[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

フレーザー・ストッダート James Fraser Stoddart

ジェイムス・フレーザー・ストッダート(James Fraser Stoddart, 1942年5月24日-)はアメリカの有機化学者・超分子化学者である(写真:RSC)。米国ノースウェスタン大学教授。
ロタキサンやカテナンなどの、Mechanically-Interlocked Moleculesの合成および応用にて多大な業績を上げている。ノーベル賞最有力化学者の一人といわれる。

経歴

1942年5月24日にエディンバラ(イギリス・スコットランド)にて生まれる。学士・修士・博士全ての課程をエディンバラ大学にて修了する。その後クイーンズ大学(カナダ)、シェフィールド大学(英)にて研究員を行い、 1970年シェフィールド大学講師に就任。その後いくつかのポストを経た後、1997年よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授となる。2003年よりCalifornia Nanosystem Institute(CNSI)のディレクターを兼任している。2008年より米ノースウェスタン大学に移籍。
1980年にD.Sc.を取得(エディンバラ大学)。2006年には英国王室よりナイト(Knight)の称号を与えられる。

1966  エディンバラ大学 博士号取得
1967  クイーンズ大学 研究員
1969  シェフィールド大学 研究員
1970  シェフィールド大学 講師
1978  Runcorn ICI Corporate研究所・研究員
1982  シェフィールド大学 Readership
1990  バーミンガム大学 教授
1997  カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA) 教授
2003  California NanoSystems Institute (CNSI) Director
2008  ノースウェスタン大学 教授

 

受賞歴

1964 Hope Prize in Chemistry (Edinburgh University)
1978 SRC Senior Visiting Fellowship (UCLA/USA)
1978 The Carbohydrate Chemistry Award of The Chemical Society
1980 RSC Perkin Division Career Award
1981 RSC Perkin Division Career Award
1982 RSC Perkin Division Career Award
1993 the International Izatt-Christensen Award in Macrocyclic Chemistry
1999 アーサー・C・コープスカラー賞
2004 The Nagoya Gold Medal in Organic Chemistry
2007 The King Faisal International Prize in Science
2007 The Tetrahedron Prize for Creativity in Organic Chemistry
2007 The Albert Einstein World Award of Science
2007 The Foresight Nanotech Institute Feynman Prize in Nanotechnology (Experimental)
2008 アーサー・C・コープ賞
2008 The Royal Society’s Davy Medal
2010 ISNSCE Award (FNANO2010)
2010 Royal Medal of the Royal Society of Edinburgh
2010 Undergraduate Chemistry Council Teacher of the Year (Northwestern University)
2012 Distinguished Citizen Award (Illinois St Andrews Society)
2013 IChemE North America Chemical Engineering Project of the Year Award
2014 Centenary Prize (Royal Society of Chemistry)
2016 Nobel Prize (Chemistry) for “the design and synthesis of molecular machines”

研究

Three Ms (Making, Measuring, Modeling)”をキーワードに、国内外幅広い分野の共同研究者たちとともに、学際的な研究を展開している。

分子認識・自己組織化・鋳型合成のコンセプトを活用した、ロタキサン、カテナン、オリンピアーダン、ボロミアンリングなどのMechanically-Interlocked Molecules[1]の効率的合成法を確立。 バイステイブルカテナン/ロタキサンの分子スイッチ/分子モーター/分子機械としての応用[2]など、超分子化学とナノテクノロジーへの応用を主軸テーマとしている。

molecule 分子ボロミアンリング[3]
(引用:Borromean Rings in Chemistry)

最近ではHeathらとの共同研究により、分子スイッチ型ロタキサンを金属表面に組織化させ、高密度の可逆的分子メモリを作成することにも成功[4]しています。

 

名言集

 

コメント & その他

  1.  ノーベル賞候補者として例年名前が挙がる、世界的に大変有名な研究者です。基礎研究としてのMechanically-Interlocked Molecules合成をもとに、分子機械/記録媒体などナノテクノロジー領域へとそれらの分子を応用する研究戦略が活発に遂行されています。
  2. 1000報近くの論文を執筆し、100回以上引用される論文がそのうち200報を占める、この分野におけるパイオニアかつリーダー的存在です(H-Index=125)。一方で、糖鎖化学の分野においても顕著な業績をあげています。
  3. CGをふんだんに使った視覚に訴える論文記法・プレゼンテーションスタイルは、遊び心にあふれ、分野外の人が見ても大変エキサイティングなものになっています。
  4. 45年間の研究室運営で400人以上の博士課程学生と博士研究員が在籍していた。

 

インタビュー記事

第五回 超分子デバイスの開発 – J. Fraser Stoddart教授

 

関連動画

Northwestern大学によるナノテクノロジー部門広報動画・Stoddart教授も出演

 

関連文献

  1. (a) Amabilino, D. B.; Stoddart, J. F. Chem. Rev. 1995, 95, 2725. DOI: 10.1021/cr00040a005 (b) Raymo, F. M.; Stoddart, J. F. Chem. Rev. 1999, 99, 1643. doi:10.1021/cr970081q
  2. (a) Bissell, R. A.; Cordova, E.; Kaifer A. E.; Stoddart, J. F. Nature 1994, 369, 133. DOI: 10.1038/369133a0 (b) Stoddart, J. F. et al. Science 2004, 303, 1845. DOI: 10.1126/science.1094791
  3. Chichak, K. S.;Cantrill, S. J.; Pease, A. R.; Chi, S.-H.; Cave, G. W. V.; Atwood, J. F.; Stoddart, J. F.  Science 2004, 204, 1308. DOI: 10.1126/science.1096914
  4. Heath, J. A.; Stoddart, J. F. et al. Nature, 2007, 445, 414. DOI: 10.1038/nature05462
  5. Li, Q.; Zhang, W.; Miljanić, O. Š.; Sue, C.-H.; Zhao, Y.-L.; Liu, L.; Knobler, C. B.; Stoddart, J. F.; Yaghi, O. M. Science 2009, 325, 855. DOI: 10.1126/science.1175441
  6. Spruell, J. M.; Coskun, A.; Friedman, D. C.; Forgan, R. S.; Sarjeant, A. A.; Trabolsi, A.; Fahrenbach, A. C.; Barin, G.; Paxton, W. F.; Dey, S. K.; Olson, M. A.; Benítez, D.; Tkatchouk, E.; Colvin, M. T.; Carmielli, R.; Caldwell, S. T.; Rosair, G. M.; Hewage, S. G.; Duclairoir, F.; Seymour, J. L.; Slawin, A. M. Z.; Goddard, W. A., III; Wasielewski, M. R.; Cooke, G.; Stoddart, J. F. Nature Chem. 2010, 2, 870. DOI: 10.1038/nchem.749
  7. Tayi, A. S.; Shveyd, A. K.; Sue, A. C. H.; Szarko, J. M.; Rolczynski, B. S.; Cao, D.; Kennedy, T. J.; Sarjeant, A. A.; Stern, C. L.; Paxton, W. F.; Wu, W.; Dey, S. K.; Fahrenbach, A. C.; Guest, J. R.; Mohseni, H.; Chen, L. X.; Wang, K. L.; Stoddart, J. F.; Stupp, S. I. Nature 2012, 488, 485. DOI: 10.1038/nature11395
  8. Cheng, C.; McGonigal, P. R.; Schneebeli, S. T.; Li, H.; Vermeulen, N. A.; Ke, C.; Stoddart, J. F. Nat Nanotechnol 2015, 10, 547. DOI: 10.1038/nnano.2015.96

 

関連書籍

外部リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. グレッグ・ウィンター Gregory P. Winter
  2. マリウス・クロア G. Marius Clore
  3. アリ・ワーシェル Arieh Warshel
  4. 小坂田 耕太郎 Kohtaro Osakada
  5. イー・タン Yi Tang
  6. フランク・グローリアス Frank Glorius
  7. フィリップ・イートン Phillip E. Eaton
  8. 水島 公一 Koichi Mizushima

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基 Fmoc Protecting Group
  2. 2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド:2,4,6-Triisopropylbenzenesulfonyl Chloride
  3. 『Ph.D.』の起源をちょっと調べてみました② 化学(科学)編
  4. ニセクロハツの強毒原因物質を解明 “謎の毒キノコ” 京薬大准教授ら
  5. 息に含まれた0.0001%の成分で健康診断
  6. 科学は夢!ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞2015
  7. サンギ、バイオマス由来のエタノールを原料にガソリン代替燃料
  8. 渡辺化学工業ってどんな会社?
  9. フェティゾン試薬 Fetizon’s Reagent
  10. PACIFICHEM2010に参加してきました!Final!

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

アルケニルアミドに2つアリールを入れる

ニッケル触媒を用いたアルケニルアミドの1,2-ジアリール化反応が開発された。フマル酸エステルを配位子…

蛍光標識で定性的・定量的な解析を可能に:Dansyl-GSH

反応性代謝物の存在を調べたい。代謝化学の実験をしていれば、ほとんどの人がそう思うのではないでしょうか…

アメリカで医者にかかる

アメリカの大学院に進学する際、とても悩んだのが、医療保険についてです。アメリカでは医療費がとても高い…

MOF 結晶表面の敏感な応答をリアルタイム観察

第178回のスポットライトリサーチは、東京大学の細野暢彦講師にお願いしました。細野先生は高分…

有機合成化学協会誌2019年2月号:触媒的脱水素化・官能性第三級アルキル基導入・コンプラナジン・アライン化学・糖鎖クラスター・サリチルアルデヒド型イネいもち病菌毒素

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2019年2月号がオンライン公開されました。今…

化学の学びと研究に役立つiPhone/iPad app 9選

筆者の最近では、ちょっとした計算や反応機構を描くツールとしてipadアプリ"GoodNotes"を使…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP