[スポンサーリンク]

天然物

スピノシン spinosyn

[スポンサーリンク]

スピノシン(spinosyn)は、放線菌由来の二次代謝物の一種であり、農薬として働く。

歴史・用途

放線菌の一種であるSaccharopolyspora spinosaから単離された、二種のデオキシ糖・マクロラクトン環を有する天然物です。スピノシン類はこれまでに20数種類が知られていますが、特にスピノシンAとスピノシンDの混合物はスピノサド(Spinosad)という農薬としてダウ・アグロサイエンス社から販売されています。

スピノサドは、昆虫の神経伝達部位に存在するニコチン性アセチルコリン受容体に作用し、筋けいれんを引き起こして害虫を死に至らしめます。
農薬領域においても、抗生物質と同様に、抵抗性害虫の発生が問題視されています。従来の殺虫系農薬とは異なる作用機序を持つスピノサドは、既存の抵抗性害虫にも効果があります。また、水系への流出度合いも小さく、散布後は光で分解されるため環境負荷の小さい薬物[1]とされています。

関連文献

[1] Green Chem. 2005, 7, 431.

関連リンク

殺虫剤 (Wikipedia日本)

ピレスロイド (Wikipedia日本)

Insecticide (Wikipedia)

Pesticide (Wikipedia)

農薬 (Wikipedia日本)

Incecticide Simplified (Chemistry World)

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アコニチン (aconitine)
  2. ギンコライド ginkgolide
  3. アルゴン (argon; Ar)
  4. ヒストリオニコトキシン histrionicotoxin
  5. クレアチン creatine 
  6. カンプトテシン /camptothecin
  7. ヨードホルム (iodoform)
  8. 虫歯とフッ素のお話① ~どうして歯磨きにフッ素が使われるの??~…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 自己治癒するセラミックス・金属ーその特性と応用|オンライン|
  2. 特許の基礎知識(1)そもそも「特許」って何?
  3. 「フント則を破る」励起一重項と三重項のエネルギーが逆転した発光材料
  4. Carl Boschの人生 その3
  5. 細胞の中を旅する小分子|第一回
  6. 化合物の秤量
  7. 典型元素を超活用!不飽和化合物の水素化/脱水素化を駆使した水素精製
  8. シーユアン・リュー Shih-Yuan Liu
  9. フラグメント創薬 Fragment-Based Drug Discovery/Design (FBDD)
  10. 兄貴達と化学物質+α

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP