[スポンサーリンク]

一般的な話題

文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑥:実験室でも長持ち「ステンレス定規」の巻

[スポンサーリンク]

stainless_ruler_1.jpg
さて細々と続いている「化学者の独断と偏見で取り上げる文具コーナー」。

今回ご紹介するのは定規です。

なんでまた定規なんて地味なものを?と言われそうですが、いやいや定規に笑うものは定規に泣く。バカにしてはいけません。こんなとこにも化学者ならではのこだわりがあるんすよ。

有機化学研究なんかを仕事にしてますと、どーしても気になる点が一つあります。

有機溶媒を使いまくる実験環境なので、プラスチック定規が溶けてしまうのです。

定規なんて溶媒に触れないもんだろ?と考える方、いらっしゃるかもしれません。しかし少なくとも筆者の場合は、意外にそうでもないのです。ノートを実験台に持ち込んで書いたり、TLCのRf値を測ったり・・・定規を溶媒のそばで使う機会は、なんだかんだと少なくないのです。

かつては透明定規を便利に感じていたので、アクリル製を愛用していました。
しかし実験をやるようになって以来、それがあっという間にボロボロになっていく経験を何度となくします。そのたびに買い換える羽目になり、何本定規をダメにしたか知れません。今思い返してもなんとも勿体無い。

何本目かの定規をダメにしたある日、「そうだ、ステンレス定規ならそんな心配無用では?」という事実にふと気づきました(というか気づくの遅すぎ!)。

それ以来、ステンレス使いに転向したわけです。
金属製だとぽっきり折れたりせず、耐久性という点でもマル。
かといって重たいのはもちろん嫌なので、携帯に便利なサイズが欲しい。

いろいろ調べた末にたどり着いたのが、「コクヨの15cmタイプ」です。

これは値段もお手頃で、何といっても薄くて軽い! 筆者は二本ほどをペンスタンドに常駐させています。

実験室に持ち込むこともありますが、当然ながら全く目盛りが消えません。定規が溶媒で溶けてデコボコになることも防げます。耐久性は相当なもので、長く使っているにも関わらず、いまだ買い直す必要性を感じないほどです。30cmタイプもありますが、使用目的を考えると15cmが筆者にとっては必要十分なので、こちらは持っていません。

あえて欠点を言うならば、とても薄くて扁平ゆえに、爪で引っ掛けて拾いあげる必要がたまにあり、ここがちょっとだけストレスフル。

こんなちょっとしたことでも気になるよ、という方には「ライオン製のステンレス定規」 がオススメです。端に特殊加工がなされており、指で押さえれば定規が持ち上がり、簡単に拾い上げることができるという素晴らしいアイデアが採用されています。反面、コクヨ製より価格は高めですが、定規なんてそれほど高価なもんじゃないですし、良いものを買って長く使うほうが結果的に得だと思えます。

stainless_ruler_2.jpg

(ライオン事務器のサイトより)

「実験室ではステンレス定規」を合言葉に、今後とも化学研究に励みましょう!

  • 関連書籍
究極の文房具カタログ【マストアイテム編】 究極の文房具カタログ【マストアイテム編】
高畑 正幸ロコモーションパブリッシング
売り上げランキング : 28116

Amazonで詳しく見る by AZlink

すごい文房具 リターンズ (CIRCUS MAX 11月号増刊) すごい文房具 リターンズ (CIRCUS MAX 11月号増刊)
KKベストセラーズベストセラーズ

Amazonで詳しく見る by AZlink

大人の文房具【文豪たちに愛された傑作文房具&書斎グッズ】 (100%ムックシリーズ) 大人の文房具【文豪たちに愛された傑作文房具&書斎グッズ】 (100%ムックシリーズ)晋遊舎
売り上げランキング : 5040

Amazonで詳しく見る by AZlink

  • 関連リンク

ライオン ステンレス定規

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 結晶作りの2人の巨匠
  2. 【基礎からわかる/マイクロ波化学(株)ウェビナー】 マイクロ波の…
  3. 学部4年間の教育を振り返る
  4. 人工タンパク質ナノブロックにより自己組織化ナノ構造を創る
  5. ボリルヘック反応の開発
  6. 「科学者の科学離れ」ってなんだろう?
  7. 第五回ケムステVシンポジウム「最先端ケムバイオ」開催報告
  8. 周期表の形はこれでいいのか? –その 1: H と He の位置…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 相撲と化学の意外な関係(?)
  2. 第36回ケムステVシンポ「光化学最前線2023」を開催します!
  3. 二フッ化酸素 (oxygen difluoride)
  4. アメリカ大学院留学:TAの仕事
  5. [書評]分子の薄膜化技術
  6. 中村 浩之 Hiroyuki NAKAMURA
  7. −(マイナス)と協力して+(プラス)を強くする触媒
  8. 研究室でDIY!ELSD検出器を複数のLCシステムで使えるようにした話
  9. 名大の巽教授がIUPAC次期副会長に
  10. 宇宙に漂うエキゾチックな星間分子

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP