[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

下村 脩 Osamu Shimomura

下村 脩(しもむら おさむ、1928年8月27日-)は、アメリカ在住の生物学者・有機化学者である。米ボストン大学名誉教授、ウッズホール海洋生物学研究所名誉教授(写真:NU-Cheers)。

経歴

1928年 京都の福知山に生まれる。

1951 長崎医科大学付属薬学専門部 卒業
1958 長崎大学薬学部 助手
1960 名古屋大学理学部 博士号取得(平田義正教授)
1960 プリンストン大学 研究員 (Frank Johnson教授)
1963 名古屋大学 助教授
1965 プリンストン大学 上席研究員
1981 ボストン大学 教授
1982 ウッズホール海洋生物学研究所 上席研究員
2001 ウッズホール海洋生物学研究所 退職

受賞歴

2004 Pearse Prize
2005 Emile Chamot Award
2006 朝日賞
2008 ノーベル化学賞
2008 文化勲章・文化功労者

研究概要

緑色蛍光タンパク質およびイクオリンの単離

オワンクラゲ(Aequorea victoria)から、緑色に発光する蛍光タンパク(Green Fluorescent Protein; GFP)をイクオリンとともに世界で初めて単離した[1]。
GFPは発光に特別な基質・酵素を必要とせず、単量体で機能する。この性質ゆえGFPは生体物質に影響を与えにくく、バイオロジカルツールとしての応用に適切であった。GFPは生体内シグナル現象や、生体高分子の局在位置などを可視化する目的で用いられる。レポーター遺伝子を遺伝子工学的手法を用いて導入することで、望みの地点にGFPを発現させることができる。

GFP.jpg
(画像:Tsien Laboratory)

下村教授は一連の研究に基づき、GFP発色団の分子構造モデルや発光原理を提唱し、化学の基礎を築き上げた。この功績により、2008年のノーベル化学賞を受賞している。

ルシフェリン・ルシフェラーゼ系を介する生物発光機構の解明

酵素を媒介として化学変化を起こし発光する物質をルシフェリン(luciferin)し、その化学反応を触媒する酵素をルシフェラーゼ(luciferase)と総称する。GFPのように外部要因を要せず発光する生体物質はむしろ稀であり、生物発光ではこのような酵素化学反応系を介する場合が多い。

下村はタンパク質イクオリンなどに含まれるルシフェリンである、セレンテラジン(coelenterazine)などの発光メカニズム解明[2]を行っている。

coelenterazine_1.gif

名言集

 

コメント&その他

  1. 学部生時代は平田研でウミホタルルシフェリンの結晶化に取り組み、それを成功させました。卒業後も一貫して「光る」物質に関する研究を行っています。当時から流行の研究というわけではなく、時には厳しい資金の状況下で研究を続けていたそうです。
  2. 長崎原爆投下時に、疎開によって近くにおり、死者が次々と学校校舎内に運ばれてくる様子を見て大変に悲しい思いをされたそうです。
  3. 息子の下村努はコンピュータ科学者・物理学者である。世界を震撼させたクラッカー、ケビン・ミトニックを追い詰め、逮捕に協力した一件で世界的に名が知れ渡った。
  4. 1960年に渡米したものの、その後ずっとアメリカに帰化せず、日本国籍のままで米国に在住している。

 

関連動画

 

関連論文

  1. Shimomura, O.; Johnson, F. H.; Saiga, Y. J. Cell. Comp. Physiol. 1962, 59, 223.
  2. Shimomura, O.; Johnson, F. H.  Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1975, 72, 1546.

関連書籍

外部リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ジョージ・ホワイトサイズ George M. Whiteside…
  2. ロジャー・チェン Roger Y. Tsien
  3. ロバート・ノールズ Robert R. Knowles
  4. マーティン・チャルフィー Martin Chalfie
  5. Louis A. Carpino ルイス・カルピノ
  6. アンソニー・アルジュンゴ Anthony J. Arduengo…
  7. クラウス・ビーマン Klaus Biemann
  8. リチャード・ラーナー Richard Lerner

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 呉羽化学、明るさを保ちながら熱をカットする窓ガラス用素材
  2. ローランド・フィッシャー Roland A. Fischer
  3. 結晶世界のウェイトリフティング
  4. クレイグ・ヴェンター J. Craig Venter
  5. 若手化学者に朗報!YMC研究奨励金に応募しよう!
  6. フッ素をホウ素に変換する触媒 :簡便なPETプローブ合成への応用
  7. 第32回 液晶材料の新たな側面を開拓する― Duncan Bruce教授
  8. 不正の告発??
  9. リンダウ会議に行ってきた④
  10. はしか流行?

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

「人工知能時代」と人間の仕事

デジタル技術の進歩は著しく、特に、人工知能(AI)と呼ばれる機械学習システムの進歩は、世界の労働者の…

特定の刺激でタンパク質放出速度を制御できるスマート超分子ヒドロゲルの開発

第134回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 工学研究科 合成·生物化学専攻 浜地研究室の重…

有機合成化学協会誌2018年1月号:光学活性イミダゾリジン含有ピンサー金属錯体・直截カルコゲン化・インジウム触媒・曲面π構造・タンパク質チオエステル合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2018年1月号が昨日オンライン公開されました。…

アミン化合物をワンポットで簡便に合成 -新規還元的アミノ化触媒-:関東化学

アミン化合物は医薬品、農薬などの生理活性物質をはじめ、ポリマーなどの工業材料に至るまで様々な化学物質…

独自の有機不斉触媒反応を用いた (—)-himalensine Aの全合成

近年単離されたアルカロイド(—)-himalensine Aの全合成に初めて成功した。独自開発した二…

究極の脱水溶媒 Super2(スーパー スクエア):関東化学

この度、関東化学株式会社は水分1ppm以下を保証する脱水溶媒を発売開始致します。この水分保証…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP