[スポンサーリンク]

ケムステニュース

毛染めでのアレルギー大幅低減へ ~日華化学がヘアカラー用染料開発~

[スポンサーリンク]

日華化学(本社福井県福井市、江守康昌社長)は、髪へのダメージや頭皮への刺激がなく、アレルギーのリスクを大幅に低減するヘアカラー用の新たな染料を開発した。同社の頭髪用化粧品ブランド・デミコスメティクスは「グロス染料」と名付け、秋ごろの製品化を目指す。(引用:福井新聞6月15日)

髪の色を変えることができるヘアカラー用の染料には、大きく分けて1.酸化染料 2.酸性染料 3.塩基性染料の3種類があり、下記のような特徴があるそうです。

  1. 酸化染料:サロンで髪を染めてもらう時や、ヘアカラーキットを買って染めるときに使うのがこのタイプである。パラジフェニルアミン誘導体と過酸化水素を混ぜることでパラジフェニルアミンが酸化して発色すると同時に毛髪内のメラニン色素を脱色して髪の色を変えている。キューティクルを開いて効率よく染めるためにアンモニアも使用することがある。
  2. 酸性染料:ヘアマニキュアがこのタイプの染料である。髪の表面を酸性にした後、アニオン性の染料がイオン結合によって髪に吸着する。天然染料もこのメカニズムで染色される。
  3. 塩基性染料:カラートリートメントという名前で売られている染料で、カチオン性の染料がイオン結合によって髪に吸着して色を変える。

1の酸化染料の場合、実験室であったら手袋で取り使うような化学物質を使うため、皮膚や髪へのダメージやアレルギー反応が問題となっています。筆者も若い頃はサロンで茶髪にしていましたが、アンモニアのツーンとしたにおいが気になっていました。一方、2と3の場合は、イオン結合によって染料を髪の表面に吸着させるため、すぐに色が抜けてしまうか、皮膚が染色されてしまう欠点がありました。

従来染料の問題点(日華化学プレスリリースより引用)

そこで、日華化学では分子サイズがより大きい染料「グロス染料」を開発しました。このグロス染料は、頭皮に入り込みにくくアレルギーのリスクが少ないだけでなく、可視光に吸収を持つ分子のため、過酸化水素で酸化する必要がないようです。分子構造は示されていませんが、二量体の染料と表現しているため、パラジフェニルアミンの二量体と仮定してベンゼン環が4つ結合しているような分子が想像できます。

新しい染料と従来の酸化染料の染色の違い(日華化学プレスリリースより引用)

日華化学では、今年の秋ごろに同社の頭髪用化粧品ブランド・デミコスメティクスで製品化を目指しているそうです。皮膚への影響を心配してヘアカラーをしていなかった人も、このイノベーションでおしゃれをより楽しむことができるようになるようです。

日華化学は、福井県福井市に本社があり、界面活性剤・高分子を中心とする界面科学と毛髪科学を基盤とし、繊維加工をはじめ、金属加工、紙・パルプ、クリーニングの各業界向け薬剤、また化粧品などを開発、販売している想像化学メーカーです。

関連書籍

[amazonjs asin=”4894790815″ locale=”JP” title=”最新ヘアカラー技術―特許にみる開発動向”] [amazonjs asin=”4526075264″ locale=”JP” title=”トコトンやさしい染料・顔料の本 (今日からモノ知りシリーズ)”]

関連リンク

 

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. ダイハツなど、福島第一原発廃炉に向けハニカム型水素安全触媒を開発…
  2. 化学企業のグローバル・トップ50が発表
  3. ソモライ教授2008年プリーストリー賞受賞
  4. 秋の褒章2009 -化学-
  5. ブドウ糖で聴くウォークマン? バイオ電池をソニーが開発
  6. 米ファイザー、感染予防薬のバイキュロンを買収
  7. 頻尿・尿失禁治療薬「ベシケア」を米国で発売 山之内製薬
  8. クラリベイト・アナリティクスが「引用栄誉賞2019」を発表

注目情報

ピックアップ記事

  1. 局所的な“粘度”をプローブする羽ばたくFLAP蛍光分子
  2. 実験と機械学習の融合!ホウ素触媒反応の新展開と新理解
  3. シリカゲルの小ネタを集めてみた
  4. ジャスティン・デュボア Justin du Bois
  5. 今度こそ目指せ!フェロモンでリア充生活
  6. 給電せずに電気化学反応を駆動 ~環境にやさしい手法として期待、極限環境での利用も~
  7. 有機化学実験基礎講座、絶賛公開中!
  8. ペプチド合成におけるアスパルチミド化/Aspartimide Formation in Peptide Synthesis
  9. (-)-MTPA-Cl
  10. メビウス芳香族性 Mobius aromacity

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年6月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

第6回鈴木章賞授賞式&第10回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学、情報科学、実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP