[スポンサーリンク]

化学一般

海の生き物からの贈り物

[スポンサーリンク]

内容

生き物は、生きていくうえで様々な化合物を生産しますが、その中には人間の役に立つ物質も存在します。海の生き物が生産する化合物のうち、薬と毒に関するものを取り上げました。名城大学での講義「海洋資源構造学特論」をもとに、初学者向けに化学の奥深さ、素晴らしさを伝えるべく、やさしく解説。薬、化粧品、サプリメントなどの創薬に関心がある読者にも、教養書として有用です。

登場する主な化合物
KRN‐7000 / アスタキサンチン / アプリジン / アンセリン / イノシン酸 / エリブリンメシル酸塩 / オカダ酸 / カイニン酸 / カハラリド類 / カリキュリン / カルタップ / キチン / キトサン / クニウムチン / グルタミン酸 / コノトキシン / サポニン / スクアラミン / セファロスポリン / ダイデムニン類 / タキプレシン / ディスコデルモリド / テトロドトキシン / ドウモイ酸 / ドラスタチン / トラベクテジン / ハリコンドリン類 / パリトキシン / フコイダン / ブリオスタチン類 / ホロトキシン / マイトトキシン / マンザミン / ルシフェリン等

カラー口絵
有人潜水調査船「しんかい6500」 / クロイソカイメン / タツナミガイ / フチドリミドリガイ / マボヤ / フサコケムシ / アブラツノザメ / ミナミウシノシタ / 様々なイモガイ / アンボイナ / ハマダラカ / カブトガニのオスとつがい / 様々なマナマコ / アレキサンダー・フレミング博士 / イソメ / 種々のサンゴ / 猛毒テトロドトキシンを持つ海洋動物(トラフグ,ツムギハゼ,ヒョウモンダコ,ボウシュウボラ,スベスベマンジュウガニ) / 生薬としての海人草(マクリ) / ハナヤナギ / ハイイロミズナギドリ / イワスナギンチャク / ある種の渦鞭毛藻 / オワンクラゲ / ベニクラゲ

対象

  • 高校生ー大学生

解説

化学工業日報社からの新書。献本いただいたため紹介する。著者の塩入名誉教授は、有機合成研究、主にクルチウス転位などで重宝されるジフェニルリン酸アジド(DPPA)の開発者として有名である。本書籍は著者の在籍していた名城大学の講義を書籍としておこしたものであるということであるが、かなり基本的な部分からわかりやすく記載されている。内容的には高校生でも読むことができるレベルであろう。

本書は169ページからなり、文庫本サイズ(実際には「B6判サイズ(128×182)」でした。)。基本的に白黒であるが、口絵として本論に登場する「海の生き物」(海洋天然有機化合物)が掲載されている。内容は、海の生き物が生産する生物活性化合物に関して述べたものである。

冒頭で数ページに渡り、海洋天然有機化合物について触れ、本書の概要を示している。続いて、薬が世にでるまでどのようなプロセスを踏むのかを、簡潔に述べ、本題に入っていく。海洋天然物の用途別に、医薬品、健康食品・サプリメント、化粧品、そして毒と各章をとり、様々な化合物を紹介している。

中身はですます調であり、化学読み物として適した長さである。内容も比較的平易であり、関係する研究者ならば1,2時間ですべて読めてしまうだろう。海洋天然物や薬、そして毒に興味がある(変な意味ではなくて)高校生から大学生の読み物としておすすめしたい。

ひとつ残念なのは、このサイズの書籍にしては価格が高価なことだ。半値ほどであれば相当のお得感があるが、1500円という値段をとるならばハードカバーの250ページぐらいの書籍にしてほしかった。

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. えっ!そうなの?! 私たちを包み込む化学物質
  2. 【書評】スキルアップ有機化学 しっかり身につく基礎の基礎
  3. 化学の歴史
  4. ステファン・カスケル Stefan Kaskel
  5. 入門 レアアースの化学 
  6. Lead Optimization for Medicinal …
  7. Name Reactions: A Collection of …
  8. Letters to a Young Chemist

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ナノってなんて素敵ナノ
  2. 有機合成創造の軌跡―126のマイルストーン
  3. 非天然アミノ酸触媒による立体選択的環形成反応
  4. 第13回ケムステVシンポジウム「創薬化学最前線」を開催します!
  5. 分子研オープンキャンパス2022 参加登録受付中!
  6. 第125回―「非線形光伝播の基礎特性と応用」Kalai Saravanamuttu教授
  7. 官営八幡製鐵所関連施設
  8. ディーン・トースト F. Dean Toste
  9. 糖鎖クラスター修飾で分子の生体内挙動を制御する
  10. 酸素を使った触媒的Dess–Martin型酸化

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP