[スポンサーリンク]

一般的な話題

「科学者の科学離れ」ってなんだろう?

[スポンサーリンク]

chem.gif

 

今に始まったことではありませんが、理科離れ、あるいは科学離れという言葉をよく耳にします。それは小学生・中学生といった子供たちが科学に興味を持たなくなっているという話。

ところが最近では、「科学者の科学離れ」が進んでいるというのです。

 

これはいったいどういうこと?

科学者の科学離れと言われると不思議な感じがしますが……まずは簡単なチェックテストに協力してもらいましょう。

 

?Q1 自分のやっている研究についてある程度説明できる。

?Q2 自分の隣、あるいは前後の席で研究している人の研究についてある程度説明できる。

?Q3 自分と同じ部屋で研究している人の研究についてある程度説明できる。

?Q4 自分と同じ大学・会社で研究している人の研究についてある程度説明できる。

?Q5 日本の研究者の研究についてある程度説明できる。

?Q6 世界の研究者の研究についてある程度説明できる。

 

下の方のクエスチョンに関しては面倒臭くなってきたのでかなり漠然としていて、同じ分野の人の研究だけならわかるよ、とか、友人の研究なら説明できるぞ、とかいろいろあるかもしれませんが、まぁとりあえずはどちらでも構いません。

チェックしてみて気付くのは意外と周りのことはよく知らないということです。これって科学離れではないですか?

知らないということと興味がないということは別物なので、上述のチェックが少なかったからと言って一概に科学離れとは言えないかもしれません。しかし、同じ研究室の人の研究を知らないなどというレベルになってくると、勉強不足というよりは単に関心がない、すなわち科学離れの第一歩を進んでいるといっても差し支えないでしょう。

まぁこれを科学離れと呼ぶか否かは読者の判断にお任せいたしますが、いずれにせよ自分の研究に近い内容に関しては正確な知識を持っていたいですし、できる限り遠い分野についてもある程度のことは知っておきたいですよね。

しかし、研究者は周りに関心を持つにはあまりに自分すべき作業が多すぎますし、一口に同じ分野・他の分野といっても、幸か不幸か現代の科学研究のフィールドはあまりに広大で、簡単に勉強するのはとても難しいと思います。(何かいい勉強方法があるならば教えて頂きたいものですが)私の思うところを以下に綴ってみたいと思います。

 人とよく話をする 

上述の「同じ研究室の人の研究を知らない」などというのは、人と話をしていればありえないはずです。研究室によっては「私語禁止!」なんていうのもあるようですが、私は周りの人と研究の話をするのはとても良いことだと思います。

また、学会の懇親会に参加するのは意味あることだと思います。身内で固まっていたり、ただ飲食を楽しんでいるだけではあまり意味ないですが……

人に聞かなくても自分で勉強すればわかるワイ!と思っているそこのあなた。教科書や論文に書いてあることが、その研究の全てだとでも思っていませんか?

 講演をよく聞く

当り前じゃないか、と言われるかもしれませんが……どんなに忙しい研究者でも、学会に来ているときには実験できません。それならよく聞いておいた方がいいでしょう。そして、できるだけ講演者に質問をするべきだと思います。質問をすると、案外その内容についていつまでも記憶しているものですよ。

 日本語の雑誌を読む

英語の勉強にはなりませんが。化学の分野では、「化学」「現代化学」のような雑誌は重宝します。英語が得意な人でも、自分と違う分野の英語の雑誌はなかなか読めないことありませんか?「化学」「現代化学」は多様な分野の化学が詰まっていますし、かつ分かり易くまとまっていて私はとても好きです。

 

今回は、受け手側のあり方について個人的な意見を述べましたが、「科学離れ」しないためには発信する側も最大限に工夫する必要がありそうです。すなわち、いかに他人に分かり易く科学を説明するか、という部分にも努力しなければなりません。それには過去の記事を参考にしてみるのも良いかもしれません。

Avatar photo

らぱ

投稿者の記事一覧

現在、博士課程にて有機合成化学を学んでいます。 特に、生体分子を模倣した超分子化合物に興味があります。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 光の色で反応性が変わる”波長選択的”な有機光触媒
  2. 日本にあってアメリカにないガラス器具
  3. 第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開…
  4. 自動車の電動化による素材・化学業界へのインパクト
  5. 【書籍】理系のための口頭発表術
  6. 柔軟な姿勢が成功を引き寄せた50代技術者の初転職。現職と同等の待…
  7. ひどい論文を書く技術?
  8. 反応中間体の追跡から新反応をみつける

注目情報

ピックアップ記事

  1. はじめての研究生活マニュアル
  2. ハイブリッド触媒系で複雑なシリルエノールエーテルをつくる!
  3. 第2回国際ナノカーレースにてNIMS-MANAチームが優勝
  4. 痔治療の新薬で大臣賞 経産省が起業家表彰
  5. マテリアルズ・インフォマティクスの推進を加速させるためには?
  6. 危険物データベース:第1類(酸化性固体)
  7. 市販の化合物からナノグラフェンライブラリを構築 〜新反応によりナノグラフェンの多様性指向型合成が可能に〜
  8. 決め手はジアゾアルケン!!芳香環の分子内1,3-双極子付加環化反応
  9. 経験の浅い医療系技術者でも希望にかなう転職を実現。 専門性の高い職種にこそ求められる「ビジョンマッチング」
  10. ナノチューブを簡単にそろえるの巻

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年2月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829  

注目情報

最新記事

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その1

Tshozoです。今回はかなり限定した疾患とそれに対するお薬の開発の中身をまとめておこうと思いま…

第42回メディシナルケミストリーシンポジウム

テーマAI×創薬 無限能可能性!? ノーベル賞研究が拓く創薬の未来を探る…

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP