[スポンサーリンク]

ケムステニュース

新規糖尿病治療薬「DPPIV阻害剤」‐熾烈な開発競争

[スポンサーリンク]

リン酸シタグリプチン


副作用が少ない新規糖尿病治療薬として期待されているジペプチジル・ペプチダーゼ(DPP)IV阻害剤の国内開発が本格化し、製薬各社はしのぎを削っている。海外で開発を先行させていたキョーリンと田辺製薬がそれぞれ国内で臨床入りさせた。既に、武田薬品や三菱ウェルファーマ、ノバルティスファーマなどが開発を進めており、今後、国内でのDPPIV阻害剤の開発競争が激化するものとみられる。

 DPPIV阻害剤は、インスリンの分泌を促すホルモンの一種であるグルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)を分解するDPPIV酵素を阻害することで、インスリン分泌を増やし、血糖値を下げる。GLP‐1には胃排泄能低下作用もあり、GLP‐1の分解を抑制することで血糖上昇が穏やかになる可能性も指摘されている。そのため、従来の糖尿病治療剤に比べ、低血糖などの副作用の発現が少ないとして期待が高い。

 今回国内臨床入りしたのは、田辺は「TA-6666」、キョーリンは「KRP-104」。キョーリンは7月に臨床入り、田辺は臨床入りの時期については明らかにしていない。両社とも、糖尿病を含む代謝性疾患領域を重点領域の一つと位置づけており、開発を加速している(引用:薬事日報)。

?糖尿病の1日1回経口投与剤として開発中の薬剤の開発競争が繰り広げられています。それらはDPPIV阻害剤と呼ばれ、上記に記したような薬効を示します。

現在、国内でその薬に最も近い化合物としてメルクのリン酸シタグリプチン(sitagliptin phosphate)とノバルティスのビルダグリプチン(Vildagliptin)がフェーズIIIにあります。

ビルダグリプチン
?

?海外ではビルダグリプチンはすでに承認申請中です。早ければよいというわけではないですが、このDPPIV阻害剤が現在の糖尿病治療薬に取って代わる可能性があること、また、今後の糖尿病の増加予測により、各社とも必死で開発をおこなっています。


Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 不斉触媒研究論文引用回数、東大柴崎教授が世界1位
  2. 旭化成ファインケム、新規キラルリガンド「CBHA」の工業化技術を…
  3. 自転車泥棒を臭いで撃退!?「スカンクロック」を考案
  4. 石テレ賞、山下さんら3人
  5. 製薬各社 2010年度 第3四半期決算を発表
  6. 第38回有機金属若手の会
  7. 続々と提供される化学に特化したAIサービス
  8. 「薬学の父」長井博士、半生を映画化へ

注目情報

ピックアップ記事

  1. フロー合成と電解合成の最先端、 そしてデジタル有機合成への展開
  2. ベティ反応 Betti Reaction
  3. 低温低圧・常温常圧窒素固定の反応開発 最新情報サマリー その1
  4. SNSコンテスト企画『集まれ、みんなのラボのDIY!』~結果発表~
  5. (+)-Pleiocarpamineの全合成と新規酸化的カップリング反応を基盤とした(+)-voacalgine Aおよび(+)-bipleiophyllineの全合成
  6. デュアルディスプレイDNAコード化化合物ライブラリーの改良法
  7. 薬の副作用2477症例、HP公開始まる
  8. プレプリントサーバー:ジャーナルごとの対応差にご注意を【更新版】
  9. ジョーンズ酸化 Jones Oxidation
  10. 書籍「Topics in Current Chemistry」がジャーナルになるらしい

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年12月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2025年6月号:カルボラン触媒・水中有機反応・芳香族カルボン酸の位置選択的変換・C(sp2)-H官能基化・カルビン錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年6月号がオンラインで公開されています。…

【日産化学 27卒】 【7/10(木)開催】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 Chem-Talks オンライン大座談会

現役研究者18名・内定者(26卒)9名が参加!日産化学について・就職活動の進め方・研究職のキャリアに…

データ駆動型生成AIの限界に迫る!生成AIで信頼性の高い分子設計へ

第663回のスポットライトリサーチは、横浜市立大学大学院 生命医科学研究科(生命情報科学研究室)博士…

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その2

Tshozoです。前回はMDSについての簡易な情報と歴史と原因を述べるだけで終わってしまったので…

水-有機溶媒の二液相間電子伝達により進行する人工光合成反応

第662回のスポットライトリサーチは、京都大学 大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部竜研究…

ケムステイブニングミキサー 2025 報告

3月26日から29日の日本化学会第105春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!運営に…

【テーマ別ショートウェビナー】今こそ変革の時!マイクロ波が拓く脱炭素時代のプロセス革新

■ウェビナー概要プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波…

予期せぬパラジウム移動を経る環化反応でベンゾヘテロールを作る

1,2-Pd移動を含む予期せぬ連続反応として進行することがわかり、高収率で生成物が得られた。 合…

【27卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体験していただく場…

熱がダメなら光当てれば?Lugdunomycinの全合成

光化学を駆使した、天然物Lugdunomycinの全合成が報告された。紫外光照射による異性化でイソベ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP