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香りの化学1 |
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世の中にはたくさんの「香り」がある。 花の香り、食べ物の香り、体臭などの天然のものや香水、合成香料などの人工的なにおいまでさまざまな香りがある。 それでは、今回はまずこれらの「香り」というものはどのようなものであるか?ということと、化学構造との関係を説明し、「香りの化学2」で有機合成化学の分野である「合成香料」について合成法、利用などをあげてみよう。
▼ 香料とはなにか?
「香料」(Perfumery Materials)とは一言でいうと「におい」を与える物質である。「におい」とは揮発性物質が鼻膣の中の嗅細胞を刺激したときに起こる感覚(嗅覚)であることは明らかではあるが、その機構はまだ完全には解明されていない。「香料」といえば快いにおいをあたえる物質だけでなく、不快なにおいを持つ物質に対しても、ある目的をもって使用しているものなら香料といえる。 香料に当たる外国語は、perfume(英)、parfum(仏)、das Parfum(独)、profumo(伊)などであるがいずれもラテン語のPer Fume (through smoke 煙によって)に由来している。理由は昔からにおいの良い香木や香脂を燃やして香るの良い煙を天に昇らせ、清浄な、神にささげるにふさわしい落ち着いた雰囲気を作ろうとするという試みが、洋の東西を問わず広く行われてきたことからであるといわれている。
▼ 香料の分類
図1に示す
図1香料の分類
▼ においと化学構造
においを構成する有機化合物は、炭素と水素からだけではなく、酸素や窒素、硫黄なども含んでいます。 においがなぜ感じるかということや、化学構造との関係については昔から多くの説が出されているがいまだ定説はない。有機化合物の化学的性質と化学構造との間に関連があることは、有機化学の成果から明らかであり、また多くの薬理作用や物理的性質も化学構造に関連しているようである。 しかし、においの問題となると多くの努力がなされてきたにかかわらず、現在のところ化学構造とにおいを単純に系統付けることはできない。 だが、簡単な化合物については、ある程度系統づけられている。 においは官能基の種類、幾何異性体、官能基の位置、光学活性体によって異なってくる。
a,官能基とにおい
分子量の小さい化合物においてはそれぞれ官能基の種類によって、アルコール臭、エステル臭、アルデヒド臭という感じににおいが分類できる。 例えばエステル類(図2−1)は、そのほとんどが軽い果実のような匂いを持っている。そのほかにもα-ジケトン(ケトンを分子内に二つ持っている化合物。図2−2)は、カラメルよう香気といわれる、砂糖の焦がしたような甘い匂いを持っている。
図2−1エステル類 図2−2α−ジケトン
b,幾何異性体とにおい
幾何異性体にもにおいが関連している。たとえばジャスミンの花から取れるジャスモンという化合物にいえる。(図3)
図3 cis-ジャスモン(左)とtransジャスモン
この物質ではcis-ジャスモンの方がtrans-ジャスモンに比べてはるかににおいが強くジャスミン香気がある。ジャスミンの花から単離されたのもcis-ジャスモンです。一方trans-ジャスモンの方はシス体に比べて脂肪臭があるので、香料としては、あまり利用価値がありません。 一般に、植物中から単利された化合物は、シス体に比べて脂肪臭があるので比較的シス体の方が優れている。 ただし、例外もあってバラの花から単離されたゲラニオールという化合物は、トランス体であるし、すみれの花の香りのするヨノンという化合物も二重結合はトランス体である。
図4 ゲラニオール(左)とヨノン(右)
c、官能基の位置とにおい
官能基自身や、二重結合そのものが、においに大きな影響を与えているわけですが、におい分子の中における官能基や、二重結合の位置がにおいに与える影響も興味深いものがある。 例えばバラの花から取れる精油のなかで65〜80%の成分比を占める、βフェニルエチルアルコールという化合物があるのだが、このアルコールの位置が異なったα-フェニルエチルアルコールという化合物は、バラの花からは程遠いにおいがします。(図5)
図5 βフェニルエチルアルコール(左)とα-フェニルエチルアルコール(右)
また、ラズベリーから取れる成分にラズベリーケトンと呼ばれる化合物があるのだが、この化合物も、官能基の位置の異なった異性体化合物では、ラズベリーの味も香りもなくなってしまいます。
d、光学異性体とにおい
光学異性体でもにおいは異なる。その有名な例としてメントールという化合物がある。メントールははっかの味と香りのする化合物です。(図6)
図6メントール(左)とL−メントール(右)
そしてこのメントールには3つの不斉炭素があるので、23=8個の光学異性体が存在する。 8種類の異性体のうち、天然のハッカからとれるのは、L-メントールと呼ばれる化合物だけである。これは他の光学異性体に比べて、強い匂いと長時間持続する清涼感がある。 また、その他にも、グレープフルーツから単離され、非常に強いグレープフルーツの香りのする、ヌートカトンろいう化合物(図7)があるのだが、これについてもメントールと同じく、分子内に3つの不斉炭素を持っているので、8種類の光学異性体がある。天然のグレープフルーツから単離された異性体以外は、グレープフルーツの味と香りは劣るし、まったくグレープフルーツの香りすらない異性体もある。
図7(+)-ヌートカトン
このように、単に香料、においといっても実際は深く、まだかなりブラックボックス的なものが多い。 ここに紹介したものは例であって、まだまだ様々な性質、においをもった化合物はたくさんある。 興味を持った人は、参考文献やその他の本や論文で勉強してみよう。 それでは、「香りの化学2」でこれらの香料の合成方法について考えてみよう!
有機って面白いよね!! ( 2000/8/5 by ブレビコミン)
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