[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

竜田 邦明 Kuniaki Tatsuta

[スポンサーリンク]

竜田邦明(Kuniaki Tatsuta, 1940年12月1日- 大阪生まれ)は、日本の有機合成化学者である。早稲田大学 栄誉フェロー・名誉教授。

経歴

1968         慶応義塾大学大学院工学研究科博士課程修了、工学博士
1969         慶大工 助手
1973         慶大工 専任講師
1973         米国Harvard大学 客員研究員(Prof. R. B. Woodward)1976年まで
1977         慶大工 助教授
1985         慶大理工 教授
1985        英国 Cambridge大学 客員教授
1988-       早稲田大学大学院理工学研究科 教授
1994         仏国 Sorbonne大学(Paris VI大学)客員教授
1997         早稲田大学理工学部応用化学科 教授 (2006年9月理工学術院に改組, 2011年まで)
2004        科学技術振興機構 研究主監(2011年まで)
2004        早稲田大学大学院理工学研究科長(2006年まで)
2006        英国 Oxford大学 客員教授
2006        早稲田大学高等研究所 所長(2010年まで)
2010        日本化学会筆頭副会長(2012年まで)
2011-       早稲田大学 栄誉フェロー(第一号)・名誉教授

受賞歴

1986        日本化学会 学術賞受賞
1988        日本抗生物質学術協議会 住木・梅澤記念賞受賞
1991        大河内記念賞受賞
1998        有機合成化学協会賞受賞
2001        日本化学会賞
2002        紫綬褒章
2008        藤原賞
2009        日本学士院賞
2010        日本化学会名誉会員
2013        有機合成化学特別賞
2013        米国化学会賞(The Ernest Guenther Award)(天然物化学)

研究

四大抗生物質の全合成

糖質を不斉炭素源として、四大抗生物質:アミノグリコシド系抗生物質(カナマイシン、アプラマイシン類)、β-ラクタム系抗生物質(チエナマイシン)、マクロライド系抗生物質(オレアンドマイシン、カルボマイシン、ロイコマイシン、タイロシン、リファマイシン類など)、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン)の全合成を完成。

有用な生物活性物質の全合成

現在まで、上記以外に酵素阻害剤、神経系作用物質を含め、102種の天然物の全合成を完成。その内、95種については、 First Total Synthesis である。Sir Derek Bartonをはじめ、国際会議等で度々“Dr. Total Synthesis”と紹介される。

医薬品の工業的製法の開発・実用化

制がん抗生物質として、THP-アドリアマイシン(ピラルビシン)や抗糖尿病薬、抗生物質などを開発・実用化。その他、β-ラクタム系抗生物質の工業的合成研究を含め医薬品等の原料および中間体の工業的合成法の開発も。

コメント&その他

  1. 国際化学オリンピック日本大会の科学委員会委員長も歴任された。
  2. 学界を先進する卓越した研究業績を上げ、社会的に極めて高い評価を受けて退職した早稲田大学専任教職員である「栄誉フェロー」の終身称号、第一号である。
  3. 合成法のアイデアを練るときは,徹夜をすることが多いらしい。

名言集

  • 「きみの名前がなんとかマイシンだったら,覚えられるんやけどな~」(サムワンより)
  • 「有機合成の研究はいわば格闘技です。化合物は何も言いませんから、最初は化合物に殴られ通しです。ところが、ある瞬間から相手の性質がわかり、攻守ところを代えて攻めに転ずることになる。その瞬間が楽しくて格闘しているんですね」(早稲田塾より)
  • 「研究対象は無生物ですが、それだけに研究者が誠心誠意心を込めないと答えは返ってきません。相手からは何も答えてくれませんから、真摯な問いかけが大切になります。それらは普段の人との接し方にもかかわってきます」(早稲田塾より)

 

関連動画

竜田邦明教授 第99回日本学士院賞受賞インタビュー

 

関連文献

  1. Synthesis of Carbomycin B. Introduction of the Amino Disaccharide onto the 16-Membered-ring Aglycone. Tatsuta, K.; Tanaka, A.; Fujimoto, K.; Kinoshita, M.; Umezawa, S. J. Am. Chem. Soc., 1977, 99, 5826-5827. DOI: 10.1021/ja00459a063
  2. A New, Stereocontrolled Synthesis of cis,anti,cis-Tricyclo[6.3.0.0/2,6]undecanes. Total Synthesis of racemic-Hirsutene. Tatsuta, K.; Akimoto, K.; Kinoshita, M. J. Am. Chem. Soc., 1979, 101, 6116-6118. DOI: 10.1021/ja00514a043
  3. Total Synthesis of Tylosin. Tatsuta, K.; Amemiya, Y.; Kanemura, Y.; Takahashi, H.; Kinoshita, M. Tetrahedron Lett., 1982, 23, 3375-3378.  DOI: 10.1016/S0040-4039(00)87619-4
  4. The First Total Synthesis of Natural (-)-Tetracycline. Tatsuta, K.; Yoshimoto, T.; Gunji, H.; Okado, Y.; Takahashi, M. Chem. Lett., 2000 , 646-647. DOI: 10.1246/cl.2000.646
  5. The First Total Synthesis of Cochleamycin A and Determination of the Absolute Structure. Tatsuta, K.; Narazaki, F.; Kashiki, N.; Yamamoto, J.; Nakano, S. J. Antibiot., 2003, 56, 584-590.
  6. The First Total Synthesis and Structural Determination of Pyranonaphthoquinone Antibiotic, (+)-BE-52440A. Tatsuta, K.; Suzuki, Y.; Toriumi, T.; Furuya, Y.; Hosokawa, S. Tetrahedron Lett., 2007, 48, 8018-8021. DOI; 10.1016/j.tetlet.2007.09.039
  7. The First Total Synthesis of Hibarimicinone, a Potent v-Src Tyrosine Kinase Inhibitor. Tatsuta, K.;  Fukuda, T.; Ishimori, T.;  Yachi, R.;  Yoshida, S.  Hashimoto, H.;  Hosokawa, S. Tetrahedron Lett., 201253, 422-425. DOI: 10.1016/j.tetlet.2011.11.062
  8. Total Synthesis of Selected Bioactive Natural Products: Illustration of Strategy and Design. Tatsuta, K.; Hosokawa, S. Chem. Rev., 2005, 105, 4707-4729. DOI: 10.1021/cr040630+

関連書籍

[amazonjs asin=”4254140746″ locale=”JP” title=”天然物の全合成―華麗な戦略と方法”]

外部リンク

Avatar photo

ペリプラノン

投稿者の記事一覧

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. クリスチャン・ハートウィッグ Christian Hertwec…
  2. キース・ファニュー Keith Fagnou
  3. ブルクハルト・ケーニッヒ Burkhard König
  4. エリック・ソレンセン Eric J. Sorensen
  5. ニック・ホロニアック Nicholas Holonyak, Jr…
  6. セス・B・ハーゾン Seth B. Herzon
  7. ジョナス・ピータース Jonas C. Peters
  8. F. S. Kipping賞―受賞者一覧

注目情報

ピックアップ記事

  1. アズレンの蒼い旅路
  2. 製薬各社 2011年度 第2四半期決算
  3. 世界初の有機蓄光
  4. 狙ったタイミングで分子を変身させる ―オンデマンドでのイソシアネート生成反応を用いたタンパク質修飾法の開発―
  5. 第158回―「導電性・光学特性を備える超分子らせん材料の創製」Narcis Avarvari教授
  6. 分子光化学の原理
  7. 第32回ケムステVシンポ「映える化学・魅せる化学で活躍する若手がつくばに集まる」を開催します!
  8. 立体障害を超えろ!-「London分散力」の威力-
  9. 日本語で得る学術情報 -CiNiiのご紹介-
  10. 第131回―「Nature出版社のテクニカルエディターとして」Laura Croft博士

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

MDで観るトライボロジー 〜原子が擦れるその場をシミュレーション〜

軽くて強いのに摩耗に弱いチタン合金は、航空機や人工関節に広く使われています。原子が擦れ合うその場を分…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP