[スポンサーリンク]

ケムステニュース

細胞集め増やす化合物…京大化学研発見、再生医療活用に期待

[スポンサーリンク]

adhesamine_1.gif

細胞を集めて増やすユニークな化合物を、京都大化学研究所の山添紗有美(さゆみ)・日本学術振興会特別研究員と上杉志成(もとなり)教授らが見つけ、米専門誌に発表した。様々な細胞に変化する(はい)性幹細胞(ES細胞)や新型万能細胞(iPS細胞)の培養に使うと、通常より数倍速く増え、細胞をシート状にして移植する再生医療などに役立ちそうだという。

 山添さんらは、同研究所にある3万種類以上の化合物の特性を調べる過程で、散らばった細胞を培養皿に効率よく均一にくっつける化合物を発見し、ア
ドヘサミンと名付けた。細胞同士をくっつける働きもあった。細胞表面にあるセンサーの一種と結合して、増殖を促すとともに、接着能力をもたせるらしい。

 似た働きをする物質は動物の体内で見つかっていたが、人工化合物では初めて。上杉教授は「病原体感染のおそれがなく、大量に合成できる。薬学や細胞工学など広い分野に応用できるだろう」と話している。(引用:YOMIURI ONLINE)

少し面白そうな内容の記事だったので簡単に取り上げます。と言っても筆者は専門外なので、詳細にはコメント出来ませんが・・・

細胞接着(cell adhesion)を促進させる物質ということで、アドヘサミン(Adhesamine)と名付けたとか。


 論文によれば、アドヘサミンは細胞表面のヘパラン硫酸に結合し、細胞増殖および接着を促しているとのこと。ヒト肝細胞株(HepG2)、ヒトT細胞株(Jurkat Cell)両方に同様の効果があったそうです。

 人工物でこのような作用を持つ化合物は他に例が無く、細胞工学・細胞生物学の研究ツールとして有用ではないか、と締めくくられています。

 どういう経緯でこんな構造の分子が考え出され、ライブラリーに組み込まれてきたのか、門外漢の筆者には一見して想像出来ません。歴史・背景を知らない身には、とても突拍子の無い分子に思えてしまいますね・・・。

  • 論文

“A Dumbbell-Shaped Small Molecule that Promotes Cell Adhesion and Growth” 
Yamazoe, S.; Shimogawa, H.; Sato, S. -i.; Esko, J. D.; Uesugi, M. Chem. Biol. 2009, 16, 773. DOI 10.1016/j.chembiol.2009.06.008

  • 関連リンク

京都大学 上杉研究室
京都大学 物質-細胞システム統合拠点 (iCeMS)
細胞接着 – Wikipedia
細胞のヒソヒソ話を漏らさず中継―ヘパラン硫酸と成長因子 (糖質化学へのイントロダクション)
成長因子とヘパラン硫酸

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 「イオンで農薬中和」は不当表示・公取委、米販2社に警告
  2. 富士フイルム、英社を245億円で買収 産業用の印刷事業拡大
  3. コケに注目!:薬や香料や食品としても
  4. 肺がん治療薬イレッサ「使用制限の必要なし」 厚労省検討会
  5. 「化学の日」はイベント盛り沢山
  6. EUで化学物質規制のREACHが施行
  7. 製造過程に発がん性物質/テフロンで米調査委警告
  8. エーザイ、アルツハイマー治療薬でスウェーデン企業と提携

注目情報

ピックアップ記事

  1. 友岡 克彦 Katsuhiko Tomooka
  2. 固体高分子電解質の基礎、材料技術と実用化【終了】
  3. 白金イオンを半導体ナノ結晶の内外に選択的に配置した触媒の合成
  4. グァンビン・ドン Guangbin Dong
  5. 世界の最新科学ニュース雑誌を日本語で読めるーNature ダイジェストまとめ
  6. カルバメート系保護基 Carbamate Protection
  7. ChemDrawからSciFinderを直接検索!?
  8. アルミニウム工業の黎明期の話 -Héroultと水力発電-
  9. タンパク質の定量法―紫外吸光法 Protein Quantification – UV Absorption
  10. 有機化学美術館へようこそ ~分子の世界の造形とドラマ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP