[スポンサーリンク]

分光分析

分子光化学の原理

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4621086855″ locale=”JP” title=”分子光化学の原理”]

 

概要

原著は、Nicholas J. Turro, V. Ramamurthy, J. C. Scaianoらによる ”Principles of Molecular Photochemistry”(2008)。有機化学に限らず化学および科学一般を学ぶ読者に取って分かりやすい原理を組み合わせた光化学を紹介している。(本書序文より)

[amazonjs asin=”1891389572″ locale=”JP” title=”Principles of Molecular Photochemistry”]

対象

大学院生以上

 

内容

本書は全七章より構成される。

第一章 有機化合物の分子光化学:概要

最新有機光化学の概観を紹介している。

第二章 電子励起状態における電子状態、振動状態、スピン配置

電子励起状態での、電子、振動、電子スピン構造をゼロ近似した場合、電子や電子スピンは安定核配置に対応したエネルギーを持つ。これをどのように図解化して理解するかを説明している。

第三章 状態間の遷移:光物理過程

有機光化学で出会う”構造”を推定し、始状態から終状態への分子の構造変化、遷移過程、変換過程について説明している。また、これらの状態間遷移とポテンシャルエネルギー曲面により分子の状態が相互変換する過程を効果的且つ具体的に図式化して、分子構造学、動力学、エネルギー学の概念を相互に関連づけて説明している。

第四章 電子状態間の光吸収遷移と発光遷移

電子状態間の光吸収遷移と発光遷移がどのように理解され、分子電子状態や電磁場の構造とどのように定性的・定量的に関連しているかについて説明している。

第五章 発光をともなわない光物理化学過程

“光物理”と呼ばれる励起状態間の遷移と励起状態と基底状態間の遷移について説明している。

第六章 有機光化学の分子理論

光子の吸収により電子励起状態が生じた後に、どのように光化学反応が起こるかの理論的特徴を説明している。光化学初期過程を軌道相関図、軌道状態間の相関図を用いて説明している。

第七章 エネルギー移動と電子移動

電子エネルギー移動と電子移動との軌道相互作用の関係を議論し、各過程に対するいくつかの例を挙げている。

 

解説

有機化合物と光の相互作用によってもたらされる分子構造や動的過程に関する分子レベルの科学、分子光有機化学を本書では扱っている。分子光有機化学は、光と有機分子の相互作用によって引き起こされる光物理過程その後の化学変化をもたらす光化学過程からなる。

本書は光化学関連の参考書の中では、最も内容が充実している。式の導出、スピン状態、分子軌道、分子の構造変化など細かく解説してあるが、やや難易度が高い。本書を読む前に簡単な光化学の本を一冊読み終わっておく必要がある。自分が学んで来た光化学がいかに簡略化された内容であったかを本書を読むと気づかされる。学部での分析化学の延長として光化学を学んで来た者に取っては、まさに目から鱗の内容だと思われる。

 

Avatar photo

ゼロ

投稿者の記事一覧

女の子。研究所勤務。趣味は読書とハイキング ♪
ハンドルネームは村上龍の「愛と幻想のファシズム」の登場人物にちなんでま〜す。5 分後の世界、ヒュウガ・ウイルスも好き!

関連記事

  1. カーボンニュートラルへの化学工学: CO₂分離回収,資源化からエ…
  2. 生体分子反応を制御する: 化学的手法による機構と反応場の解明
  3. 最新有機合成法: 設計と戦略
  4. 有機反応の仕組みと考え方
  5. アルカロイドの科学 生物活性を生みだす物質の探索から創薬の実際ま…
  6. 伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウ…
  7. 2016年1月の注目化学書籍
  8. 2009年8月人気化学書籍ランキング

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2006年度ノーベル化学賞-スタンフォード大コンバーク教授に授与
  2. 第154回―「ランタノイド発光化学の生物・材料応用」Jean-Claude Bünzli教授
  3. ウィッティヒ転位 Wittig Rearrangement
  4. Density Functional Theory in Quantum Chemistry
  5. IGZO
  6. カルボン酸をホウ素に変換する新手法
  7. 第31回「植物生物活性天然物のケミカルバイオロジー」 上田 実 教授
  8. デスソース
  9. 特殊ペプチド Specialty Peptide
  10. 世界の中心で成果を叫んだもの

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年1月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

CIPイノベーション共創プログラム「有機電解合成の今:最新技術動向と化学品製造への応用の可能性」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「有機電解合…

CIPイノベーション共創プログラム「世界を変えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界を変え…

年会特別企画「XAFSと化学:錯体, 触媒からリュウグウまで –放射光ことはじめ」

放射光施設を利用したX線吸収分光法(XAFS)は、物質の電子状態や局所構造を元素選択的に明らかにでき…

超公聴会 2026 で発表します!!【YouTube 配信】

超公聴会は、今年度博士号を取得する大学院生が公聴会の内容を持ち寄ってオンライン上で発表する会です。主…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II

さて、Part Iに引き続きPart II!年会をさらに盛り上げる企画として、2011年より…

凍結乾燥の常識を覆す!マイクロ波導入による乾燥時間短縮と効率化

「凍結乾燥は時間がかかるもの」と諦めていませんか?医薬品や食品、新素材開発において、品質を維…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I

まだ寒い日が続いておりますが、あっという間に3月になりました。今年も日本化学会春季年会の季節です。…

アムホテリシンBのはなし 70年前に開発された奇跡の抗真菌薬

Tshozoです。以前から自身の体調不良を記事にしているのですが、昨今流行りのAIには産み出せな…

反応操作をしなくても、化合物は変化する【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか温度を測ること…

ジチオカーバメートラジカル触媒のデザイン〜三重項ビラジカルの新たな触媒機能を発見〜

第698回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(大井研究室)博士後期課程1年の川口…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP