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ポンコツ博士の海外奮闘録XVIII ~博士,WBCを観る~

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先月一時帰国していた際に(次回書きます)「いらすとやに怒られろ」や「どこまで続けるの?」「太ったよね?」とさまざまなレビューを受けると共に,筆者より記事を覚えているであろうポンコツヘビーユーザーにお会いできました。読んでいただけるということは非常にありがたいことで早く更新しないといけないなと思い,とりあえず今回の記事を出しておこうと思いました。時系列が前後しますが,ご容赦ください。

ポンコツシリーズ

国内編:1話2話3話

国内外伝:1話2話留学TiPs

海外編:1話2話3話4話5話6話7話8話

続きだよ9話10話11話12話13話14話15話

続きの②16話17話

第18話:博士,WBCを観る

ポンコツ野球ファン,Miami行きを決心する

「決してあきらめない人を打ち負かすことは難しい」

It’s hard to beat a person who never gives up.

By George Herman “Babe” Ruth, Jr.

筆者は小学校時代に軟式野球をやっていたことから野球好きである。アメリカでわざわざRawlingsのグラブを買ってこちらで知り合った方々と隙あらばキャッチボールをするほどだ。人生でメジャーを一回は観てみたいなぁと思っていたが,まさか「ほな仕事終わったし,大谷を観にエンゼルス戦へ行きますか…」が日常になるとは思っていなかった。人生とは全く分からないものである。

そんな一端の野球ファンが留学している最中,2023年にWorld Baseball ClassicがMiamiで開催されることが告知された。Miamiはカリフォルニアとは反対側のフロリダ州であるが,一般ピーポーの筆者がWBCを観戦できるタイミングは今しかなく,間違いなく一生に一度のイベントである。「これは…いかないと後悔する。行くしかない…!」そう決めてチケットを買うことにした。

ポンコツバイヤー,購入法を記す

アメリカの野球観戦チケットの購入法は主に2つである。

① 公式サイトで買う。WBCの場合は,開催されるローンデポパークを本拠地とするマーリンズのメンバーシップ加入者から優先的に購入できるシステムだったため,公式から買うことは実質不可能だった。

② 転売サイトから買う。日本ではチケット高額転売は禁止されているが,アメリカではバカみたいな値段で転売してもOKであり,転売公式サイトなるものも存在する。転売チケット購入の有名処としてはStubHub, Ticketmaster, Vividseatなどがある。Ticketmasterに関してはダルビッシュ選手が在籍するSan Diego PadresNBAの八村選手が最近加入したLos Angels Lakersの公式委託販売サイトであり,購入されたチケットがそのままリセールされている場合が多い。ただし,リセールチケットを購入する際は最後に多くの手数料を支払うことが多いため,100ドルチケットでいい席を買ったとウハウハで浮かれていると,最後の支払いで200ドルかかったんだけど…というトラップが絶えない。

そんな中,研究所の方からTickPickは手数料無料で購入できることを教えていただいた。筆者は当サイトを販売開始時から毎日チェックし,1階席の決勝チケットがなんと100ドル(税込)で販売されていることを発見した。準決勝チケットは最低価格が300ドルから,人気カードのドミニカ対プエルトリコorベネズエラは1次ラウンドから400ドルからとなかなかふざけた値段だった(外野席なら120ドルくらい)。優勝候補として挙げられるUSA,ドミニカ,ベネズエラ,日本等の推しチームが決勝まで辿り着くかは分からないためチケットが安かったのだろう。筆者はJapan or USAが決勝に来ることを強くお祈りしながら1階席を購入した。

ポンコツ旅行者,旅行日程を設定する

次いで,筆者はChase Bankが発行するクレカを持つと利用できるChase Travel Portalでマイアミ行きを探索した。Travel PortalはExpadiaと同じ形態のためチケット予約がしやすく,航空会社のミックスも容易である。筆者は,LCCのFrontia AirlineUnited Airlineのmix ticketを合計220ドルで購入した。

滞在ホテルに関してはアメリカで1人で取ろうとすると120-200ドル/泊とバカみたいな値段だったため(アメリカは1人であろうと1室料金で請求する),コツコツ貯めたChase Ultimate Rewards Pointsを9000ポイント使用してHyatt Place Miami Airport-Eastを予約した(Chase PointはHyatt pointと1:1で交換できる。通常なら1室160ドルのお部屋だったためお得だった。朝食付き)。Chase BankのAccountを開設してポイ活に勤しんだことがこんな所で効いてきた。ちなみに単独旅行でホテル代を節約したい場合はAirbnbを利用するのがおすすめだ。

ポンコツ帰国者,マイアミに飛ぶ

筆者は3/15にカリフォルニアへ帰還して時差ぼけコンディションを整えたのち,3/20からカリフォルニア→コロラド州デンバー→フロリダ州マイアミのルートでフライトした。本当はラスベガスを経由して16時間のトランジットで観光するルートだったが,急遽フライトがデンバーに変更になった。これだから格安LCCは…と筆者は愚痴をこぼしたが,Youtube TVで準決勝の様子を観れたのでデンバーのトランジット待ち(5h)も悪くなかった。準決勝の日本戦があまりのもドラマチックな展開だったため,準決勝チケットも買わなかったことをちょっとだけ後悔した。

4:30amに到着した筆者はホテルチェックインまでの観光客で賑わう比較的安全そうな地域を目指して空港からマイアミビーチに移動し,早朝から営業しているスターバックスで時間を潰して日の出を待つことにした。サマータイムが3/13から始まった影響から早朝のマイアミは真っ暗だった。筆者は,公共機関を利用後からスタバまで1マイルほど歩いた。その道中で「これは明らかにやってんなぁ…」という朝からハイな人が細い路地で確認できた。日本ならそうそうトラブルに巻き込まれることはないだろうが,アメリカではそこそこあるらしい(実際ルームメイトはロスで手に持っていた携帯をひったくりされた)。筆者はリスク回避のため大通りを歩いていたが,大きかろうが暗い道をウロウロする行為は本当に危険な香りがした。コロナから解放されてGWや夏休みに海外旅行に出かける計画を立てているみなさんも海外の夜道には気をつけていただきたい。

ポンコツ日本国民,絶叫する。

その後,Miamiの朝日を見た後(Fig. 1A),最近人気な美術館(Wynwood Walls in MiamiSuperBule Miami)を巡ってからホテルにチェックインして準備を整えた(まさかアメリカでTeam Labの作品を見るとは思わなかったなぁ…)。そして当日の装備はエンゼルスの大谷ユニフォーム+サンディエゴパドレスの迷彩帽のコンビネーションである(Fig. 1B)。

Fig. 1) A. Miami South beachの朝日 B. カリフォルニア装備

シンプルな色が好きなことからパドレスの縦縞ダルビッシュユニも悩んだが,ダルビッシュ選手が登板しなければ辛いので確実に出場する大谷ユニにした。なお,万一日本が決勝に進出しなくてもMike Troutのユニフォームを持っていたので決勝でUSA!! USA!!と叫んでいれば大丈夫だっただろう。

試合の内容については…筆者如きが言うまでもなく,最高だった。筆者の数少ない語彙力がさらに無くなるほど,最高だった。最終回2アウト3-2で観客総立ち時の写真と試合のハイライトをリンクしておく。

Fig. 2) 多くの野球ファンが待ち望んでいた場面がWBCの決勝で誕生したシーン。最高だった。

ポンコツ博士留学者,呟く。

…さて,何故このような記事を書いたかというと,大学(院)のラボに入った学生へ「研究生活を続けるとこういうこともあるんだよ」と,少し提案をしたかったからである。日々の研究活動はきらびやかなものではなく,実に地道な作業を積み重ねる泥臭いことばかりである。この寿司屋の下積みと非常に似た時期である博士(修士)課程時代に「物好きだねぇ」「結局,何がしたいの?」「役に立つか分からないのにどうしてそこまで?」等,本人もあれこれ悩んでいる所に第三者から100マイル超えのキレキレのストレート(な言葉)をぶつけられやすいことから,実際にそのままメンタルが折れてしまう人が数多くいることは間違いない。

しかし,そういったことも経験しながらも必死に立ち上がって日々フラフラになりながらも駆け抜けてPh.Dという世界共通の最高学位を入手することで自身に多くの選択肢が生まれることも間違いないのだ。筆者の場合は一般の方よりスムーズにアメリカVisaを取得し,アメリカで専門職として正式に働くという機会に恵まれた(しかも研究職は就労ビザへの切り替えも比較的簡単にできる)。さらに,日々続く日常生活の中で今回のような簡単に経験できないであろう貴重な体験ができた。色々悩みながらも前向きに「何か」を見据えて目指せばきっといいことあるよ。ときょうび奮闘している学生に伝えたかったのである。苦しい時期ほどどこを見渡しても隣の芝生は青く見えるだろうが,自分の確かな芝生を育てることを目指していれば青いままでいいのだと思う。

日本の4月は物事が新しく動き始める時期である。自身の中で「ダンコたる決意」なるものを持って気持ちをあらたに頑張っていかないとな…。と,道半ばにして偉そうなことを綴る筆者は,実は日本への帰国でウキウキになってただハイになっていたただの観光客だった。

続く

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いらすとや :アイキャッチ画像の素材引用元。

研究者の理想と現実:鳶巣先生のMyPR記事。偉い先生もあれこれ悩んでいるようである。人は考える葦である。

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たぶん有機化学が専門の博士。飽きっぽい性格で集中力が続かないので,開き直って「器用貧乏を極めた博士」になることが人生目標。いい歳になってきたのに,今だ大人になれないのが最近の悩み。読み方はナナメルorナナメェ…?

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