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藤田 誠 Makoto Fujita

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藤田誠(ふじた まこと、1957年9月28日-)は、日本の有機化学者、超分子化学者である。東京大学大学院工学系研究科卓越教授。
自己組織化型超分子錯体、それが生み出す孤立空間を活かした化学研究で、世界をリードする研究者の一人である。

経歴

1980 千葉大学工学部合成化学科 卒業
1982 千葉大学大学院工学研究科 修士課程修了
1982 相模中央研究所研究員
1987 東京工業大学 博士号取得(工学)
1988 千葉大学工学部 助手
1991 千葉大学工学部 講師
1994 千葉大学工学部 助教授
1997 分子科学研究所 助教授
1999 名古屋大学大学院工学系研究科 教授
2002 東京大学大学院工学系研究科 教授
2019 東京大学大学院工学系研究科 卓越教授

1997- 科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業 研究代表者を兼任

受賞歴

1994 有機合成化学奨励賞
2000 日本化学会 学術賞
2001 東京テクノフォーラム ゴールドメダル賞
2001 日本IBM科学賞
2003 名古屋シルバーメダル
2004 アイザット・クリステンセン賞
2006 G.W.Wheland Award(シカゴ大学)
2009 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
2010 江崎玲於奈賞
2010 錯体化学会賞
2011 H. C. Brown Lecturer (Purdue大学)
2011 3M Lectureship Award (British Columbia大学)
2012 トムソン・ロイター 第3回リサーチフロントアワード
2012 Kharasch Lecturers (シカゴ大学)
2012 Abbott Lecturer (イリノイ大学)
2013 日本化学会賞
2013 A.C. Cope Scholer Award
2014 ISNSCE 2014 Nanoprize
2014 紫綬褒章
2014 Fred Basolo Medal (Northwestern University)
2015 John Osborn Lecturer (Strasbourg University)
2017 内藤記念科学振興賞
2018 ウルフ賞
2019 恩賜賞・日本学士院賞

研究

自己組織化型超分子錯体カプセルの合成・構造解析・機能開拓研究

ある種の剛直な配位子と、配位結合の方向性が規定された金属錯体を組み合わせることで、特定の幾何構造を有する自己組織化型超分子錯体を合成できる。[1,2]

M_Fujita_1.jpg

(画像:Nature)

fujita_capsule2.gif fujita_capsule2.gif

(画像:KEKJST)

これらはカプセル状の形状をしており、外界から隔離された空間を持つ。この内部では、通常の反応系では見られないような化学現象が観測され る。例えばカプセル内部で化合物を反応させると、強く規制された遷移状態のみを取ることができるために、通常見られないような化学選択性にて生成物が得られる。[3, 4]

M_Fujita_2.jpg

結晶スポンジ法による化合物の構造決定

2013年、試料の結晶化を必要としないまったく新しい単結晶X線構造解析法を発表した。[5] この手法では,結晶スポンジと呼ばれる細孔性結晶を対象化合物の溶液に浸すだけで,測定用の単結晶サンプルが作製できる.そのため,対象化合物の結晶性は全く問題とせず,油状のサンプルであっても単結晶試料が得られる.

xray_fujita_1

コメント&その他

  1. . “Most-cited scientist in chemistry”の一人。(2017年現在、355報の原著論文が約30,200回引用されている)
  2.  H-indexは89 (2017年現在)。

ケムステ内関連記事

関連文献

  1. Fujita, M.; Yazaki, J.; Ogura, K.  J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 5645. DOI: 10.1021/ja00170a042
  2. Fujita, M.; Oguro, D.; Miyazawa, M.; Oka, H.; Yamaguchi, K.; Ogura, K. Nature 1995, 378, 469. DOI:10.1038/378469a0
  3. Yoshizawa, M.; Tamura, M.; Fujita, M. Science 2006, 312, 251.  DOI:10.1126/science.1124985
  4. Review: (a) Yoshizawa, M.; Klosterman, J. K.; Fujita, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 3418. DOI: 10.1002/anie.200805340 (b) Yoshizawa, M.; Fujita, M. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2010, 83, 609. doi:10.1246/bcsj.20100035
  5. Inokuma, Y.; Yoshioka, S.; Ariyoshi, J.; Arai, T.; Hitora, Y.; Takada, K.; Matsunaga, S.; Rissanen, K.; Fujita, M. Nature 2013, 495, 461. DOI:10.1038/nature11990
  6. Fujita, D.; Ueda, Y.; Sato, S.; Yokoyama, H.; Mizuno, N.; Kumasaka, T.; Fujita, M. Chem 2016, 1, 91. DOI: 10.1016/j.chempr.2016.06.007
  7. Fujita, D.; Ueda, Y.; Sato, S.; Mizuno, N.; Kumasaka, T.; Fujita, M. Nature 2016, 540, 563-566. doi:10.1038/nature20771

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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