[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

有機化学1000本ノック【反応機構編】

[スポンサーリンク]

有機化学1000本ノック 反応機構編

有機化学1000本ノック 反応機構編

矢野 将文
¥2,970(as of 12/05 11:19)
Amazon product information

概要

大学の有機化学では,反応の最初と最後だけ覚えるのではなく,その途中の過程を一つ一つていねいに追いかけることが求められる.反応は結合の切断と生成の繰り返しであり,どれだけ分子構造や反応が複雑になっても,電子の移動(曲がった矢印)が正しくわかっていれば怖れることはない.『命名法編』,『立体化学編』と同様に1000問超の問題を掲載.電子の移動が「身体に染みつく」まで解いて解いて解きまくれ!(引用:化学同人

対象者

  • 有機化学初学者
  • 大学生
  • 電子の移動についていけなくなった人

内容

この書籍は、以前も紹介があった有機化学1000本ノックのシリーズの続編です。このシリーズの特徴といえば、なんといっても圧倒的問題数。1000題はジョークではありません。本当に1000題あります。問題に1000まで番号が振られています。難易度的にはマクマリー有機化学についている問題よりはやさしいという感じです。とにかく解きまくることが訓練になります。計算ドリルの有機化学バージョンです。

この本は 「ルイス構造式と結合の分極」と名付けられた第0章から始まり、 続く第1-3章の「酸と塩基」、「共鳴」、「結合の生成と切断の基礎」を通して、化学反応の理解の基礎の基礎である化学結合の性質や有機電子論を頭に叩き込まれます。その後は、官能基ごとの反応性の各論にうつります。具体的には、アルケンとアルキンの反応(4-5 章)、芳香族求電子置換反応 (第6章)、ハロゲンの置換/脱離反応 (7-8 章)、アルコールの置換/脱離/酸化反応 (9-10 章)、エーテル、エポキシド、スルフィドの反応(11 章)、カルボニル基の反応 (12-15 章) となっており、大学学部レベルの反応が網羅されています。

本の構成

本書から一部抜粋。注釈は筆者がつけました。

このような書き込み式の形で、たくさん問題が並んでいます。矢印を記入するものだけから、徐々にレベルアップしていきます。

感想

筆者は執筆時点(2021年2月)で学部1年生であり、絶賛有機化学勉強中です。1000 本ノックシリーズは、この記事で紹介している反応機構編だけでなく、前作の命名法編と立体化学編にもお世話になりました。週2時間半程度解いており、命名法編は5週間程度、立体化学編は7週間程度かかって 1000 本 ×2 をやり遂げました。今回紹介している反応機構編は解いている最中ですが、命名法編や立体化学編よりももっと時間がかかりそうです。有機化学1000本ノックはシリーズではありますが、命名法編、立体化学編、反応機構編はそれぞれ独立しています。反応機構編から始めるなどしても問題なく、自分に必要なところをピンポイントで勉強することができます。各章ごとにポイントもついていますが、おすすめは教科書と並行して利用することです。解答もついているので、自習に向いていると思います。

関連記事

関連書籍

有機化学1000本ノック 命名法編

有機化学1000本ノック 命名法編

矢野 将文
¥1,650(as of 12/05 11:19)
Amazon product information
有機化学1000本ノック 立体化学編

有機化学1000本ノック 立体化学編

矢野 将文
¥1,980(as of 12/05 11:19)
Amazon product information

参考文献

有機化学1000本ノック【反応機構編】(化学同人)

(トップ画像の表紙写真は化学同人のホームページから引用しました。)

hoda

投稿者の記事一覧

大学院生です。ケモインフォマティクス→触媒

関連記事

  1. 経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】
  2. 大学院講義 有機化学
  3. 有機分子触媒の化学 -モノづくりのパラダイムシフト
  4. 【書評】科学実験でスラスラわかる! 本当はおもしろい 中学入試の…
  5. クロスカップリング反応関連書籍
  6. 広大すぎる宇宙の謎を解き明かす 14歳からの宇宙物理学
  7. 炭素文明論「元素の王者」が歴史を動かす
  8. マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

注目情報

ピックアップ記事

  1. パラジウム光触媒が促進するHAT過程:アルコールの脱水素反応への展開
  2. 実用的なリチウム空気電池の サイクル寿命を決定する主要因を特定
  3. 宮沢賢治の元素図鑑
  4. 金属ヒドリド水素原子移動(MHAT)を用いた四級炭素構築法
  5. ピリジン同士のラジカル-ラジカルカップリング
  6. 投手が使用するすべり止め剤の効果を初めて定量的に実証
  7. ドライアイスに御用心
  8. 換気しても、室内の化学物質は出ていかないらしい。だからといって、健康被害はまた別の話!
  9. 論文執筆で気をつけたいこと20(2)
  10. 緑膿菌の代謝産物をヒトの薬剤に

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年2月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP