[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

事故を未然に防ごう~確認しておきたい心構えと対策~

[スポンサーリンク]

 

 

みなさんこんにちわ。レオです。

新学期が始まって早3ヶ月が経ちました。研究室に入りたてのB4の皆さんも研究室に慣れてきたかと思います。この時期は中間報告会や授業のテストやレポートがあり、そして寝る間を惜しんで実験する時期です。また先生方にとっても担当教科のテストの作製や成績評価といった大変な仕事があり、みんなピリピリした空気が漂っています。こういうときこそ実験の事故が起きやすく、迷惑をかけてしまうといった自体が発生することがあります。

そこで今回は事故や迷惑をかけるような自体が起きないようにするこの時期に必要な心構えと私が行っていることについて書きたいと思います。少しでも参考になってくれればと思っています。

(1) 焦っていると思ったときは一息つこう

コーヒーブレイク.png

この時期になると実験のいいデータを得るため夜遅くまで実験をする人も多いと思います。しかし自分の中では納得の行かないデータができてしまって、実験が計画通りすすまないということも多いでしょう。そういった焦りによって機械を壊したり実験事故を起こしたりして怪我をしたり研究室の方々に迷惑をかけてしまうような自体が発生しやすくなります。そういう焦っているときにこそ一息つきましょう。一息つくことで事故も起こしにくくなりますし、実験中に新たな発見ができて今後の研究に役立つかもしれませんよ。

 

(2)なにかいつもとおかしいと思ったら報告する

報告.jpg

私の研究室は様々な装置があります。私もよく使っている装置があり、ある程度のトラブルには対応できますが、やはりいつもとちがうと思ったら先輩に報告するようにしています。例えば、「このレバーってこんなに緩んでいたっけ?」とか「装置からなにか変な音がする」とかはっきりいってそこまで気にするかといわれても仕方ないレベルのものも自分で解決できない場合は報告するようにしています。
人によってはそんなことで先輩を呼ぶ必要があるのか?と思われる方もいるでしょう。しかしいつも使っている装置に違和感を感じるということはどこかの部品の故障のサインかもしれません。このようなサインを見逃すと装置が故障してしまい、最悪の場合実験が1ヶ月以上ストップするかもしれません。そうなると修論や卒論に大きな影響がでますし、その装置を使っている方々にも迷惑がかかります。気をつけましょう。

 

(3) チェックリストを作る

チェックリスト.jpg

これは私が実際に行っていることです。例えば、中間報告会ではなにを発表するのか。どういったスライドの構成にするか。この考察を説明するのに追加で必要なデータはなにか。そのデータをとるための装置の使い方は知っているか…などなど。今自分に足りないものはなにかをこのチェックリストで明確にすることができます。このようにやらないといけないことを形として見えるようになるとゴールが見え、あせりもなくなり事故も減らすことができます。
そしてこのチェックリストはつねに改善しています。たとえば中間報告会ぎりぎりになってやっとスライドが終わったなど。そういうときは時期を前倒ししてスライドの作成に取り掛かるなどつねにチェックリストを改善していってベストな発表ができるようにしています。このチェックリストは将来社会人になってからでも役に立つと思うのでぜひ一度やってみてはいかがでしょうか?
以上このように当たり前のことをあえて記事にしてみました。わたしの研究室では昨年度のこの時期多くの装置が微々たるものからオーバーホールが必要なものまで壊れるといった出来事があったからです。今年度は今のところ昨年度のような事態にはなっていないものの油断は禁物です。そこで自分にも言い聞かせるつもりでこの記事を書きました。

もしご参考になるようなことがありましたら筆者として嬉しい限りです。
ではお読みいただきましてありがとうございました。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4621087584″ locale=”JP” title=”化学実験の事故事例・事故防止ハンドブック”]
Avatar photo

レオ

投稿者の記事一覧

Ph.D取得を目指す大学院生。有機太陽電池の高効率を目指して日々研究中。趣味は一人で目的もなく電車に乗って旅行をすること。最近は研究以外の分野にも興味を持ち日々勉強中。

関連記事

  1. HTML vs PDF ~化学者と電子書籍(ジャーナル)
  2. 農工大で爆発事故発生―だが毎度のフォローアップは適切か?
  3. 化学と権力の不健全なカンケイ
  4. セミナー「マイクロ波化学プロセスでイノベーションを起こす」
  5. ハイブリッド触媒系で複雑なシリルエノールエーテルをつくる!
  6. 金触媒で変身できるEpoc保護基の開発
  7. 名もなきジテルペノイドの初の全合成が導いた構造訂正
  8. 触媒量の金属錯体でリビング開環メタセシス重合を操る

注目情報

ピックアップ記事

  1. カガン・モランダーカップリング Kagan-Molander Coupling
  2. サリドマイドを監視
  3. ラスカー賞に遠藤章・東京農工大特別栄誉教授
  4. 計算化学者は見下されているのか? Part 1
  5. 尿はハチ刺されに効くか 学研シリーズの回顧
  6. 僕がケムステスタッフになった三つの理由
  7. 分子間相互作用によりお椀反転の遷移状態を安定化する
  8. 材料開発の未来とロードマップ -「人の付加価値を高めるインフォマティクスとロボティクス」-
  9. 使っては・合成してはイケナイ化合物 |第3回「有機合成実験テクニック」(リケラボコラボレーション)
  10. ワールドクラスの日本人化学者が語る研究物語―『化学者たちの感動の瞬間』

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP