[スポンサーリンク]

一般的な話題

分子構造を 3D で観察しよう (2)

前回は、直感的なメニューを使いながら Jmol を動かし、分子の表示を調節しました。今回(第 2 回)はコマンドを入力して操作したいと思います。

 

なぜ、わざわざコマンドで?

前回簡単だったのに、どうして? と思う方もいるかもしれませんが、これには理由があります。

Jmol には非常にたくさんの機能があります。しかし、メニューにそのすべてを放り込んでしまうと、どうなるでしょうか。機能が多すぎて全部表示してしまうとメニューがごちゃごちゃしてしまいますよね。メニューが膨大になると、使う側も探すのが大変になってしまいます。そこで、Jmol の場合は「本当によく使う機能だけをメニューに入れておくから、ほかはコマンドで操作してね」ということになっているのだと思います。

コマンドの場合は覚えるのは大変ですが、ほとんどの場合は自然な英語に近いですし、一度覚えればメニューから探すより圧倒的に速く使えるようになるはずです。そこで、今回はコマンドの良さを少しだけご紹介します。

 

前回やったこともコマンドで!

前回紹介した「水分子を非表示にし、ついで核酸分子を選択して CPK 空間充填モデルに変更する」という作業も、コマンドでやってみましょう。前回、ドルマークだけが表示された白いウィンドウがありましたよね? こちらが、コマンドを入力するための Jmol スクリプト・コンソールです。


PDB-ChemStation01-04
 

前回と同じように PDB ファイルを開いたら、表示されているドルマークに続いて、次のコマンドを一行ずつ入力し、Enter キーを押してください(以下では「コンソールに入力してください」という意味で、初めにドルマークを付けておきます。実際に皆さんが入力するのはその後に続く命令だけです)。

$ hide water
$ select dna
$ spacefill only
$ color cpk

 

これで、前回作成したのと同じ状態になります。確認してみてください。


PDB-ChemStation02-02
 

メニューではできないことを、コマンドで!

ここからは、GUI のメニューからの操作では難しい処理をコマンドでやってみます。


PDB-ChemStation02-ABC
 

まずは DNA をカートゥーン表示にしてみます(図A)。

$ select dna
$ cartoon only

 

塩基を A, T, G, C それぞれで色分けしてみましょう。a, t, g, c でヌクレオシドごとの選択になります。色は適当に決めましたが、A と T を暖色系、G と C を寒色系にしてみました(図B)。

$ select a
$ color coral
$ select t
$ color gold
$ select g
$ color lightgreen
$ select c
$ color cornflowerblue

 

今度は DNA の背骨部分を選択し、こちらは棒球表示らしくしてみます(図C)。

$ select backbone
$ wireframe 0.15
$ spacefill 20%

 

表示されている分子モデルをぐるぐる回してみると、A と T が対をつくり、G と C が対をつくっているのをはっきりと確認できますね。

 

画像として保存

もちろん、今回も画像を保存してみましょう。前回同様に JPG 形式で保存してみますが、今度はコマンドで行います。Mac でデスクトップに保存したい場合は

$ write /Users/ユーザ名/Desktop/1bna.jpg

 

のように入力します。Windows なら

$ write C:/Users/ユーザ名/Desktop/1bna.jpg

 

と入力してください。これでデスクトップに JPG 画像が出力されます。


1bna
 

いかがでしたか?

このように、コマンドを用いれば詳細に表示のしかたを調節することができました。簡単な例しか示していませんし、私もすべてを試したわけではありませんが、非常に多くの機能がありますので、興味のある方はご覧ください。

 

参考になる外部サイト

※今回作成したモデルは、あまり美しい&見やすいものではありませんでしたが、次回の説明をわかりやすくするためにあえてこんなモデルにしました。美的センスに自信のある方は、もっと綺麗なモデルを作ってみてください!

 

The following two tabs change content below.
アセトアミノフェン
大学院生です。研究では分析化学を専門にしています。

関連記事

  1. 【速報】ノーベル化学賞2013は「分子動力学シミュレーション」に…
  2. レビュー多すぎじゃね??
  3. スルホキシイミンを用いた一級アミン合成法
  4. カルボン酸を触媒のみでアルコールに還元
  5. アイルランドに行ってきた②
  6. スーパーなパーティクル ースーパーパーティクルー
  7. ケトンを配向基として用いるsp3 C-Hフッ素化反応
  8. 不斉アリル位アルキル化反応を利用した有機合成

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 英文校正会社が教える 英語論文のミス100
  2. edXで京都大学の無料講義配信が始まる!
  3. 軽量・透明・断熱!エアロゲル(aerogel)を身近に
  4. 分子振動と協奏する超高速励起子分裂現象の解明
  5. ジェイコブセン速度論的光学分割加水分解 Jacobsen Hydrolytic Kinetic Reasolution (Jacobsen HKR)
  6. ビニグロールの全合成
  7. ニコラウ祭り
  8. 2011年文化功労者「クロスカップリング反応の開拓者」玉尾皓平氏
  9. 酢酸フェニル水銀 (phenylmercuric acetate)
  10. 市民公開講座 ~驚きのかがく~

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

太陽ホールディングスってどんな会社?

私たち太陽ホールディングスグループは、パソコンやスマートフォンなどのIT機器やデジタル家電、車載用電…

「自然冷媒」に爆発・炎上の恐れ

「環境省・経済産業省の指示により、エアコンに使用されているフロン類の入れ替えが必要だ」と偽り、地球環…

効率的に新薬を生み出すLate-Stage誘導体化反応の開発

今回紹介する論文は、Late-Stage-Functionalizationの手法を開発し、新規薬剤…

「次世代医療を目指した細胞間コミュニケーションのエンジニアリング」ETH Zurich、Martin Fussenegger研より

海外留学記第22回目はETH ZurichのDepartment of Biosystems Sci…

チャン転位(Chan Rearrangement)

概要アシロキシエステルに対して塩基を作用させることで、転位を伴い2–ヒドロキシケトエステルを与え…

卓上NMR

卓上NMR (Benchtop NMR)とは、通常のNMRよりも小型で、専用の部屋を必要としないNM…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP