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ノーベル週間にスウェーデンへ!若手セミナー「SIYSS」に行こう!

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近年では未来の優れた科学者育成を目的に、また科学の裾野をさらに広げるべく、各団体が若手・学生向けに多くのイベントを開催するようになっています。

ストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)もその一つです。日本国際賞(国内最大規模の科学賞)を主催する、国際科学技術財団が主催するイベントです。

SIYSSは全国から毎年2名(大学生・大学院生)をノーベル賞授賞式のタイミングに合わせてストックホルムに派遣します。参加した学生たちはノーベル賞授賞式・晩餐会に参列できるとともに、世界各国の同世代の仲間たちと研究について議論し交流できるという、またとない貴重な国際的機会となっています。

 

今回は過去にSIYSSに参加された川井準也さん(東京大学修士卒)から、ケムステ宛に参加体験記を頂くことができました。是非ご覧ください。

SIYSS(シース)とは?

SIYSS_1

参加者&コーディネーターの集合写真。これから授賞式に出席するため正装です。

私は東京大学大学院薬学系研究科(金井研究室)に所属していた修士2年次に、SIYSSに参加しました。

SIYSSとは、毎年12月の「ノーベルウィーク」にスウェーデン・ストックホルムで行われる、理系学生のための海外短期プログラムです。私の参加した年は、世界19カ国から25人の学生が、日本からは私を含めて2人が参加しました。

他国の優秀な学生と交流しながら8日間寝食を共にし、同時期にストックホルムで開催されるノーベル賞受賞式などに参加できます。受賞者の方々とも直接お話しできるという、一生に一度しかできないような貴重な体験ができるセミナーです。

 

どういった1週間を送るの?

SIYSS_2

8日間のプログラム一覧。ほとんどイベントがぎっしりです。

SIYSS_3

スウェーデンの伝統行事も体験します。

8日間のプログラムを通して、すべての参加者はユースホステルで寝食をともにします。私は6人部屋で、他の参加者との会話はもちろん英語(ほとんどの人はネイティブレベル)なので、はじめのうちは意思疎通にかなり苦労をしました。

日本での選考や説明会などは国際科学技術財団(以下、財団)の方々が行ってくれますが、現地でのイベントや生活はスウェーデンの大学生が「コーディネーター」としてすべてセットアップしてくれます。参加者1人1人の状況に合わせて本当に親身
にサポートしてくれたので、不慣れな海外での生活にも苦労はありませんでした。

現地での8日間は常にイベントが動いており、自由時間はほとんどありません。ちょっとした空き時間にはトランプやビリヤードをしたり、お互いの国の話をしたり、ストックホルムの街を散策したり、マイナス15度の中で雪合戦したり、バーに飲みに行ったりしていました。

ちなみに渡航費用はパスポート取得費以外すべて財団持ちで、SIYSS参加にあたっての自己負担はほぼゼロでした。

 

SIYSSの魅力①

※イベント中の写真は転載使用が出来ない規則ですので、様子を感じとりたい方は財団のウェブページGoogle画像検索でお楽しみください。

このセミナー最大の魅力は、ノーベル賞授賞式をはじめとする数々の公式行事に、これでもかと言わんばかりに参加できる点です。

受賞者によるレクチャーや記者会見に始まり、大使館による祝宴、前夜祭にあたるレセプション、授賞式、晩餐会、ダンスパーティー、後夜祭のナイトキャップまで。本当にこんなに出ていいのかと思うくらい、参加者はたくさんのイベントに参加します。

授賞式と晩餐会はノーベルウィークの最大行事で、まさに圧巻です。私の参加した2012年は、京都大学の山中伸弥先生が細胞の初期化の研究により医学・生理学賞を受賞された年でした。スウェーデン王室から山中先生が賞を受け取る瞬間を見ることができただけでも、SIYSSに参加してよかったと思いました。晩餐会は1000人以上収容できる市庁舎で行われ、この日のためのコース料理が三部構成のサーカスとともに振舞われるという、現実離れした豪華さでした。

レセプション、ナイトキャップではノーベル賞受賞者の方と直接お話しする機会があります。

レセプションは授賞式前夜に行われる立食形式のパーティーで、会場を見渡すとほんの10m程度おきに受賞者がいらっしゃるので、隙を見つけては話しかけに行っていました。私の参加した年は山中先生のほか、化学賞受賞者でGPCRの構造を解明されたBrian Kobilka先生、ちょうど50年前の医学・生理学賞受賞者でDNAの2重らせん構造を決定したJames Watson先生たちとも直接お話しすることができました。

ナイトキャップは授賞式後に行われる、ストックホルムの学生が主催する学園祭のようなイベントです。ここでも授賞式を終えた受賞者の方々がお酒を飲んだりしており、(こちらが学生ということもあって)気さくに話して下さいました。受賞者の方々から、研究に対する考えや姿勢、モチベーションの保ち方など、ざっくばらんなお話を聞くことができ、科学者を志す自分にとって大変貴重な機会になりました。

 

SIYSSの魅力②

SIYSS_4

スウェーデンの高校生向けセミナーの様子

SIYSS_5

他国からの参加者たちと(右端が川井)

2つ目の大きな魅力は、他国の優秀な学生と交流できる点です。日本からの参加者は大学(院)で研究をしている学生がメインであるのに対し、他国の参加者は高校を卒業したばかりの18~20歳ほどの学生が多く、とても驚きました。スウェーデンでの8日間、彼らと寝食を共にしながらいくつものイベントを通して交流します。ノーベル賞の行事以外にも、現地の高校生に向けた研究発表やスウェーデンの文化体験など交流の機会が多くあり、短いながらも非常に濃い8日間を過ごせました。

彼らの多くはその国の科学コンテストで優勝している「若きスーパーエリート」のような集団で、高校時代などに限られた時間で行った研究成果でSIYSSに参加していました。自国でも普及可能な価格のベビーベッドの温度管理システムを開発していたり、企業とコラボして製鉄所のカメラを高温から保護する装置を開発し特許を取っていたり、研究は高校でもう辞めて今はEUで働くために社会科学を専攻していたりと、研究内容も人間的にもとても個性的な人たちばかりで、大学の研究室ではなかなか得られない刺激を受けました。帰国後、大学に入学するより前に軍に入隊しなければならない人もおり、国による環境の違いも目の当たりにしました。彼らは総じて、明確な意思の下に自分のやりたい研究を進めており、年齢も国籍も専門分野も異なる研究者に対しても積極的に質問や意見をしているなど、私が学ぶべき姿勢を数多く持っていると感じました。

研究以外でも、例えば他国の文化についても彼らは関心が強く、日本についてもマンガや文学、料理、着物、言語、政治情勢まで知っている人もいるほどでした。結果的に彼らとの交流を通じて、私の自国や他国に関する知識の乏しさを恥ずかしながら思い知らされました。

8日間という非常に短い期間の交流でしたが、帰国後もfacebookで近況を連絡し合ったり、彼らの国に遊びに行った際に案内してもらったりと、ささやかな繋がりは続いています。

 

選考について

日本からは、毎年定められた領域を専攻している18~24歳の日本国籍の学生に応募の権利があります。2014年度は「物理、化学、工学」領域、または「生命、農学、医学」領域が対象と、ケムステをご覧の方の多くが応募できるのではないかと思います。

私の場合は、学内書類選考(小論文、研究概要、推薦状、TOEICスコアなど)→財団書類選考→財団面接(英語あり)、という順に選考が進み、最終的に参加させて頂くことができました。ちなみにSIYSSの選考はノーベル賞の発表より前にあるため、参加決定の段階ではその年に誰が受賞者としてストックホルムに来るのかは分かりません。

上にも書きました通り、他国からの参加者は主に科学コンテストの優勝者などに限られています。毎年2名ですが、他国の非常に厳しい参加条件に比べると、日本はかなりSIYSSに参加しやすい環境にあると思います。最高に濃密な1週間を過ごしたい方はぜひ応募してみてください!

 

貴重な機会をお見逃し無く!

いかがでしたか?

なかなかに狭き門で参加者も少ないためか情報が出にくく、申し込みを躊躇されてきた方もいらっしゃったのではないかと思います。今回の体験記を読んで我こそは!と感じた学生さんは、是非積極的にチャレンジしてはいかがでしょう。

現在、次回の参加応募受付中です(締切は8/29(金)まで、ただし大学によっては事前の学内選考あり)、詳細はこちらのページをご覧ください。

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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