[スポンサーリンク]

ケムステしごと

究極の脱水溶媒 Super2(スーパー スクエア):関東化学

[スポンサーリンク]

この度、関東化学株式会社は水分1ppm以下を保証する脱水溶媒を発売開始致します。

この水分保証値は市販品では世界最高の品位(2018年現在)であり、“究極”と形容できるレベルの製品です。当社では2006年当時において世界最高品位となる水分10ppm以下を保証したSuperグレードを他社に先駆けて製品化しましたが、今回の製品はこれを超越したものであることから、Superの2乗を意味するSuper(スーパー スクエア)グレードと命名しました。

第一弾として販売開始するのはトルエンですが、本品は水分以外にも溶存酸素も低減しており、水分・溶存酸素ともに1ppm以下を保証した製品となっています。また、トルエン以外の溶媒についても順次Super2グレードをラインナップに加えていく予定となっています。

本製品の開発について

開発を進める上での技術的な課題は主に二つありました。

一つ目は安定した品質で如何に効率良く精製するかであり、二つ目は超微量の水分をどのように測定するかです。

まず、前者について言うと実験室で少量を精製すること自体はそれ程ハードルが高くありません。しかしながら、市販で流通させる場合にはトンレベルで効率良く精製できなければならないため、話が全く異なります。基本的なところで言えば、効率化と品質はトレードオフの関係にあり、一方を求めるともう一方が犠牲となってしまいがちです。試行錯誤の上、最終的には精製装置の設計から着手することで解決を図りました。

もう一つの課題である超微量の水分測定については装置メーカーに協力を要請し、これまでの5~10倍の高感度カールフィッシャー水分測定装置を開発していただくことから始めました

(市販の水分計での測定では約10 μgが定量下限であり、これを大きく下回る領域の測定は装置メーカーに取っても大きなチャレンジとのことでした。この装置は近々装置メーカーより販売開始される予定です)。

但し、装置さえあれば誰でも簡単に測定できる訳ではありません。完全無水に限りなく近い溶媒を“水分のコンタミネーション無くサンプリングし、装置に導入する”ことは想像以上に難しいものなのです。

水分10 ppm以下を保証する従来のSuperグレードでも「製品の試験成績書に比べて受入試験での測定値がかなり大きい」との相談をお客様からいただく場合がありますが、ほとんどはサンプリング~試料導入の過程での水分のコタミネーションに原因があります。

このため、当社ではこれら一連の検討をドライルーム内で行っています。

ドライルームとは、超低湿環境を人工的に作り出す部屋であり、人が中で作業をしている状況下で露点-40 ℃以下のレベルを維持することが可能な設計となっています(ドライルーム内において最大の水分供給源は人間になります)。

後日談ですが、連日ドライルームで検討を行った開発担当者は、乾燥肌になるのを気にしていましたが、意外なほど影響がなかったとのことです。

この製品に関するお問い合わせ

関東化学株式会社

本社:東京都中央区日本橋室町2-2-1

電話:03-6214-1090 FAX:03-3241-1047 メールはこちら

関連記事

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 高分子鎖デザインがもたらすポリマーサイエンスの再創造|オンライン…
  2. ウコンの成分「クルクミン」自体に効果はない?
  3. 光触媒で人工光合成!二酸化炭素を効率的に資源化できる新触媒の開発…
  4. 【Spiber】タンパク質 素材化への挑戦
  5. アルデヒドからアルキンをつくる新手法
  6. 塩基と酸でヘテロ環サイズを”調節する”
  7. いつも研究室で何をしているの?【一問一答】
  8. 二重芳香族性を示す化合物の合成に成功!

注目情報

ピックアップ記事

  1. ケージド化合物 caged compound
  2. ジェイムス・ブル エナンチオ過剰率決定法 James-Bull Method for Determination of Enantiomeric Excess
  3. ビュッヒ・フラッシュクロマト用カートリッジもれなくプレゼント!
  4. カスガマイシン (kasugamycin)
  5. 中村 正治 Masaharu Nakamura
  6. 科博特別展「日本を変えた千の技術博」にいってきました
  7. 総収率57%! 超効率的なタミフルの全合成
  8. 一人三役のリンイリドを駆使した連続光触媒反応の開発
  9. N-ヨードサッカリン:N-Iodosaccharin
  10. モナリザの新たな秘密が化学分析によって判明

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年1月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

第42回メディシナルケミストリーシンポジウム

テーマAI×創薬 無限能可能性!? ノーベル賞研究が拓く創薬の未来を探る…

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP