[スポンサーリンク]

一般的な話題

学会ムラの真実!?

[スポンサーリンク]

 

研究職の皆さん、暑い日が続いておりますが、秋の学会に向けは準備は順調ですか?私は、初めて行くところが多いので、その町の美味しいものの調査をしっかりしております。さて、学会発表の準備はきちんとやるべきなのですが、今回はその”学会“そのものについて考えてみました。

最近、原子力ムラ、医者ムラ、等、何とかムラという呼び方が増えています。村社会から来ている言葉なのでしょうが、否定的に使われることが多いです。
今回はそんな村社会の一つである、「学会ムラ」について思うところをつぶやいてみます。

同じ分野、近い分野の研究者は,可能な限りお互いの仕事に関して積極的かつ忌憚なき議論をすべきと考えます。

その研究者の集合体が小さいサイズの時は、研究コミュニティーとしてしっかりと機能して、お互いが切磋琢磨してよりよい仕事が増えていくことが期待できます。
しかし、その小さな集合は、次第に大きくなっていきます。そして、研究会が発足し、やがて「学会」として認められるようになります。
学会になれば、必ず年会が行われ、また、学会誌が刊行され、充実した組織になっていきます。こういう発展的なことを考えると、やはり学会という集団は研究者集団には必要であるといえます。
158.jpg

 

しかし現状、この学会の数が多いこと多いこと。日本の中だけでも相当数あるのではないでしょうか?
現在、筆者は5つの学会会員として活動しておりますが、以前入っていたものを合わせると10つくらい。つまりいくつか退会しました。だって内容が重複しているんですから。間引かないとじわじわと会費のみの重荷になっていきます。

また、必然的に研究成果発表会やら委員会やら増えていくので、自身の仕事をする時間がかなり奪われていきます。筆者は人と話すのが大好きなので、このような会合には嬉々として行ってしまいますが、当然その時間は何かを犠牲にして工面するわけです。そうはいっても、誰かが学会運営をやっていくことによって全体が前に進んでいくという意味では、そのような活動は必要なことなのです。

しかし話を元に戻すと、現状は類似学会が多いです。
筆者が関与する生命化学では、
農芸化学会 、生物工学会日本化学会バイオテクノロジー部会・生体機能関連化学部会等がありますが、活動内容はかなりオーバーラップしています。
正直言えば、研究内容をこのいずれかで発表しても,十分に討論してもらえます。ただ、いずれかの学会の構成員もほとんど同じなのです。

比較的近い分野である食品関係では、
食品化学学会食品工学会食品科学工学会
という学会があるようです。学会名だけをみても、重複して会員になっている人もかなり多いのではないでしょうか?

違う学会に行ったら違う人と議論しないと行く意味がかなり薄れます。似たようなメンツ同士で議論しても、次第になあなあになりがちですし。そういうこともあって村社会が醸成されていくのではないでしょうか?次第に、研究のためでなく、「学会のための学会」になっていくわけです。
学会ムラにも平成の大合併を適用してもらいたいところです。

一年に一度、けんか腰でお互いの研究を批判し会える学会にしたいものですね。感情的ではなく。
202.jpg

関連書籍

[amazonjs asin=”4799313991″ locale=”JP” title=”医者ムラの真実 (ディスカヴァー携書)”][amazonjs asin=”4320005791″ locale=”JP” title=”これから学会発表する若者のために -ポスターと口頭のプレゼン技術-“]
Avatar photo

あぽとーしす

投稿者の記事一覧

微生物から動物、遺伝子工学から有機合成化学まで広く 浅く研究してきました。論文紹介や学会報告などを通じて、研究者間の橋掛けのお手 伝いをできればと思います。一応、大学教員で、糖や酵素の研究をしております。

関連記事

  1. ご長寿化学者の記録を調べてみた
  2. 大学院生のつぶやき:UCEEネット、ご存知ですか?
  3. 産学それぞれの立場におけるマテリアルズ・インフォマティクス技術活…
  4. 天然の保護基!
  5. 2005年ノーベル化学賞『オレフィンメタセシス反応の開発』
  6. OIST Science Challenge 2022 (オンラ…
  7. 薬が足りない!?ジェネリック医薬品の今
  8. 化学系スタートアップ2社の代表が語る、事業の未来〜業界の可能性と…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学系ブログのインパクトファクター
  2. 分子形状初期化法「T・レックス」の実現~いつでもどこでも誰でも狙った場所だけ狙ったタイミングで~
  3. ウォーレン有機合成: 逆合成からのアプローチ
  4. シャンカー・バラスブラマニアン Shankar Balasubramanian
  5. 【エーザイ】新規抗癌剤「エリブリン」をスイスで先行承認申請
  6. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Synthesis
  7. LG化学がグローバルイノベーションコンテストを開催へ
  8. 【産総研・触媒化学研究部門】新卒・既卒採用情報
  9. 国際化学オリンピック2022日本代表決定/化学グランプリ2022応募始まる
  10. 化学産業のサプライチェーンをサポートする新しい動き

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

【産総研・触媒化学研究部門】新卒・既卒採用情報

触媒部門では、「個の力」でもある触媒化学を基盤としつつも、異分野に積極的に関わる…

触媒化学を基盤に展開される広範な研究

前回の記事でご紹介したとおり、触媒化学研究部門(触媒部門)では、触媒化学を基盤に…

「産総研・触媒化学研究部門」ってどんな研究所?

触媒化学融合研究センターの後継として、2025年に産総研内に設立された触媒化学研究部門は、「触媒化学…

Cell Press “Chem” 編集者 × 研究者トークセッション ~日本発のハイクオリティな化学研究を世界に~

ケムステでも以前取り上げた、Cell PressのChem。今回はChemの編集…

光励起で芳香族性を獲得する分子の構造ダイナミクスを解明!

第 654 回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 協奏分子システム研究セ…

藤多哲朗 Tetsuro Fujita

藤多 哲朗(ふじた てつろう、1931年1月4日 - 2017年1月1日)は日本の薬学者・天然物化学…

MI conference 2025開催のお知らせ

開催概要昨年エントリー1,400名超!MIに特化したカンファレンスを今年も開催近年、研究開発…

【ユシロ】新卒採用情報(2026卒)

ユシロは、創業以来80年間、“油”で「ものづくり」と「人々の暮らし」を支え続けている化学メーカーです…

Host-Guest相互作用を利用した世界初の自己修復材料”WIZARDシリーズ”

昨今、脱炭素社会への実現に向け、石油原料を主に使用している樹脂に対し、メンテナンス性の軽減や材料の長…

有機合成化学協会誌2025年4月号:リングサイズ発散・プベルル酸・イナミド・第5族遷移金属アルキリデン錯体・強発光性白金錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年4月号がオンラインで公開されています!…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP