[スポンサーリンク]

ケムステニュース

いつ、どこで体内に 放射性物質に深まる謎

[スポンサーリンク]

ポロニウム
?

?英国に亡命中のロシア連邦保安局(FSB)の元中佐リトビネンコ氏の「毒殺」疑惑に世界の注目が集まっている。ロシアのプーチン政権批判の急先鋒である同氏の尿から検出されたのは放射性物質ポロニウム210。いつ、どこで放射性物質を摂取したのか。本人周辺が主張する「ロシア情報機関による暗殺」なのか…。謎は深まるばかりだ。

▽高度の知識

ロンドン警視庁はこれまでに、ロンドン北部のリトビネンコ氏の自宅、体調を崩した今月1日に同氏が立ち寄ったホテル、日本食レストランの3カ所から微量の放射線を検出した。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、ポロニウムがこれまで暗殺事件に使われた例はない。常石敬一神奈川大教授(生物・化学兵器)は「研究室で使うことはあっても入手は難しい」と指摘する。暗殺だとすれば、高度な知識を持つプロ集団が関与した可能性が高い。

運搬手段について常石教授は「放射線を遮断するために、鉛のケースに入れて、皮膚に付かないようにすればいい。(致死量は)極微量なので、入れ物はパチンコ玉ほどの大きさのもので十分」と指摘する。

放射性物質が”凶器”となった可能性があることについて、英国の化学者は同紙に対し「犯人は殺害だけでなく、事件を利用して脅迫のメッセージを送っている」と語った。(引用:東京新聞)

 

ポロニウムは有名なキュリー夫妻が見つけた放射性元素でその放射能の強さはなんとウランの約330倍です。この元素の発見がキュリー夫妻の名声を高めた反面、彼らの寿命を削ったことはいうまでもありません。

 

?キュリー夫妻らは数トンのピッチブレンドからわずか数百マイクログラムのポロニウム210(半減期は138.4日)を単離しました。人工合成することもできますが、本当にどのように手に入れたのでしょう。

 

 

ちなみに実はタバコの中にも超超微量のタリウム210が入ってるんです。これだけで体を悪くしているとは考えにくいですが、一応天然の放射性元素なので廃棄物等にも超微量に含まれています。

?さらに毒殺といえば有名なものはヒ素やタリウムの化合物。なかでも亜ヒ酸(三塩化二ヒ素As2O3の水溶液)は最近の和歌山毒カレー事件の例など多用されています。その理由は亜ヒ酸は無色で無臭であることが一番の理由であると考えられます。亜ヒ酸のおおよその致死量は200 mで、細胞内のチオール基(SH基)と結合して,酵素系を阻害することにより死に至らしめます。

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 第38回有機金属若手の会
  2. 172番元素までの周期表が提案される
  3. バイオマスからブタジエンを生成する新技術を共同開発
  4. 宇部興産、オランダDSM社と「キラル技術」で提携
  5. 大気中のメタン量、横ばいに/温暖化防止に朗報か
  6. 国際化学オリンピック開幕間近:今年は日本で開催!
  7. ファンケルの身近な健康に関する研究開発
  8. 大日本製薬と住友製薬が来年10月合併・国内6位に

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 近赤外吸収色素が持つ特殊な電子構造を発見―長波長の近赤外光を吸収可能な色素開発へ―
  2. 創薬化学における「フッ素のダークサイド」
  3. 銅触媒と可視光が促進させる不斉四置換炭素構築型C-Nカップリング反応
  4. 誤った科学論文は悪か?
  5. バリー・トロスト Barry M. Trost
  6. 振動円二色性スペクトル Vibrational Circular Dichroism (VCD) Spectrum
  7. 世界初の「窒化タンタル光触媒」、可視光で水分解
  8. 科博特別展「日本を変えた千の技術博」にいってきました
  9. ガンマ線によるpHイメージングに成功 -スピンを用いて化学状態を非侵襲で観測-
  10. マテリアルズ・インフォマティクスにおける高次元ベイズ最適化の活用-パラメーター数が多い条件最適化テーマに対応したmiHub新機能もご紹介-

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年11月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

Marcusの逆転領域で一石二鳥

3+誘導体はMarcusの逆転領域において励起状態から基底状態へ遷移することが実証された。さらに本錯…

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP