[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

イレッサ /iressa (gefitinib)

iressa.jpg
イレッサ(iressa)はアストラゼネカ社によって開発された抗がん剤。分子標的薬と呼ばれるもののひとつです。化合物名はゲフィチニブ(gefitinib)。

  • 用途・歴史

 EGFR(上皮成長因子受容体) の働きを止めることで、ガン細胞の増殖を抑えます。

 分子標的薬であるイレッサは、その優れた開発コンセプトゆえ、副作用の少ない”夢の薬”というふれこみで大きな期待を集めてきました。しかしフタを開けてみれば少ないどころか、致死を含め数多くの重篤な副作用が報告される結果となってしまいました。その一方で、手遅れである状態から完全に癌が消えた例もあり、抗ガン剤としての威力は折り紙付きのようです。これほど効く薬をどうか販売中止になどしないでくれ、と嘆願した患者・家族もいた、という話も耳にしたことがあります。

 複雑巧妙な人間の身体を、一つの単純なコンセプトをもって理解した気になることは、科学者の傲慢そのもの、と言って良いかも知れません。とはいえ副作用をなくす取り組みも科学の力をもってしか為しえないことです。この事件を教訓とし、被害にあわれる人が一人でも少なくなるための、多くの研究を望みます。

 分子標的薬はこのイレッサの他にも、モノクローナル抗体であるアバスチン、最近では米国で承認申請されたSU11248などが知られています。

  • 関連文献
  • 関連書籍
  • 関連リンク

イレッサ薬害被害者の会

ゲフィチニブ – Wikipedia

イレッサ錠250総合サイト アストラゼネカ社が提供する情報サイト

Targeted Therapy – Wikipedia

Gefitinib – Wikipedia

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ディスコデルモライド /Discodermolide
  2. クルクミン /curcumin
  3. カイニン酸 kainic acid
  4. メラトニン (melatonin)
  5. カスガマイシン (kasugamycin)
  6. 塩化ラジウム223
  7. フルエッギン Flueggine
  8. フラーレン /Fullerene

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 薗頭 健吉 Kenkichi Sonogashira
  2. 化学工場災害事例 ~爆発事故に学ぶ~
  3. 吉田善一 Zen-ichi Yoshida
  4. ふにふにふわふわ☆マシュマロゲルがスゴい!?
  5. 触媒的C-H酸化反応 Catalytic C-H Oxidation
  6. みんなーフィラデルフィアに行きたいかー!
  7. リケジョ注目!ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞-2013
  8. 高脂血症治療薬の開発に着手 三和化学研究所
  9. コニア エン反応 Conia–Ene Reaction
  10. クリスティーナ・ホワイト M. Christina White

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP