研究職以外の観点から社会に役立つ仕事がしたい」と考えておられる方には良いモデルかもしれません。そして、これからの社会を生き抜く女性に対するアドバイスも詳しく述べられており、「自信」を持つことの大切さや、男女、文理、年齢それぞれの特色を生かして社会を作り上げていくことの大切さを身に沁みて感じました。

第II部冒頭では、理系女性の進路としてどのような働き方があるか、分野別、職種別で詳しく示されています。続く第5章では、女子高校生向けに大学選択の参考になる情報が紹介されています。「生命科学」「理学・工学」に大別される自然科学系の各分野の特徴や最近の動向(2020年ノーベル化学賞の例など)、様々な大学の動向やどのように大学を選べば良いかなどが詳しく書かれており、「どういう分野に向いているのか正直わからない…」という方にとって一つの参考になると思います。また、進路選択を行う高校生を指導する教師の皆さんにも、アドバイスをする際に役立つ情報として読んでみるといいかもしれません。第6章では、女子大生向けに大学四年生で配属される研究室の選び方が紹介されています。研究室選び=マッチングアプリであるかのように指導教員(男性)の選び方がリアルに描かれている点が面白いです。第7章では、理系の職に就いた後の仕事とプライベートがどのようになるか、大学、企業、公的機関を中心に、それぞれの環境の利点や大変な部分、女性活躍支援に関する最近の動向など事細かに記されています。結婚後の姓選びや育児・家事の問題についても触れられていますが、こちらの関連書籍でも、就職は?結婚したら同居?別居?出産や子育てのブランクは?などなどのリアルが赤裸々に述べられています。男性研究者目線からのコメントもありますので、併せて読んでみるといいと思います。第8章では、企業や大学のトップクラスの役職まで上り詰めた理系女性のお話が紹介されています。リーダーを目指す目指さないにかかわらず、努力の仕方や、人との付き合い方、プライベートとの両立の仕方など、参考になる生き方が見えてくる内容です(「言うべきことは言う」という理系女性の頼もしい姿勢を生かして、ぜひ古い体質を打ち破るトップクラスのリーダーを目指してください!書籍より一部引用))。

最後の第III部では、第I部で半生を語られた大隅典子先生、大島まり先生の対談の様子が取り上げられています。2020年ノーベル化学賞の話題、新型コロナウイルス拡大における働き方の変化に関する話題、これからの若い理系女性に期待することなどを語られています。優しい雰囲気のお二人がお話しされている様子は、見ていてこちらも暖かい気持ちになりました。

現在では「女性だから…」といって女性の活躍を阻む場というのは日本においてもかなり少なくなってきているように感じます。テレワークの普及などにより女性の働きやすさというのも改善されてきていると思います。多くの方が心配されているのは、家庭との両立に関する面が大きいのではないでしょうか。長い人生のなかで何かに躓いたときに、色々な分野の理系女性の生の声を聴いて自信につなげるのも非常に有意義なものになるかもしれません。とはいえまだまだ理系女性というのは少数派。近くに話を聞けるロールモデルがなかなか居ない、という方は是非、本書や関連書籍を手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

 

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