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結晶作りの2人の巨匠

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始まりは、谷口尚が作製した結晶の副産物に、渡邊賢司が目を留め、拾い上げたことからだった。今や、グラフェンのエレクトロニクス研究に欠かせない、2 人が生み出す「六方晶窒化ホウ素」の結晶。彼らの結晶の品質の高さは飛び抜けているため、世界中の物理学者から求められ、共著者として名を連ねた論文は700 本を超える。

タイトルおよび説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語で読める科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」2019年11月号から(画像クレジット:MARK ZASTROW)。

最新サイエンスを手軽に日本語で読める本誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

結晶作りの2人の巨匠

物質・材料研究機構の谷口尚と渡邊賢司が作り出す、極めて高品質の六方晶窒化ホウ素結晶が、近年目覚ましい発展を遂げているグラフェンのエレクトロニクス研究を支えている。

ものづくりの匠の話です。匠の技により生み出されたのは窒化ホウ素の結晶。いま物理学界で最も切望されている「逸品」です。

窒化ホウ素(出典:wikipedia)

 

二次元(2D)材料の電子挙動に関する研究を加速させるこの結晶の活躍は、2011年以降の共著論文の増加をみれば火を見るより明らかです。2018年だけで合わせて180本以上に上るといいます(ScienceとNatureに掲載された論文の数は2011年以降だけで優に50本を超える)。

記事中のコメントが秀逸。

「なぜ谷口と渡邊の結晶を使うのかって? それがベストだからです」。

求められる結晶(出典:Natureダイジェスト)

 

深夜になると実験棟にクイーンの曲を大音量で響き渡らせながら高圧装置を動かし、60歳だというのに昼休みには同僚とサッカーを楽しんでいるそう。まさに職人ですね。しかし、その匠の技も継承は難しく、それが失われることを危惧しているという話でした。こういう話は大変共感を覚えます。8ページもあるのに、読みやすく大変良い記事だと思います。

炭素だけからなるリング状分子の合成・単離に成功

18個の炭素原子がリング状につながったシクロカーボンが合成・単離され、その構造が初めて調べられた。この分子は半導体の性質を持つと予想されており、エレクトロニクスへの応用が期待される。

化学の世界ではかなり話題になっていたので、知っている方が多いと思いますが、炭素だけの「シクロカーボン」の合成に関する記事です。

途中までは有機合成、最後の工程は、電圧パルスをかけて分子内のカルボニルを一酸化炭素として6つ飛ばす(脱カルボニル反応)で合成を達成しています。

シクロ[18]カーボン(C18)(出典:Natureダイジェスト)

 

合成はできたものの、1分子のみ。また塩化ナトリウム層の上。そこから剥がすとどうなるのか?壊れるのか、違う化合物に変化するのか、物性もなにもわかっていません。さらにリングサイズの違いによっても物性は異なるため、まだまだ研究は超基礎段階といったところです。0→1の研究はワクワクしますね。

学術界サバイバル術入門 — Training 11:学会発表 ②

好評連載中の学術界サバイバル入門。前回から取り上げられている、学会発表における注意点。前回は、ポスター発表でしたが今回は口頭発表に関する注意点です。

前半は、必ず守ってほしいスライド作成の注意点が述べられています。しっかり確認してスライド作成に臨みましょう。後半は、発表スキルについて。非言語スキルと、言語スキルについて述べられてます。

一部を抜粋すると、非言語スキルからは、

2.アイコンタクトをしましょう。

そうすることで、あなたが参加者たちを十把一絡げに見ているのではなく、それぞれの個人として見ているのだということを示せます。これは、あなたが話している間、彼らの注意を引き付けておく助けになるでしょう。

6.微笑を浮かべましょう。

人は親しみやすい人に引き付けられるものです。聴衆と良い関係を築きたいですよね。ならば微笑むことは、一番いい方法です。

言語スキルからは、

2.強調したいときには、間を置きましょう。

間を置くと、人々は無意識にあなたがいま言ったことについて考えます。これは、発表中に重要なポイントを強調する助けになります。

5.つなぎ言葉は避けましょう。

「えーっと」などの意味のないつなぎ言葉は、聴衆の注意を話からそらしてしまうだけでなく、あなたが言葉に詰まっているようにも見えてしまいます。

など。そんなの当然だよ!と思いながらも意外と本番できないものですよね。本番の発表前に確認しておくといいかもしれません。

今月号の無料公開記事

さて今回の無料記事はなんと5つと盛りだくさんです。

1つめは、「デジタルデータを活用した研究に必要な同意とは」としてデジタル端末からのデータ流出と、リスクの評価法についてのべています。2つめは、「150 years of Nature anniversary articles」。先月号にもありましたが、その続きで、今回は気象科学・エピジェネティクス・神経科学という3つのキーワードに関して、それらの未来について述べています。

3つめは、日本を騒がした本年のノーベル化学賞について。(「吉野彰氏が2019年ノーベル化学賞を受賞!)。今回はガチガチの本命がついに受賞となりました(ケムステの解説記事はこちら→2019年ノーベル化学賞は「リチウムイオン電池」に!)。4つめは、日本の科学者の共同研究が成功した「真核生物の起源を暗示するアーキアの培養に成功!」という記事。全ての真核細胞がアスガルド類アーキアに似た遠い祖先から生じたという仮説のサポートに一石を投じています。

最後の5つめは、「若手研究者支援の新たな取り組み」。2019年9月に東京で開催されたリサーチ・アドミニストレーター(RA)協議会の年次大会での一幕。日本の若手研究者支援という枠組みで今後の取り組みを語っています。

冬のお供に:購読のおすすめ

2019年もあと1ヶ月強と終わりが近づいてきました。購読すれば過去記事もすべて見れるようになるので、冬休みに今年を振り返り読破!みたいなことも可能です。科学を日本語で俯瞰してみることができる本誌。大変おすすめです。

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過去記事はまとめを御覧ください

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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