[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

マーティン・カープラス Martin Karplus

マーティン・カープラス(Martin Karplus、1930年3月15日(ウィーン、オーストリア生)-)は、アメリカの理論化学者である。ハーバード大学名誉教授。

「複雑な化学システムのためのマルチスケールモデルの開発」の業績にて2013年ノーベル化学賞を受賞。

経歴

1950 ハーバード大学 卒業
1953 カリフォルニア工科大学 博士号取得(Liuns Pauling教授)
1953-55 オックスフォード大学 博士研究員 (Charles Coulson教授)
1957-60 イリノイ大学
1960-66 コロンビア大学
1979 ハーバード大学化学科 Theodore William Richard Professor

兼任
ストラスブール大学 生物物理化学研究所 所長

 

 受賞歴

1987 Langmuir Award
1993 ACS Award in Theoretical Chemistry
2001 Christian B. Anfinsen Award
2013 ノーベル化学賞

研究概要

核磁気共鳴分光法におけるKarplus式の提唱[2]

ビシナル位二面角(φ)からカップリング定数(3J値)を見積もれるKarplus式を提唱した。この式が教えることは、二面角が90°になるとJ=0となり、0°もしくは180°のときにJ値は最大になるということである。

M_Karplus_5.gif

3J(φ)= Acos2φ + Bcosφ + C

量子力学/分子力学(QM/MM)法の原型に関する研究 [3]

Karplusとノーベル賞を同時受賞したArieh Warshelは、平面π共役系分子の物理特性を高精度で予測できる計算手法を共同開発した。本法では精度の要求されない立体構造に絡む部分を分子力学法、高精度が必要なπ電子系の振る舞いを量子力学法で計算するという発想により、現実的な計算量に落としこみつつ高精度で物性をシミュレーションことに成功した。

M_Karplus_3.png

(画像はNobelprize.orgのプレス資料より)

この成果は後にQM/MM法と呼ばれる、巨大生体高分子などの計算手法へと発展を遂げていくことになる。

 

生体高分子の分子動力学的シミュレーション

生体分子、たんぱく質等のモデリング及びシミュレーションを行うためのソフトウェアパッケージCHARMMを開発[4]し、現在もアップデートを行っている。

 

コメント&その他

  1. 写真を趣味としており、世界各所で撮影したものをウェブで一般公開している。
  2. 兄であるRobert Karplus(故人)はカリフォルニア大学バークリー校で教鞭を執った理論物理学者。

 

名言集

 

関連動画

 

関連文献

[1] Autobiography: Karplus, M. Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 2006, 35, 1. doi: 10.1146/annurev.biophys.33.110502.133350
[2] Karplus, M. J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 2870. DOI: 10.1021/ja00901a059
[3] Warshel, A.; Karplus, M. J. Am. Chem. Soc. 1972, 94, 5612. DOI: 10.1021/ja00771a014
[4] (a) Brooks, B.R.; Bruccoleri, R.E.; Olafson, B.D.; States, D.J.; Swaminathan, S.; Karplus, M. J. Comp. Chem. 1983, 4, 187. doi:10.1002/jcc.540040211 (b) Brooks, B.R.; Brooks, C. L., III; Mackerell, A. D., Jr; Nilsson, L.; Petrella, R. J.; Roux, B.; Won, Y.; Archontis, G.; Bartels, C.; Boresch, S.; Caflisch, A.; Caves, L.; Cui, Q.; Dinner, A. R.; Feig, M.; Fischer, S.; Gao, J.; Hodoscek, M.; Im, W.; Kuczera, K.; Lazaridis, T.; Ma, J.; Ovchinnikov, V.; Paci, E.; Pastor, R. W.; Post, C. B.; Pu, J. Z.; Schaefer, M.; Tidor, B.; Venable, R. M.; Woodcock, H. L.; Wu, X.; Yang, W.; York, D. M.; Karplus, M. J. Comp. Chem. 2009, 30, 1545. doi:10.1002/jcc.21287

 

関連書籍

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 池田 菊苗 Kikunae Ikeda
  2. クラーク・スティル W. Clark Still
  3. 菅裕明 Hiroaki Suga
  4. ロジャーアダムス賞・受賞者一覧
  5. 水島 公一 Koichi Mizushima
  6. トム・メイヤー Thomas J. Meyer
  7. アレクサンダー・リッチ Alexander Rich
  8. 山元公寿 Kimihisa Yamamoto

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 緑色蛍光タンパク /Green Fluorescent Protein (GFP)
  2. 含フッ素遷移金属エノラート種の合成と応用
  3. カルノシン酸 : Carnosic Acid
  4. ケック不斉アリル化 Keck Asymmetric Allylation
  5. そこまでやるか?ー不正論文驚愕の手口
  6. 芳香環シラノール
  7. 力をかけると塩酸が放出される高分子材料
  8. 根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent
  9. 人名反応から学ぶ有機合成戦略
  10. 村橋 俊一 Shunichi Murahashi

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

二重可変領域抗体 Dual Variable Domain Immunoglobulin

抗体医薬はリウマチやガンなどの難治性疾患治療に有効であり、現在までに活発に開発が進められてきた。…

サイエンスイングリッシュキャンプin東京工科大学

産業のグローバル化が進み、エンジニアにも国際的なセンスや語学力が求められているなか、東京工科大学(東…

特定の場所の遺伝子を活性化できる新しい分子の開発

ついにスポットライトリサーチも150回。第150回目は理化学研究所 博士研究員の谷口 純一 (たにぐ…

出光・昭和シェル、統合を発表

石油元売り2位の出光興産と4位の昭和シェル石油は10日、2019年4月に経営統合すると正式に発表した…

天然物の全合成研究ーChemical Times特集より

関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。…

「アジア発メジャー」狙う大陽日酸、欧州市場に参入

大陽日酸は北米に次ぐ成長が見込める欧州市場に参入を果たす。同業の米プラクスエアが欧州で展開する産業ガ…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP