[スポンサーリンク]

一般的な話題

採用面接で 「今年の日本化学会では発表をしますか?」と聞けば

[スポンサーリンク]

 

今回は就活に関するつぶやきです。それも企業の面接担当の方へのお願いです。

お願いはひとつだけ。
企業の採用面接で

「今年の日本化学会では発表をしますか?どんな発表ですか?」

という質問をしてみて頂けませんか?

現実の就職活動においては、修士課程1年生(M1)の学生は様々な情報、デマに流されます。
就職試験は実は10月から始まっているとか、どこどこの企業はエントリーシートをもう締め切ったとか、50社エントリーシートを出しても落ちるやつがいるとか、エントリー開始から1時間後にはもう締め切られるとか、もう誰それは内々定をもらったとか、本当にさまざまな噂が出回ります。しかもそれらの情報の一部は真実です。

企業の人事の方のほとんどは大学の研究活動に配慮して下さっており頭の下がる思いですが、一部のそういった企業やあらぬうわさに学生は振り回されてしまいます。
噂というのは不思議なもので、大概は「誰それは裏ワザを見つけたので楽に就職が決まった」
という形をとっています。一種の願望が混ざっているのかもしれません。恐らく、ほとんどの就活生(理系)にとっては
「裏ワザでごまかそうとしてもうまくいかず、これまで頑張ってきた四年間の勉強や、研究室での実験の実績、もしくはこれまで研究室を築いてきた諸先輩や人脈、学歴のおかげでうまくいった」
というのが真実なはずです。

研究室の諸先輩や学歴というのはつまるところ諸先輩方ががんばって研究をしてきた実績と信頼ということで、要するにほとんどの研究室においては、目の前の研究をがんばると就活がうまくいく

ということなのだと思いますが、
逆に、「この間JACSに通った、といったらあっさり採用が決まった」
とかいう、我々からしたらうれしい噂はあまり流れません。

そこで私の立場から企業にお願いしたいのが、冒頭の「今年の日本化学会では発表をしますか?どんな発表ですか?」という質問です。この質問は、学生にいくつかのよい影響を与えると考えます。

1. 企業は、目の前にある仕事を大切にする人を欲しがっている

 

就活は本当に大変と思います。そのため、M1の秋から研究活動に支障が出始め、日本化学会の年会にM1が全く参加しない、という研究室もいくつもあります。
しかし、口先だけの「面接の練習」を確認するような一般的な質問や「うちの会社のどこがきにいったか」などという質問よりも、

「今目の前にある研究をどれだけ大切にしているか」を聞いてもらえば、将来、会社でも目の前の仕事をしてくれるかどうか想像がつきそうではないでしょうか。ましてや社会人になれば、子供や介護を抱えながら働かなければならないこともありえます。就活をしながらでもちゃんと実験をこなせるかどうかというのは企業から見ても重要な指標になりうるのではないでしょうか。

2. 研究ができる人を、企業もとりたい

 

大学の研究の目的は企業と違いすぐに役に立つ内容では無いかもしれません。しかし実験をし、学会発表をこなし、ましてや論文を書き上げるという研究プロセスは決して容易なことではありません。M1の学生は研究室に入って2年弱という短い期間しか研究をしていません。学会発表するためには新しいテーマに早くなじみ、よく考えたうえで、実験をこなし、周りと協調し上司とうまくコミニュケーションが取れなければ不可能です。研究内容よりもこの「仕事をこなすことができたという実績」を考えれば、企業で働けるかどうかの重要な指標になりうるのではないでしょうか。いや、学生の能力を測るのにこれ以上のテストはないのではないかと思います。

 

3、企業は良い意味での成果主義で、コネ・コミュ力以外に大切なものがある

 

最近の就活は、コミュ力命、という印象を学生に与えています。しかし、研究者としてそんな人ばっかり欲しいわけではないと思います。

目の前の仕事で着実に成果を出すこと、これこそ企業が求めていることで、目の前にある研究をこなし、まとめることで人生が拓けるのであれば、それは学生へのいいメッセージになります。

「今年の日本化学会では発表をしますか?どんな発表ですか?」

と聞くだけで、その学生は、「口先だけでうまいこと言って、目の前の実験はサボればいいや。不安だし」と考えている学生か、それとも「就活は大切だし、研究も大切だから、両方をこなしてやる!」と考えている学生かが明らかになるのです。学生の口先よりも実績が大切だ、努力できる奴が幸せになる、そういう就職活動の流れを作れれば、学生も研究に集中して実力をつけることができますし、大学教員にとっては学生の研究力をつけること=いい学生を集めること=研究成果を挙げることなりえます。さらに企業としても、研究により成果を出した学生、というペーパーテストよりもはるかに仕事力がわかる指標をえられるという、win-winが成り立つように思います。どうでしょう。大学人のためと思って、この春には一つ「今年の日本化学会では発表をしますか?どんな発表ですか?」という一言を、面接時に加えて頂けませんか?さらにその先には、M1の就活までに英語論文の投稿をすると就職が楽になるというところまでいくと、まさに私たち大学の人間には、そして日本のアカデミーの競争力のためには最高なんですが。。。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4797362111″ locale=”JP” title=”理工系のための就活の技術 元技術面接官が教える「受かる学生」と「落ちる学生」の違い (サイエンス・アイ新書)”]

関連記事

  1. 新型コロナの飲み薬モルヌピラビルの合成・生体触媒を用いた短工程化…
  2. 兄貴達と化学物質
  3. 微小な前立腺がんを迅速・高感度に蛍光検出する
  4. 天然のナノチューブ「微小管」の中にタンパク質を入れると何が起こる…
  5. 幾何学の定理を活用したものづくり
  6. ナノってなんナノ?~日本発の極小材料を集めてみました~
  7. 2007年ノーベル化学賞『固体表面上の化学反応の研究』
  8. ボリルアジドを用いる直接的アミノ化

注目情報

ピックアップ記事

  1. 逆電子要請型DAでレポーター分子を導入する
  2. 簡単に扱えるボロン酸誘導体の開発 ~小さな構造変化が大きな違いを生んだ~
  3. 旭化成、5年で戦略投資4千億
  4. アメリ化学会創造的有機合成化学賞・受賞者一覧
  5. アッペル反応 Appel Reaction
  6. 第4回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ
  7. 第2回エクソソーム学術セミナー 主催:同仁化学研究所
  8. Reaxys PhD Prize 2020募集中!
  9. 【悲報】HGS 分子構造模型 入手不能に
  10. 危ない試薬・面倒な試薬の便利な代替品

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年2月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  

注目情報

最新記事

異方的成長による量子ニードルの合成を実現

第693回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科(佃研究室)の髙野慎二郎 助教にお願…

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

光の強さで分子集合を巧みに制御!様々な形を持つ非平衡超分子集合体の作り分けを実現

第691回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 分子集合体化学研究室(矢貝研究室…

化学系研究職の転職は難しいのか?求人動向と転職を成功させる考え方

化学系研究職の転職の難点は「専門性のニッチさ」と考えられることが多いですが、企業が求めるのは研究プロ…

\課題に対してマイクロ波を試してみたい方へ/オンライン個別相談会

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波”について、今回は、適用を検討してみ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP