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ChemDrawの使い方【作図編②:触媒サイクル】

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前回は作例①として、もっとも基本となる反応スキームの作図を説明しました。

今回はもう少し進んだ作図例として、以下のHeck反応の触媒サイクルを書いてみましょう。

ChemDraw_HowTo_27

完成図

①触媒サイクルの基礎となる部分円矢印を書きます。

ここでは矢印ツールから3/4円を選んでおきます。直径の大きさはお好みで。

ChemDraw_HowTo_21

②必要な数だけ部分円矢印を複製します。

ここでは触媒サイクル上に4つの構造式を載せる(=間を結ぶサイクル矢印が4つ必要)想定で、4つに複製します。コピペはCtrl+C→Ctrl+Vですね。ここでは説明のためずらして書いていますが、実際には完全にオーバーラップさせておいてください。

ChemDraw_HowTo_22

③各矢印の頭とお尻をドラッグして、適当な位置に合わせます。

新しいバージョンのChemDrawでは、部分円矢印の頭とお尻を伸ばしたり短くしたりを、円を保ったまま出来るようになっています。この機能を活用して、うまく触媒サイクルの形に各矢印を配列させましょう。

ChemDraw_HowTo_23

 

④各スキマに構造式を書きます。

書いた構造式を別の位置にコピペしたい場合には、Ctrl+ドラッグが便利です。上手く活用して省力化しましょう。部分円矢印と構造式が重なるようであれば、③の方法で頭とお尻をドラッグして微調整します。

ChemDraw_HowTo_24

それぞれの原子ラベルの位置合わせも行います。L2Pdの部分に注目してください。この箇所を選択した状態で右クリックし、Alignment→Flush Leftで左あわせ、Centeredで中央あわせ、Flush Rightで右あわせです。

ChemDraw_HowTo_25

⑤外側の矢印と試薬類を書き加えます。

ChemDraw_HowTo_26

⑥分かりやすく色づけして完成!

色を変えたい箇所を選択し、メニューバーのColorsで希望の色を選択すれば変えられます。規定の色ではなく、独自色を使いたいときはOthers…で新たな色を作成できます。

ChemDraw_HowTo_27

いかがでしょう?メニューをマウスで選ぶだけでなく、ホットキーやちょっとした機能を活用できれば労力をかなり減らせるのです。意欲的な方は是非覚えてみるといいと思います。

※本記事は2005年に公開されたものを、現代事情に沿うよう加筆修正したものです)
2005. 2. 13  ホットケーキ メイプル&マーガリン執筆
2015.1.20 cosine 加筆修正

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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