[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

ハートウィグ有機遷移金属化学

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4807908502″ locale=”JP” title=”ハートウィグ 有機遷移金属化学(上)”][amazonjs asin=”4807908510″ locale=”JP” title=”ハートウィグ有機遷移金属化学〈下〉”]

 

内容

有機合成化学を目指す初学者から大学院生,研究者までを対象に,有機遷移金属化学を有機合成に応用する際に必要な基礎知識と応用が,詳細かつわかりやすく書かれた教科書.錯体化学的基礎から有機遷移金属化学に必要な概念の解説に始まり,有機合成や触媒反応への応用が初学者でもわかるように詳細に記述されている.

上巻目次:構造と結合/供与性L型配位子/炭素または水素原子で結合した共有結合性X型配位子/ヘテロ原子で結合した共有結合性X型配位子/配位子置換反応/非極性基質の酸化的付加反応/極性基質の酸化的付加反応/還元的脱離反応/移動挿入反応/脱離反応/配位子への求核攻撃/配位子への求電子攻撃/金属-配位子多重結合

下巻目次:触媒反応の基礎/均一系水素化反応/オレフィンのヒドロ官能基化反応と酸化的官能基化反応/触媒的カルボニル化反応/C-H結合の触媒的官能基化反応/遷移金属触媒によるカップリング反応/アリル位置換反応/オレフィンメタセシス反応およびアルキンメタセシス反応/オレフィンの重合反応およびオリゴマー化反応

(引用:書籍紹介ページより)

対象

大学院生以上、研究者

 

解説

Hartwig教授が執筆した”Organotransition Metal Chemistry: From Bonding to Catalysis”の翻訳版。原本は1100ページを超える1冊の書籍だが、翻訳版は上巻・下巻にわかれている。上巻はすでに1年前に発売されており、2015年3月に待望の下巻が発売された。研究でも超一流を走るHartwig教授が、時間を割いてこの大作を執筆している。原本は6年前に発売され「有機遷移金属化学のバイブル」として既に地位を確立している。良い研究者が良い教育が必ずしもできるわけではないという話は同感できるが、同書籍は紛れもなくトップの研究者が書いた良著であるといえるだろう。

さて、日本語の有機金属化学書籍として有名なものは、

1.山本昭夫先生の「有機金属化学ー基礎と応用」

2. ヘゲダスの「ヘゲダス遷移金属による有機合成」

3. 辻二郎先生の「有機金属のための遷移金属触媒反応」

が挙げられる(他にもあるが、ここでは上記の3つのみ比較としてあげる)。1は名著であるがさすがに30年前の書籍なので内容が古い。2は十数年前に発売され、4年前に改訂がおこわなわれているが、遷移金属錯体化学よりである。3は良著であるが、ボリュームが足りない。英語書籍には辻先生のものも含めて良書は満載だが今回は議論から外そう。

今回の書籍はまずはボリュームが半端ない。上下巻を併せて1000ページ以上。原本とほぼ同様のページ数を有している。また、内容が遷移金属錯体の基本から、かなり実用的な有機合成化学への応用まで記載しており、これはHartwig教授の研究を考えればお分かりになるであろう。

さて、肝心の中身であるが、上述の目次のように、遷移金属錯体の構造と結合、配位子、配位数、基本有機金属反応について述べ、下巻でより反応別に有機金属の反応化学を紹介している。古くから知られいる反応から近年興隆しているC-H活性化反応の基礎と応用までも事例をあげてかなり詳しく記載されている。確かに特に上巻に関しては大学生でも学ぶ異様は含まれているが、下巻に関してはかなり有機金属化学反応よりなので大学院生以上が望ましい。

いずれにしても、有機金属化学を学ぶ学生、教える化学者の両者にとっても必ず手に入れておきたい書籍といえる。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”189138953X” locale=”JP” title=”Organotransition Metal Chemistry: From Bonding to Catalysis”][amazonjs asin=”4785333014″ locale=”JP” title=”有機金属化学―基礎と応用 (化学選書)”][amazonjs asin=”4807907360″ locale=”JP” title=”ヘゲダス遷移金属による有機合成”][amazonjs asin=”480790681X” locale=”JP” title=”有機合成のための遷移金属触媒反応”]

 

関連動画

 

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. できる研究者の論文生産術―どうすれば『たくさん』書けるのか
  2. 研究留学術―研究者のためのアメリカ留学ガイド
  3. 研究者/研究力
  4. 大学院講義 有機化学
  5. 最新 創薬化学 ~探索研究から開発まで~
  6. 手で解く量子化学I
  7. 理工系のAI英作文術
  8. きみの未来をさがしてみよう 化学のしごと図鑑

注目情報

ピックアップ記事

  1. オレキシン受容体拮抗薬
  2. 田辺三菱 国内5番目のDPP-4阻害薬承認見通し
  3. 有機合成化学協会誌2022年5月号:特集号 金属錯体が拓く有機合成
  4. ナノの世界に朗報?!-コラニュレンのkg合成-
  5. ADC薬 応用編:捨てられたきた天然物は宝の山?・タンパクも有機化学の領域に!
  6. 単一細胞レベルで集団を解析
  7. 真空ポンプはなぜ壊れる?
  8. 遺伝子工学ーゲノム編集と最新技術ーChemical Times特集より
  9. 四角い断面を持つナノチューブ合成に成功
  10. ペニシリン penicillin

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年5月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

リサイクル・アップサイクルが可能な植物由来の可分解性高分子の開発

第694回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院理工学府(跡部・信田研究室)卒業生の瀬古達矢…

第24回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

粉末 X 線回折の基礎知識【実践·データ解釈編】

粉末 X 線回折 (powder x-ray diffraction; PXRD) は、固体粉末の試…

異方的成長による量子ニードルの合成を実現

第693回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科(佃研究室)の髙野慎二郎 助教にお願…

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP