[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

高分子の合成(上)(下)

[スポンサーリンク]

概要

高分子の重合反応に特化した専門書であり、高分子に携わる研究者必読の書。

上巻ではラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合を取り扱う。重合反応の基礎からリビング重合など反応の精密制御までを網羅。

下巻では開環重合、重縮合、配位重合を詳説。反応の多様性という特徴を有するこれらの重合反応からはさまざまな機能材料が生み出される。

 

対象

高分子に関わる研究を行っている学部学生~大学院生、研究者

 

評価・解説

第一線で活躍する日本の高分子学者が執筆した、高分子合成法に特化した専門書です。各高分子合成法の基礎から最近の進展までが網羅的に記されており、様々な場面で活躍できる書物となっています。

例えば、高分子関係の研究室に配属された学部学生にとっては、自身の研究室で研究対象となる高分子合成法を学ぶ良い導入書となるでしょう。あるいは、自身が疎い高分子合成手法に関する論文を雑誌会で紹介する際には、下準備として知識を得る場合にも活用できるでしょう。

また、一般の高分子の導入書と異なり、合成手法の観点に絞った記述がなされているため、これまでに有機化学を学んできた研究者にとっては理解しやすい内容となっています。これから高分子化学を学びはじめる人にとっても良い入門書にもなるでしょう。

また近年進展している精密重合についても丁寧にまとめられているため、高分子に携わってきた研究者にとっても、高分子合成における最近の進展の様子を俯瞰できる書となっています。相当数の論文を引用して執筆されており、詳しく知りたい合成手法については原著論文までさかのぼって情報を得て活用することもできるでしょう。

 

関連書籍

kengen

投稿者の記事一覧

メーカーにて有機合成、高分子合成関係の開発に従事しています。また産学協業の仕事も担っており、「学」の成果を「産」で応用・実施していくべく、日々模索しています。学生時代は有機金属化学を学んでいました。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 【書籍】新版 元素の小辞典
  2. 理工系のAI英作文術
  3. 化学探偵Mr.キュリー7
  4. クロスカップリング反応関連書籍
  5. 持続可能社会をつくるバイオプラスチック
  6. English for Writing Research Pap…
  7. Purification of Laboratory Chemi…
  8. 東大キャリア教室で1年生に伝えている大切なこと: 変化を生きる1…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 不斉ストレッカー反応 Asymmetric Strecker Reaction
  2. 第40回「分子設計で実現する次世代バイオイメージング」山東信介教授
  3. コンラッド・リンパック キノリン合成 Conrad-Limpach Quinoline Synthesis
  4. サクラの酵母で作った赤い日本酒を商品化に成功
  5. 捏造のロジック 文部科学省研究公正局・二神冴希
  6. 原子のシート間にはたらく相互作用の観測に成功
  7. 【速報】2022年ノーベル化学賞は「クリックケミストリーと生体直交化学」へ!
  8. 黒田 玲子 Reiko Kuroda
  9. 甲種危険物取扱者・合格体験記~Webmaster編
  10. 第12回化学遺産認定~新たに3件を認定しました~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP