[スポンサーリンク]

試薬

カーボンナノチューブ /carbon nanotube (CNT)

[スポンサーリンク]

カーボンナノチューブ(carbon nanotube;CNT)は、炭素原子が多数連なってチューブ形状を形成した、炭素同素体の一種です。

歴史・用途

時は1991年、炭素同素体として知られる、フラーレンの生成作業中の出来事でした。

NEC基礎研究所の飯島澄男氏は、アーク放電の陰極堆積物の中からチューブ状物質を発見しました。[1] 1枚の黒鉛シートを丸めた筒をいくつも重ねた構造で、直径が数十nmで長さが数μmのまっすぐな円筒状であったことから、カーボンナノチューブと名づけられました。

現在、フラットパネルディスプレイの電界電子放出源、走査型プローブ顕微鏡の探針、及び各種ガス吸着材料として様々な産業分野で実用化が期待されています。

単層カーボンナノチューブ (Single-Wall Carbon Nanotube, SWNT)

筒が一層のもの。巻き方(カイラリティ)によってアームチェア(armchair)型、ジグザグ(zigzag)型、カイラル(chiral)型に分類されている。

多層カーボンナノチューブ (Multi-Wall Carbon Nanotube, MWNT)

筒が複数層からなるもの。

発見者の飯島氏は電子顕微鏡技術のエキスパートです。すなわち自らの強みを熟知しつつそれを活かして、世界の誰にも出来なかった革命的発見を行ったわけです。

多様性に富む現代社会においては、他人に負けない一本の柱となりうる技術を持ちつつも、視野を広く保った研究を行うことが重要となっています。カーボンナノチューブの発見は、そのことを改めて認識させてくれるすばらしい偉業です。

 

関連文献

[1] Iijima, S. Nature 1991, 354, 56.

 

関連書籍

 

外部リンク

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. カリックスアレーン /calixarene
  2. メントール /menthol
  3. チアミン (thiamin)
  4. アデノシン /adenosine
  5. オキサリプラチン /oxaliplatin
  6. シラフィン silaffin
  7. ソラノエクレピンA (solanoeclepin A)
  8. レスベラトロール /resveratrol

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. トリ(2-フリル)ホスフィン:Tri(2-furyl)phosphine
  2. メソポーラスシリカ(2)
  3. 島津、たんぱく質分析で新技術・田中氏の技術応用
  4. 分子構造を 3D で観察しよう (3):新しい見せ方
  5. なぜ青色LEDがノーベル賞なのか?ー基礎的な研究背景編
  6. 有機アジド(4)ー芳香族アジド化合物の合成
  7. Akzonobelとはどんな会社? 
  8. MacでChem3Dー新たなる希望ー
  9. リチャード・ヘンダーソン Richard Henderson 
  10. 第29回光学活性化合物シンポジウム

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

「自分の意見を言える人」がしている3つのこと

コロナ禍の影響により、ここ数カ月はオンラインでの選考が増えている。先日、はじめてオンラインでの面接を…

ブルース・リプシュッツ Bruce H. Lipshutz

ブルース・リプシュッツ(Bruce H. Lipshutz, 1951–)はアメリカの有機化学者であ…

化学者のためのエレクトロニクス入門② ~電子回路の製造工程編~

bergです。さて、前回は日々微細化を遂げる電子回路の歴史についてご紹介しました。二回目の今回は、半…

研究テーマ変更奮闘記 – PhD留学(前編)

研究をやる上で、テーマってやっぱり大事ですよね。私はアメリカの大学院に留学中(終盤)という立場ですが…

島津製作所がケムステVシンポに協賛しました

さて、第5回目があと1週間に迫り、第6回目の開催告知も終えたケムステVシンポ。実は第7回目も既に決定…

第99回―「配位子設計にもとづく研究・超分子化学」Paul Plieger教授

第99回の海外化学者インタビューは、ポール・プリーガー教授です。マッセイ大学基礎科学研究所に所属し、…

化学者のためのエレクトロニクス入門① ~電子回路の歴史編~

「化学者のためのエレクトロニクス入門」シリーズでは、今や私たちの日常生活と切っても切れないエレクトロ…

シグマトロピー転位によるキラルα-アリールカルボニルの合成法

アリールヨーダンとキラルオキサゾリンを用いた-シグマトロピー転位によるジアステレオ選択的α-アリール…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP