ベンゼン環記法マニアックス

May
11
2009
Author: cosine[Edit ] View: [741]
Category:一般的な話題 , 日常から
はてなブックマーク - ベンゼン環記法マニアックス このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をGoogle Bookmarksに登録する この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事を含むlivedoorクリップ この記事をnewsingに登録する この記事をChoixに登録する この記事をBuzzurlに登録する この記事をイザ!ブックマークに登録する この記事をFC2ブックマークに登録する この記事をニフティクリップに登録する この記事をdel.icio.usに登録する





benzeneStr_1.gif


 みなさん、上記の構造式AとB、どこが違うのか分かりますか?

 そうです、亀の甲の二重線の配置が違います。一目見て分かりましたよね!? え?びみょー?そんなの気にしたことなんて無いよ、ですって? まさにごもっとも。二重線の位置なんて、普段気にしないものだと思います。

 しかしこれを、厳密たるこだわりをもって使い分けようとする人が世の中には居るのです。


【スポンサード広告】



 使い分けてる当人の理屈は、「ナフタレンの共鳴関係(極限構造式)を書けば分かる!最も割合高く存在するべきは、Aの構造をもつはずだろ?」ということだそうで。ナフタレンのC-C結合はベンゼンと違って等価では無く、それを最も良く表現している構造式Aを用いるのが、厳密には適切だと。確かに言われて見ればそうかもですが・・・。


benzeneStr_4.gif


 いくら共役があるからと言って、例えばインドールのような化合物を、CやDのように書いてしまうのは、(酸性プロトンの位置的に)もちろん違和感を感じます(いや、単に見慣れてないだけ?)。しかしその一方で、AとBのどちらが適切なのか?と言われて即座に答えられる人は、世の中にどれだけの数いるのでしょうか。


benzeneStr_2.gif

 それにそんなことまで気にしはじめると、置換基の違いで書き方も変えなくてはならないのでは? そしてベンゼン環が増えてくるとやたら難しくなりはしませんかねぇ。ピレン(pyrene)とかグラフェンとかフラーレンとかどうすればいいの? さらにエスカレートして、「二本目の線は単結合の右左どこに置くべきか?おまえの美的感覚ではどうなんだ10秒以内で答えろ!」といった議論まではじまってくると無理すぎるだろ常識的に考えて・・・。


benzeneStr_3.gif


 などなど、世間一般の人なら誰も考えないであろうツッコミまで入れたくなること、それが人情というものの正体なのかもしれません(謎)。


 まぁ何にせよそれぐらいこだわりある人と話すほうが、普段考えもしないような箇所にまで話題が進んで面白い、というのは確かですが。


 こんな途方もなくマニアックな話で盛り上がったりする一方で、普段はもちろん厳密な書き方など一切気にしていません。実験ノート記入や、ホワイトボード上でのディスカッション時に、いちいちそんなことを考えながらやるのは面倒過ぎる・・・。


 それどころか「速く簡単に書けて伝われば何でもOK」という文化がどこのラボでも根強いのは、もはや周知の事実でしょう。どのラボ文化でも大抵は簡略構造式をよく使うはずです。議論の重心に絡まない場所はとりわけ適当で、単にAr(アリール)でお終いにしてしまうことも。そしてギリシャ文字のΦ(ファイ)は、アルファベットのPhに相当する文字で、ベンゼン環表記の究極進化形とも呼べます。六角形をわざわざ書くよりずっと速い! 


 省略しすぎると後から眺めて良く分からなくなるのでは?とかいう危惧は、怠惰という強力な駆動力の前に為す術などありません。


 この省略化にかける情熱および工夫過程の歴史は、人類文化学的に見て既に一種の学問領域を形成してしまっていると言っても過言ではないのでは!?人間というのは、ことほど左様に奥が深い生き物なのです(意味不明)。


benzeneStr_5.gif



  • 関連リンク

芳香族って何モノ?(有機って面白いよね!!)


関連記事

このページをTwitterでつぶやくもしくはReTweetする

つぶやく場合は青、ReTweetしていただける場合は赤をクリックしてください!
Twitter-blue-32 Twitter-red-32

この記事を評価してくださいませんか?皆さんのコメントもお待ちしております!!

評価は下の星にマウスをあわせてドラッグしてください。1~5段階です。コメントはWrite a reviewをクリックして入力してください。ユーザー登録不要です。






ホーム > 一般的な話題 , ホーム > 日常から > ベンゼン環記法マニアックス


« 二酸化炭素をメタノールに変換する有機分子触媒 | トップページ | 紫外線に迅速応答するフォトクロミック分子 »

サイト内検索


RSSを直接登録

はてなRSSに追加

Add to Google

Subscribe with livedoor Reader

Bloglinesで閲読登録

My Yahoo!に追加

新着記事


カテゴリ

CSツイッター



おすすめ書籍

2009年10月人気化学書籍ランキング

1位



2位


3位


4位

Stuart Warren ¥ 4,132

5位


おすすめ


2009年10月人気化学書籍ランキングの続きを読む