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丸岡 啓二 Keiji Maruoka

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丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有機合成化学。

経歴

1976年 京都大学工学部卒業(野崎一教授)
1980年 ハワイ大学大学院化学科博士課程修了(山本尚教授)
1980年 名古屋大学工学部助手(山本尚教授)
1985年 名古屋大学工学部講師
1990年 名古屋大学工学部助教授
1995年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻教授
2000年 京都大学大学院理学研究科化学専攻教授
2019年 京都大学大学院薬学研究科 特任教授

ほか
2015年 広東工業大学 主任教授
2024年 日本化学会 会⻑

受賞歴

1986年 日本化学会進歩賞
2001年 井上学術賞
2002年 市村学術賞
2004年 有機合成化学協会賞、名古屋シルバーメダル 2006年 グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞、文部科学大臣賞
2007年 日本化学会賞、Molecular Chirality Award、Novartis Lectureship Award 2010年 中日文化賞
2011年 Arthur C. Cope Scholar Award(アメリカ化学会) 2011年 紫綬褒章(日本政府内閣府)
2011年 Humboldt Senior Research Award(ドイツ・フンボルト財団) 2012年 東レ科学技術賞(東レ科学振興会)
2012年 京都新聞大賞 文化学術賞(京都新聞社)
2016年 高砂香料国際賞「野依賞」(有機合成化学協会) 2018年 日本学士院賞(日本学士院) 2021年 日本化学会化学教育賞(日本化学会)
2022年 Guangdong Provincial Cooperation Award on Science and Technology 2022年 藤原賞(藤原科学財団)
2023年 Ryoji Noyori ACES Award (Asian Chemical Editorial Society (ACES))

研究業績


  1. 有機分子触媒のデザインと合成への活用

ハワイ大学や名古屋大学で進めてきた精密ルイス酸や有機金属触媒の合理的な触媒設計研究で得られた知見を活かし、独自の有機触媒を合理的に設計し、新たな精密有機合成反応を開拓した。キラル四級アンモニウム塩を基盤とした相間移動型触媒は丸岡触媒として認知され、多様な特殊アミノ酸の合成が可能である[1]

キラル触媒を活用した様々な不斉相間移動反応の開発[1]

また改良型のキラル相間移動型触媒を利用した特殊アミノ酸の工業生産もなされている[2]

 

キラル触媒を活用する人工アミノ酸合成の実用化[2]

 

  1. 有機ラジカル発生法の開発

 ラジカル種はこれまで精力的に研究されてきたイオン種(アニオン、カチオン)を用いる反応とは一線を画す特異な反応性・選択性を示すことから、強力な有機合成ツールとしての利用が期待されている。一方で、高い反応性を有するラジカル種を生成する実用的な手法が限られていることから、その進展はイオン反応に比して大きく後れを取っているのが現状である。丸岡らは、多様なラジカル種を穏和な条件で発生させ、種々の結合形成反応へ利用することを目的に、アルキルシリルペルオキシドを活用したラジカル反応や、N-オキシラジカル触媒の設計によるラジカル反応を実現し、顕著な業績をあげている。[3,4]

アルキルシリルペルオキシドのアルキル前駆体としての利用[3]

N-オキシルラジカル触媒の分子設計による反応性・選択性制御[4]

関連文献 

  1. (a) Ooi, T.; Kameda, M.; Maruoka, K. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 6519. https://doi.org/10.1021/ja991062w (b) Ooi, T.; Kameda, M.; Maruoka, K. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 5139–5151. https://doi.org/10.1021/ja021244h (c) Maruoka, K. Chem. Rec. 2010, 10, 254–259. https://doi.org/10.1002/tcr.201000019
  2. Kitamura, M.; Shirakawa, S.; Arimura, Y.; Wang, X.; Maruoka, K. Chem. Asian J. 2008, 3, 1702–1714. https://doi.org/10.1002/asia.200800107
  3. Sakurai, S.; Matsumoto, A.; Kano, T.; Maruoka, K. J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 19017–19022. https://doi.org/10.1021/jacs.0c09008
  4. Kato, T.; Maruoka, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2020, 59, 14261–14264. https://doi.org/10.1002/anie.202003982

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