[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

[スポンサーリンク]

マリンス有機化学(上): 学び手の視点から

マリンス有機化学(上): 学び手の視点から

R. J. Mullins
¥7,260(as of 10/09 06:24)
Amazon product information

概要

親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.「有機化学を学びたい人」の立場に立って書かれた新タイプ.引用:東京化学同人

対象者

  • 有機化学初心者
  • 学部生
  • 有名な教科書のハードルが高いと感じる人

目次

1. 有機化学への招待
2. 一般化学とのつながり:電子をみつけよう
3. アルカンとシクロアルカン:性質と立体配座解析
4. 酸と塩基/電子の流れ
5. 化学反応解析:熱力学と速度論
6. 立体異性:空間における原子の配置
7. 有機化学におけるグリーンケミストリーの基本
8. アルケンⅠ:性質と求電子付加反応
9. アルケンⅡ:酸化と還元
10. アルキン:求電子付加反応と酸化還元反応
11. ハロアルカン(ハロゲン化アルキル)の性質と合成:ラジカル反応
12. 置換反応と脱離反応:ハロゲン化アルキルの反応
13. アルコール,エーテルとその関連化合物:置換反応と脱離反応
14. 構造の同定Ⅰ:赤外分光法と質量分析法
15. 構造の同定Ⅱ:核磁気共鳴分光法

内容

有機化学のスタンダードな内容を取り扱っている本で,初めて有機化学を勉強する人や,もう一度有機化学を勉強してみたい人におすすめです.扱っているトピックとしてはマクマリー有機化学やボルハルトショアー有機化学といった有名な本と同じですが,本の副題にもあるように「学び手の視点」を意識して書かれています.

具体的には多くの初学者が困ってしまうポイントを重点的に説明してくれることや,覚えておいた方がよい値や事柄の強調がなされています.しかし,何といっても一番目を見張るのは先生が本の中で話しかけてくれることです.

有機化学の説明の中では,先生のコメントやつぶやきが [コメント] という形式で現れる他にも,本の色んな場所に友達や先輩のキャラクターが現れて勉強の手助けをしてくれます.有機化学に関するコメントだけでなく,勉強の仕方などについてもコメントしてくれています.

マリンス有機化学(上)より抜粋(許可を頂いて掲載しております.)

この本の1章では,著者の学生時代の話や有機化学の勉強方法,著者がこの本を書こうと思った理由,この本の構成について詳しく説明しており,他の本では全く見ない章になっています.どの章の内容も興味深く,面白いことはもちろんですが,特に1章に著者の教育に対する愛が感じられました.

いくらかの大学生にとって有機化学は試験で点数をとるためであったり,大学の単位をとるためであったりするもので,その勉強は楽しいとは言えないと思います.

もし読んでいる教科書が味気なく,勉強がなかなか進まない人は是非この本を手に取ってみてはいかがでしょうか.

実はこの本の著者も学生時代は有機化学が特別得意ではなかったのですが,その時の先生が親身になって(学び手の視点に立って),教えてくれたことが人生に大きな影響を与えてくれたそうです.

私はこの本を読んでいく中で,まるでオフィスアワーや大学のカフェテリアで先生と雑談を交えながら勉強をしているように感じました.

私が有機化学を初めて勉強したときに,もしこの本があったらより楽しく勉強できたのかもしれない…と少しばかり若い方々がうらやましくなりました.

関連書籍

関連記事

  1. タンパク質の構造と機能―ゲノム時代のアプローチ
  2. Greene’s Protective Groups…
  3. 生物活性物質の化学―有機合成の考え方を学ぶ
  4. はじめての研究生活マニュアル
  5. 有機金属反応剤ハンドブック―3Liから83Biまで
  6. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー5
  7. Cooking for Geeks 第2版 ――料理の科学と実践…
  8. 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

注目情報

ピックアップ記事

  1. 最新有機合成法: 設計と戦略
  2. 褐色の要因となる巨大な光合成膜タンパク質複合体の立体構造の解明
  3. 【書評】化学への数学 基本への10章
  4. 第113回―「量子コンピューティング・人工知能・実験自動化で材料開発を革新する」Alán Aspuru-Guzik教授
  5. ブレオマイシン /Bleomycin
  6. シュミット グリコシル化反応 Schmidt Glycosylation
  7. 水素原子一個で強力な触媒をケージング ――アルツハイマー病関連のアミロイドを低分子で副作用を抑えて分解する――
  8. メタンハイドレートの化学
  9. 芝哲夫氏死去(大阪大名誉教授・有機化学)
  10. 嗚呼、美しい高分子の世界

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年4月
月 火 水 木 金 土 日
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

【味の素ファインテクノ】新卒採用情報(2028卒)

当社は入社時研修を経て、先輩指導のもと、実践(※)の場でご活躍いただきます。…

MEDCHEM NEWS 35-3 号「2024年度 MCS 優秀賞」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、オープンアクセ…

【速報】2026年のノーベル化学賞は「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発見」へ

2026年のノーベル化学賞は、アンリ・カガン (Henri B. Kagan、フランス・パリ=サクレ…

柳沢 正史 Masashi Yanagisawa

柳沢 正史(やなぎさわ まさし、Masashi Yanagisawa、1960年5月…

ケムステ人気新着記事 トップ 5【2026年8月版】

2026年8月にケムステでは22本の新しい記事を公開しました。この記事では、その新着記事の中から、ペ…

シュライナー チオウレア触媒/Schreiner’s Thiourea Catalyst

⏱ 30秒サマリー 何をする反応か — 2本の N–H による二座水…

タリンにいってきました BOS2026 後編

前編では、BOS2026とタリンについて、また今回訪問した理由、そして実際に講演するところまでお話し…

「そっちが切れちゃうの!?」 〜弱い結合を残し、強い結合を切断する HAT 反応の開発〜

第721回のスポットライトリサーチは、金沢大学 大学院医薬保健学総合研究科(平野研究室)博士前期課程…

SNS予想で盛り上がれ!2026年ノーベル化学賞は誰の手に?

【速報】(2026/10/7 19:10)2026年のノーベル化学賞 (速報…

予想外から!cis-クレロダン型ジテルペノイド類の発散的不斉全合成

TEMPO⁺BF₄⁻を用いたラクトン化および付加環化反応による骨格構築と酸素官能基の導入により、ci…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP