[スポンサーリンク]

一般的な話題

荒木飛呂彦のイラストがCell誌の表紙を飾る

[スポンサーリンク]

生物学の米専門誌セルの表紙を「ジョジョの奇妙な冒険」などで知られる漫画家、荒木飛呂彦さんが描いた。7日付同誌に論文を出した瀬藤光利・自然科学研究機構生理学研究所准教授らの成果をイメージしたもので、日本の漫画が著名な学術誌の表紙を飾った。(引用:asahi.com)

 化学とはやや分野が離れますが、話題性抜群なニュースが飛び込んできました。何を隠そう、筆者は大のジョジョファンなのです。 これは・・・取り上げなければならないッッ!!

Cell(セル)誌は、科学系最高峰といわれるNature(ネイチャー)、Science(サイエンス)に匹敵するほどの超一流生物学専門誌です。バイオの世界では、それぞれの頭文字をとって「CNSに何報出しているか?」が簡単な研究者の評価基準にされるほどです。表紙を飾る研究は、編集者が『今号最も注目に価する研究はコレだ!』と選ぶわけですから、権威ある雑誌の表紙に選ばれることは、まさに研究者冥利に尽きることといえるでしょう。

学術誌の表紙には、実験データとして撮られた写真のうちキレイなものや、研究内容に関連したCGが採用されることが一般的です。CGに関しては科学グラフィック作成のプロ(化学領域では例えばサイエンスグラフィック社など)に依頼して描いてもらうこともありますが、多くの研究者はツテもお金も乏しいため、ヘタなりに自分で表紙を描いたり・・・(涙)。

さて、そこにきて荒木飛呂彦の表紙です!! 学術誌に漫画家の描いた表紙が採用されるのは異例中の異例。インパクト抜群です。

瀬藤准教授の研究が素晴らしいからこそこのような表紙が採用された、というのは勿論でしょう。とはいえ学術誌は全世界の研究者が読むものですし、編集サイドもその辺りはちゃんと配慮して表紙を選んでいるはずです。つまりは、日本産の漫画が世界中の人を惹きつけるパワーを持っている、ということの証ともいえるのではないでしょうか。事実、ひとたび外国に足を伸ばせば、日本産の漫画・アニメは異常なまでの人気を誇っていることが分かるはずです(日本で過ごしていると実感が湧きませんが)。

 

子供たちの理科離れが問題になる昨今ですが、この”Japan Cool!”のArtとScienceのコラボレーションが科学に興味を持つ子供たちが増えてくれるきっかけにもなってもらえれば幸いです。 (引用:JSTプレスリリース)

 

エキセントリック過ぎるとも捉えられかねないやり方ですが、こういう風に「閉鎖的になりがちな学術世界から外へアピールすること」も積極的に行っていかねばならない時代になりつつあるのでしょう。筆者などは、

「こ、こういうアピールの仕方もあったのかッ!!俺達に出来ないことを平然とやってのける!そこにシビれるッ!あこがれるゥ!!」

と感嘆した後、このようなやり方を考えもしなかった自分の頭の固さ・発想力の乏しさにむしろヘコみました。ツテを頼ったという話ですが、これを可能とするのは果たしてどんな途方も無いツテなんだ?というのがとりあえず一番知りたいトコですかね個人的には。

肝心の研究内容に関しては、専門知識に乏しいため言及が難しいのですが、脳内のユビキチン・プロテアソーム系に関連する内容のようです。詳しいことは関連リンクなどをご覧ください。

 

関連リンク

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4087205959″ locale=”JP” title=”荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)”]
Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 美麗な分子モデルを描きたい!!
  2. 空気と光からアンモニアを合成
  3. アメリカ化学留学 ”立志編 ー留学の種類ー̶…
  4. 貴金属に取って代わる半導体触媒
  5. マイクロ波プロセスの工業化 〜環境/化学・ヘルスケア・電材領域で…
  6. 自己会合・解離機構に基づく蛍光応答性プローブを用いたエクソソーム…
  7. 近赤外吸収色素が持つ特殊な電子構造を発見―長波長の近赤外光を吸収…
  8. 『Ph.D.』の起源をちょっと調べてみました① 概要編

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学メーカー研究開発者必見!!新規事業立ち上げの成功確度を上げる方法
  2. 美麗な分子モデルを描きたい!!
  3. 研究内容を「ダンス」で表現するコンテスト Dance Your Ph.D.
  4. Purification of Laboratory Chemicals
  5. 白川英樹 Hideki Shirakawa
  6. 製造過程に発がん性物質/テフロンで米調査委警告
  7. テトロドトキシン Tetrodotoxin
  8. 光・電子機能性分子材料の自己組織化メカニズムと応用展開【終了】
  9. ティシチェンコ反応 Tishchenko Reaction
  10. 実験・数理・機械学習の融合による触媒理論の開拓

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP