[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

有機化学1000本ノック【反応機構編】

[スポンサーリンク]

有機化学1000本ノック 反応機構編

有機化学1000本ノック 反応機構編

矢野 将文
¥2,970(as of 04/06 16:17)
Amazon product information

概要

大学の有機化学では,反応の最初と最後だけ覚えるのではなく,その途中の過程を一つ一つていねいに追いかけることが求められる.反応は結合の切断と生成の繰り返しであり,どれだけ分子構造や反応が複雑になっても,電子の移動(曲がった矢印)が正しくわかっていれば怖れることはない.『命名法編』,『立体化学編』と同様に1000問超の問題を掲載.電子の移動が「身体に染みつく」まで解いて解いて解きまくれ!(引用:化学同人

対象者

  • 有機化学初学者
  • 大学生
  • 電子の移動についていけなくなった人

内容

この書籍は、以前も紹介があった有機化学1000本ノックのシリーズの続編です。このシリーズの特徴といえば、なんといっても圧倒的問題数。1000題はジョークではありません。本当に1000題あります。問題に1000まで番号が振られています。難易度的にはマクマリー有機化学についている問題よりはやさしいという感じです。とにかく解きまくることが訓練になります。計算ドリルの有機化学バージョンです。

この本は 「ルイス構造式と結合の分極」と名付けられた第0章から始まり、 続く第1-3章の「酸と塩基」、「共鳴」、「結合の生成と切断の基礎」を通して、化学反応の理解の基礎の基礎である化学結合の性質や有機電子論を頭に叩き込まれます。その後は、官能基ごとの反応性の各論にうつります。具体的には、アルケンとアルキンの反応(4-5 章)、芳香族求電子置換反応 (第6章)、ハロゲンの置換/脱離反応 (7-8 章)、アルコールの置換/脱離/酸化反応 (9-10 章)、エーテル、エポキシド、スルフィドの反応(11 章)、カルボニル基の反応 (12-15 章) となっており、大学学部レベルの反応が網羅されています。

本の構成

本書から一部抜粋。注釈は筆者がつけました。

このような書き込み式の形で、たくさん問題が並んでいます。矢印を記入するものだけから、徐々にレベルアップしていきます。

感想

筆者は執筆時点(2021年2月)で学部1年生であり、絶賛有機化学勉強中です。1000 本ノックシリーズは、この記事で紹介している反応機構編だけでなく、前作の命名法編と立体化学編にもお世話になりました。週2時間半程度解いており、命名法編は5週間程度、立体化学編は7週間程度かかって 1000 本 ×2 をやり遂げました。今回紹介している反応機構編は解いている最中ですが、命名法編や立体化学編よりももっと時間がかかりそうです。有機化学1000本ノックはシリーズではありますが、命名法編、立体化学編、反応機構編はそれぞれ独立しています。反応機構編から始めるなどしても問題なく、自分に必要なところをピンポイントで勉強することができます。各章ごとにポイントもついていますが、おすすめは教科書と並行して利用することです。解答もついているので、自習に向いていると思います。

関連記事

関連書籍

有機化学1000本ノック 命名法編

有機化学1000本ノック 命名法編

矢野 将文
¥1,650(as of 04/06 10:57)
Amazon product information
有機化学1000本ノック 立体化学編

有機化学1000本ノック 立体化学編

矢野 将文
¥1,980(as of 04/06 16:17)
Amazon product information

参考文献

有機化学1000本ノック【反応機構編】(化学同人)

(トップ画像の表紙写真は化学同人のホームページから引用しました。)

hoda

投稿者の記事一覧

大学院生です。ケモインフォマティクス→触媒

関連記事

  1. ドラえもん探究ワールド 身近にいっぱい!おどろきの化学
  2. 【書籍】合成化学の新潮流を学ぶ:不活性結合・不活性分子の活性化
  3. セールスコピー大全: 見て、読んで、買ってもらえるコトバの作り方…
  4. 広大すぎる宇宙の謎を解き明かす 14歳からの宇宙物理学
  5. English for Presentations at Int…
  6. 持続可能社会をつくるバイオプラスチック
  7. アルカロイドの科学 生物活性を生みだす物質の探索から創薬の実際ま…
  8. Pythonで気軽に化学・化学工学

注目情報

ピックアップ記事

  1. 高知大が新エコ材料開発へ 産官共同プロジェクト
  2. 三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功
  3. ヘキサメチレンテトラミン
  4. ハンスディーカー反応 Hunsdiecker Reaction
  5. 第156回―「異種金属―有機構造体の創製」Stéphane Baudron教授
  6. 化学エネルギーを使って自律歩行するゲル
  7. 計算化学:DFT計算って何?Part II
  8. 低投資で効率的な英語学習~有用な教材は身近にある!
  9. “クモの糸”が「ザ・ノース・フェイス」のジャケットになった
  10. 第149回―「ガスの貯蔵・分離・触媒変換に役立つ金属-有機構造体の開発」Banglin Chen教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年2月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728

注目情報

最新記事

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー