[スポンサーリンク]

ケムステニュース

2011年10大化学ニュース【後編】

[スポンサーリンク]

 

2011年10大化学ニュース【前編】に引き続いて、【後編】!残り数分(なんとか間に合った!)、除夜の鐘を聞きながらもしくは新しい年の始まりを感じながら2011年化学をもう一度振り返ってみましょう。

ジョブズの死・iphone4Sの発売ー化学ITは群雄割拠

2011top10news5.png

2011年はアップルのカリスマ創始者スティーブ・ジョブズがなくなりました。その後すぐに発売されたiPhone4S。現在は彼の進めてきたiPhoneの開発からはじまったスマートフォン全盛の時代となっています。新しいMac OSX Lionも発売されました。化学業界のIT化はいかにということですが、基本となるソフトは変わらないものの、科学情報を整理、収集するための多くのツールが開発されました。文献を簡単に収集する、Organic Chemistry Reference ResolverやArticle Locatorが公開されたのも本年です。単純なアイデアであるものの文献収集を非常に用意なものとしました。これに関しては、月刊化学に記事を書かせていただきました(2011年(66巻)12月号 【解説】続化学研究ライフハック! ●山口潤一郎・望田憲嗣 )文献整理ソフトにもある革新的な無料ソフト(ReadCube)が紹介されました。キラーアプリになるのかわかりませんし、いまだオールマイティーなツールはありませんが、確実に化学研究を加速するツールが増えていくことは間違いないでしょう。乗り遅れないように注意しましょうね!

[ケムステ関連記事]

MacでChem3Dー新たなる希望ー

文献管理のキラーアプリとなるか? 「ReadCube」

研究活動の御用達!PDF加工のためのクラウドサービス

化学研究ライフハック:これまでの記事を総まとめ!

こんなサービスが欲しかった! 「Chemistry Reference Resolver」

 

若い世代の活躍ー化学分野も!

 

2011top10news7.png

 今年は若い世代のAKB一色の年ではなかったでしょうか(筆者はあんまり詳しくないのでわかりません。)化学界も若い世代がとってもがんばりました。なんといっても、高校生の化学研究が2つ論文になったということが報道されたのが嬉しい限りです。サイエンスに興味がないといわれている、若い世代にも化学オリンピックや化学啓蒙イベントなどを継続して行い、サイエンスに興味をもってくれる若者が増えてくれることを願います。そんな若者を教育するのは我々の使命であり、「最近の若者は…」という決まり文句は、自分たちを否定していいるだけなんで、そんな暇があったら科学の面白さを伝えればと思います。

[ケムステ関連記事]

茨城の女子高生が快挙!

仙台の高校生だって負けてません!

2011年いろんな命名ー元素の命名も。

2011top10news9.png

 どーやら2011年にうまれた子供の名前は男の子は大翔(ヒロト)、女の子は結衣(ユイ)が一番のようで。子供の命名はその年の映画やドラマ、アニメ、注目俳優、女優等できまるようで、時代を反映しているいわゆる流行物ものでもあります。ところで、(かなり強引に話をもっていきますが)、今年は化学界では”新たに生まれた”114番目と116番目の元素が命名されました。それぞれ「フレロビウム(Fl)」と「リバモリウム(Lv)」。もちろん普通の名前のようにかぶることもできず、流行というよりは発見者、場所(国)、背景などバランスを考えた命名となっています。113番目の元素がどのような命名になるか、来年、再来年もっと先になるかもしれませんが注目したいと思います。

[ケムステ関連記事]

114番元素と116番元素の名称が間もなく決定! 

114番元素と116番元素が正式認可される

「京」が世界一を奪還ー化学界の状況は?

2011top10news6.png

 スパコン「京」の世界一の奪還。それでもすぐに他国でもそれを超えるスパコンが開発されている。勝たねばならない。1番であるために。化学界はいかがでしょうか。もちろん一番は重要ですが、化学に立脚したオリジナルな研究がいつの時代でも求められています。学術的な話に関しては分野をすべて知っていないとできませんが、いくつか分野は限られますが、面白かった化学ネタをいくつか振り返って紹介させていただきたいと思います。

[ケムステ関連記事]

分子レベルでお互いを見分けるゲル

わずか6工程でストリキニーネを全合成!!

含ケイ素四員環-その2-

Z-選択的オレフィンメタセシス

このホウ素、まるで窒素ー酸を塩基に変えるー

カスケード反応で難関天然物をまとめて攻略!

力学的エネルギーで”逆”クリック!

書籍ベストセラ:化学はやっぱり…

2011topnews10.png

どうやら2011年のNo.1 売上書籍はAmazonではスティーブ・ジョブズ I、トーハンでは謎解きはディナーのあとで、和書全般では涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)であったらしいです。ITとアニメ強し…といった状況だったわけですが、化学分野ではどうでしょうか。やっぱり「ラブ・ケミストリー 」ですね。「ジェノサイド 」という.創薬化学を専攻する大学院生を主役とする書籍もありましたが、今年はガチで化学の描写を書いた「ラブケミストリー」が化学分野のベストセラー!来年も期待しています。

[ケムステ関連記事]

「ラブ・ケミストリー」の著者にインタビューしました。

有機化学者のラブコメ&ミステリー!?:「ラブ・ケミストリー」

訃報2011-化学分野

 上記に記載した、ジョブズやカダフィー大佐、ビンラディン、金正日など悪名高い方が多いですが、多くの方がなくなりました。化学分野でも「有機化学美術館」の佐藤さんが詳しく記載されていますが(レクイエム2011)おおくの著名な化学者がなくなりました。一部のリストを掲載いたします。

1月3日 ウィリアム・フォン・エッガース・デーリング(有機化学)
1月9日 丹羽淳(名大、有機化学)
1月10日 北丸 竜三(京大、高分子化学)
1月11日 木村允(山口大、化学工学)
1月12日白石振作(東大、有機合成化学)
1月19日 田宮 信雄(東北大・生化学)
2月11日 杉原剛介(福岡大、コロイド・界面化学)
2月26日 本多健一(東京大名誉教授、東京工芸大名誉学長、光電気化学専攻)
2月28日 大塚保治(慶大・高分子化学)
3月4日 神田 慶也(元九州大学長・構造化学)
3月22日 David Jin (米国・有機合成化学)
4月4日 Emanuel Vogel (ドイツ・構造有機)
4月14日 ウィリアム・リプスコム(米国:ノーベル化学賞受賞者)
4月6日 Francis Gordon Albert Stone(英国)
5月8日 Corwin Hansch(米国)
5月27日 ?村知之(岐阜大学、高分子)
6月23日 John Glasby(英国)
7月23日 Richard Pike(英国)
8月9日 Mimi Lee(米国)
9月28日 村上幸夫(大阪市立大・物理化学)

この中でも個人的に一番残念であったのがDavid Gin氏の死去。皆様のご冥福をお祈りいたします。

[ケムステ関連記事]

 【追悼企画】鋭才有機合成化学者ーProf. David Gin

というわけで、10大ニュースなんとか紹介することができました。本年もChem-Stationをご愛護いただきまして誠に有難うございました。来年も化学情報サイトとしてスタッフ一同全力で化学を啓蒙していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。それでは良いお年を!

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 日本で発展する化学向けAIと量子コンピューターテクノロジー
  2. 北大触媒化研、水素製造コスト2―3割安く
  3. 8億4400万円で和解 青色LED発明対価訴訟
  4. EU、玩具へのフタル酸エステル類の使用禁止
  5. 直径100万分の5ミリ極小カプセル 東大教授ら開発
  6. よくわかる最新元素の基本と仕組み
  7. 化学系プレプリントサーバー「ChemRxiv」のβ版が運用開始
  8. ダウ・ケミカル、液晶パネル用化学品をアジア生産へ

注目情報

ピックアップ記事

  1. サリチル酸 (salicylic acid)
  2. 日本発元素がついに周期表に!!「原子番号113番」の命名権が理研に与えられる
  3. 第15回日本化学連合シンポジウム「持続可能な社会構築のための見分ける化学、分ける化学」
  4. アビシェック・チャッタージー Abhishek Chatterjee
  5. スケールアップで失敗しないために 反応前の注意点
  6. Nature Chemistryデビュー間近!
  7. ガラス工房にお邪魔してみたー匠の技から試験管制作体験までー
  8. 2014年ノーベル化学賞・物理学賞解説講演会
  9. 調光機能付きコンタクトレンズが登場!光に合わせてレンズの色が変化し、目に入る光の量を自動で調節
  10. クラーク・スティル W. Clark Still

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

ミトコンドリア内タンパク質を分解する標的タンパク質分解技術「mitoTPD」の開発

第 631 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 生命科学研究科 修士課程2…

永木愛一郎 Aiichiro Nagaki

永木愛一郎(1973年1月23日-)は、日本の化学者である。現在北海道大学大学院理学研究院化学部…

11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。11/16…

KISTEC教育講座『中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発』 ~水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計~

 開講期間 令和6年12月10日(火)、11日(水)詳細・お申し込みはこちら2 コースの…

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

産総研の研究室見学に行ってきました!~採用情報や研究の現場について~

こんにちは,熊葛です.先日,産総研 生命工学領域の開催する研究室見学に行ってきました!本記事では,産…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP