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「産総研・触媒化学融合研究センター」ってどんな研究所?

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2013年に産総研内に設立された触媒化学融合研究センターは、「触媒化学」を中心に据えつつ、他分野と「掛け算」することで、新たな価値を産み出す研究に注力しています。メインプレイヤーは30~40代の若手~中堅世代であり、所内生え抜き人材から元・大学教員まで、多様なバックグラウンドの人材が集っています。

「触媒」の革新から社会課題の解決を目指す

「触媒」は化学品製造におけるキーテクノロジーです。
産業技術総合研究所・触媒化学融合研究センター(以下、触媒センター)では、触媒化学を中心に据えつつ、他分野との融合を果たし、新たな価値を産み出すための研究に注力しています。持続可能な開発目標(SDGs)やグリーントランスフォーメーション(GX)の達成に貢献する革新的触媒の開発や、基礎化学品・機能性化学品の新規製造法の提案などがその好例です。
産総研は、経産省管轄の国立研究開発法人です。文科省管轄の理研や物材機構と比べると、研究テーマの自由度が低いイメージを持たれる方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし触媒センターでは、社会課題の解決に繋がるならば、学術的な基礎研究から社会実装を志向した応用研究まで、幅広い研究について比較的自由に取り組むことができる環境にあります。

 

若手~中堅世代がメインプレイヤー

触媒センターのメインプレイヤーは「30~40代前半の若手~中堅世代」であり、所内生え抜き人材はもちろんのこと、元・大学教員の研究者が多いことも特徴です。このため、学術的にも高いレベルで研究ディスカッションができる環境にあります。加えて所属する研究者には、一つのテーマに絞って特化するのではなく、2つ以上の異なるテーマを掛け持ちする形で、過去に関わっていなかった分野との融合研究――たとえば固定化触媒の開発やバイオマス資源利用反応の開発、フロー化学、高分子分解、AIとの融合や企業連携など――に携わることを積極的に奨励しています。
この運営方針・環境・人材が産み出すアクティビティの高さは、数々の大型研究費獲得実績などにも反映されています。
博士課程の学生さんはもちろん、進路に悩む若手研究者の方の就職先の一つに、触媒センターがなり得ることを知っていただければ幸いです。
触媒センター所属の若手研究者による成果は、過去ケムステにも取り上げられていますので、こちらも併せてご参照ください。

 

触媒センターの企業連携

触媒センターが中心となって先導する形で、様々な企業連携が進められています。以下に代表例を示します。

FlowSTコンソーシアム」は、これまでフラスコや反応容器の中(バッチ反応)で行われていた精密合成化学を、連続的に省スペースで行なう為の手法「フロー化学」へと転換させ、実用化を目指すために産官学の連携の場を持つことを目的としたコンソーシアムです。これまでに120社以上の法人が参画頂いています。

NEDOグリーンイノベーション基金事業」は、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする”カーボンニュートラル”の実現を目指すべく、CO2の変換などをはじめとする企業との共同研究を積極的に推進するものです。

「DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボ(DIC冠ラボ)」は、サステナビリティに資する資源循環型機能材料の開発を目指す連携研究室です。産総研からはエース級の研究者が、企業からは出向研究者が一つ屋根の下で過ごし、緊密な連携による事業化検討を進めています。

 

産総研・触媒化学融合研究センターの基本情報

会社名 産業技術総合研究所・触媒化学融合研究センター
本社所在地 〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 中央5群
事業所 <本体>
つくば中央五群
<連携先>
食薬資源工学オープンイノベーションラボラトリ(FoodMedOIL)
DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボ
つくばデジタルバイオ国際拠点
フロー精密合成コンソーシアム
生物資源と触媒技術に基づく食・薬・材創生コンソーシアム
ネットワーク型共同利用・共同研究拠点「触媒科学計測共同研究拠点」(北海道大学、大阪公立大学)
事業内容 SDGs達成に貢献する革新的触媒の開発、基礎化学品および機能性化学品の新規製造法の提案。社会課題の解決と産業競争力強化に貢献する、触媒およびプロセス技術の開発。
<戦略課題>
【ケイ素化学技術】
【革新的酸化技術】
【官能基変換技術】
【ケミカルリサイクル技術】
【バイオプラスチック標準化】
【製造プロセス技術】
設立/創立 2013年4月1日
従業員数 約210名 (うち常勤職員43名)
ホームページ https://irc3.aist.go.jp/

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