[スポンサーリンク]

ケムステニュース

肥満防止の「ワクチン」を開発 米研究チーム

[スポンサーリンク]

 ワシントン――米スクリプス研究所のチームがこのほど、肥満を防ぐ「ワクチン」を開発し、ラットを使った実験に成功したと発表した。「空腹ホルモン」と呼ばれるグレリンの作用を阻害することにより、体重の増加を抑える効果が得られたという。

グレリンは人間や動物の体内で分泌され、食欲増進作用があることが知られている。チームでは、ラットにワクチンを接種することにより、グレリンが脳に到達するのを阻止する「抗体」を体内に生成させた。その上で低エネルギー、低脂肪のえさを無制限に与え、接種を受けなかったラットと比較した。結果は米科学アカデミー紀要(PNAS)の最新号で報告されている。(引用:CNN.co.jp)

 スクリプス研究所は、まだ歴史が浅いので一般の人にはあまり知られていないかもしれませんが、豊富な資金力を元に化学、生物化学の分野での第一人者を集め、最近非常に注目されている研究所です。例えば2001年に不斉触媒反応でノーベル化学賞を受賞したシャープレス教授や、蛋白質高次構造のNMR的解析で2002年に同じくノーベル化学賞を受賞したビュートリッヒ教授などが在籍しています。

 今回、肥満を防ぐ「ワクチン」を発見したのはキム・ジャンダ教授。抗体触媒(酵素のような反応経路で抗体が化学反応を触媒できる)を発見した一人であり、固相合成に用いる新しいポリマー担体Janda-gelを利用した研究、水中での化学反応などの研究で知られている有名人です。

 この研究、一般的な意味でも非常に興味深い研究ですね。

  • 関連リンク

Janda Group

?

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. “クモの糸”が「ザ・ノース・フェイス」の…
  2. iPhone7は世界最強の酸に耐性があることが判明?
  3. ダイエット食から未承認薬
  4. アラスカのカブトムシは「分子の防寒コート」で身を守る
  5. 水の電気分解に適した高効率な貴金属フリーの電極が開発される:太陽…
  6. 富士フイルム、英社を245億円で買収 産業用の印刷事業拡大
  7. 名城大教授ら会社設立 新素材販売
  8. 書籍「Topics in Current Chemistry」が…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 今度こそ目指せ!フェロモンでリア充生活
  2. パール・クノール フラン合成 Paal-Knorr Furan Synthesis
  3. 第101回―「高分子ナノ構造の精密合成」Rachel O’Reilly教授
  4. ダニを食べ毒蓄積 観賞人気のヤドクガエル
  5. 有機レドックスフロー電池 (ORFB)の新展開:高分子を活物質に使う
  6. 計算と実験の融合による新反応開発:対称及び非対称DPPEの簡便合成
  7. 第140回―「製薬企業のプロセス化学研究を追究する」Ed Grabowski博士
  8. トムソン:2006年ノーベル賞の有力候補者を発表
  9. 三菱化学グループも石化製品を値上げ、原油高で価格転嫁
  10. 芳香族化合物のスルホン化 Sulfonylation of Aromatic Compound

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年8月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP