[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第18回 出版業務が天職 – Catherine Goodman

[スポンサーリンク]

 第18回Nature Chemistry Blog執筆陣からの登場、Catherine Goodman博士です。Goodman博士はNature Chemical Biologyのシニアエディターでもあります。文章を読むことでお金を貰えたら最高、と考えていたらしいGoodman博士にとって、自然科学論文誌、しかもNature系雑誌の編集者というのは天職なのでしょう。日本語の勉強もしているらしい彼女。それではインタビューをどうぞ。

 

Q. あなたが化学者になった理由は?

前回のJosh(Joshua Finkelstein氏)と同じく、私もゲーム終盤まで化学に興味なんてありませんでした。高校のサイエンスのクラスはそんなに感動的な物ではなかったし、と言っても、私自身がカレッジ入学した時に(サイエンス全般を)嫌いだなんて思わなかった程度には充分面白いものだったんでしょうね。あれは学部1年生の化学のクラス、今までで最高の先生、John Hutchinson先生による、ソクラテス式問答法(Socratic method:問に対して各々がその考えを発言し、生徒達全体で討論をしながら進めていく授業方式。)スタイルの授業によって、私の興味は化学へと向き始めました。クラス全体を通して素晴らしいものでしたけれど、私の”eureka!“(=なるほど!そうか!) の瞬間は「どのように石鹸が効くか」…と聞くとアホらしいですが、物理現象があんなにも味わい深くエレガントに説明できるという事実に、私の心は自然科学の道へと導かれていったのです。

200px-UWASocrates_gobeirne_cropped

 

 

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

そうですね、これは長らく言い続けてきたことなのですが、文章を読む仕事でお金がもらえたら最高だなと考えていました。ですからこの仕事に就いていなかったとしたら、他のチョイスは明確で、いわゆる「普通の」出版社の編集者です。面白おかしい物(例えばフィクションの物語ですとか)を読むような。他の、もっと他のギーク(geek=オタク)っぽくない仕事なら、ダンサー…もちろん昔のようにスリムな身体に戻らなければならないことは分かっていますけど(あー、グアカモーレ(アヴォカドを使ったメキシコ料理)!!ダイエットの天敵だわ!)

グアカモーレ

グアカモーレ

 

Q.概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

何をしていたってネガティブになる必要なんてなくて、多くの、普段特に何かを深く考えてることもなく生きているだけの人々でも私は皆貢献しているのだと思いますよ。なんとなくの成り行きでも(別に私がココでゴミをポイ捨てしたとしても)、どのように周囲の人に影響を与えていこうかと考えていても(えー、ここでこんな例を挙げるのはよろしくないのかもしれませんが、例えば私はブッシュのポリシーがどうかなんて真剣に考えたりはしません)。サイエンティストという人たちは、広い意味で、いつも注意深く物事を考えてそれなりに行動しようとしますよね。私はそんなサイエンティスト達が好きです。だから(特に化学者だけが、という事はありませんが)重要な、潜在的な化学者にできる貢献というのは、もっと人々が「考える事」を促すことだと思います。

 

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

それは故人でないといけませんか?ジョン・スチュワート(→The daily show with John Stewartという番組で有名。コメディアン。)がいいんですけど。単純に夕食を共にするなら彼以上におかしそうな人が思い浮かばないので。

Jon Stewart

Jon Stewart

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

去年の春(06年5月 ※原文掲載は07年6月)です。私の作ったβペプチドがどういう構造をしているかを調べるのに、CDスペクトルと格闘しながらモヤモヤした数日間を過ごしました。本当に最後の「化学実験」はそれよりもほんの少し前のこと、ジアゾメタンを使ったαアミノ酸の一炭素増炭反応でβ化合物を作りました。一度も爆発事故を起こさなかった事が私の誇りです。

 

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

私の姉妹に言わせると、私は本の虫だそうで、これは厳しい質問ですね。私自身、本が好きですし、一冊を読み終えるのにどんなに長くても一日も掛かりません(この才能を日本語の練習に活かしています)。たぶんJames ClavellのShogun、にすると思います。(Josh(先述の前回インタビュー回答者Joshua Finkelstein氏)は私がきちんと告白するべきだと思ってるんでしょうけど、実はこのShogun、25セントで買ったんですよ。300冊くらいの古本セールの中で見つけたんです。全部25セントだったんです。)もしくはシェイクスピアの全集にします。音楽CDはDave Matthews BandのCrashにします、たぶん。でも私が音楽CDを聞くのが好きなのは運転中なんですよ。だから無人島へ持って行っても意味が無いような…砂の上を走れるバギー(当然CDプレイヤー付き)も持って行ったらだめですか?

[amazonjs asin=”0440178002″ locale=”JP” title=”Shogun”][amazonjs asin=”B00005657Y” locale=”JP” title=”激突!”] 原文:Reactions – Catherine Goodman
※このインタビューは2007年6月22日に公開されたものです。

Avatar photo

せきとも

投稿者の記事一覧

他人のお金で海外旅行もとい留学を重ね、現在カナダの某五大湖畔で院生。かつては専ら有機化学がテーマであったが、現在は有機無機ハイブリッドのシリカ材料を扱いつつ、高分子化学に

関連記事

  1. 第36回「光で羽ばたく分子を活かした新技術の創出」齊藤尚平 准教…
  2. 第70回―「ペプチドの自己組織化現象を追究する」Aline Mi…
  3. 第171回―「超分子・機能性ナノ粒子で実現するセラノスティクス」…
  4. 第53回―「革命的な有機触媒を開発する」Ben List教授
  5. 第九回 均一系触媒で石油化学に変革を目指すー山下誠講師
  6. 第80回―「グリーンな変換を実現する有機金属触媒」David M…
  7. 第66回―「超分子集合体と外界との相互作用を研究する」Franc…
  8. 第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 …

注目情報

ピックアップ記事

  1. フェノールフタレイン ふぇのーるふたれいん phenolphthalein
  2. 創発型研究のススメー日本化学会「化学と工業:論説」より
  3. メチレン架橋[6]シクロパラフェニレン
  4. テルペンを酸化的に”飾り付ける”
  5. 今週末は「科学の甲子園」観戦しよーぜ
  6. その化合物、信じて大丈夫ですか? 〜創薬におけるワルいヤツら〜
  7. 論説フォーラム「グローバル社会をリードする化学者になろう!!」
  8. 「Natureダイジェスト」で化学の見識を広めよう!
  9. 平井 剛 Go Hirai
  10. 学生はなんのために研究するのか? 研究でスキルアップもしませんか?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

第61回Vシンポ「中分子バイオ医薬品分析の基礎と動向 ~LCからLC/MSまで、研究現場あるあるとその対処~」を開催します!

こんにちは、Macyです。第61回Vシンポのご案内をさせていただきます。今回は、Agilen…

水分はどこにあるのか【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

「MI×データ科学」コース 〜LLM・自動実験・計算・画像とベイズ最適化ハンズオン〜

1 開講期間2026年5月26日(火)、29日(金) 計2日間2 コースのねらい、特色近…

材料の数理モデリング – マルチスケール材料シミュレーション –

材料の数理モデリング概要材料科学分野におけるシミュレーションを「マルチスケール」で理解するた…

第59回天然物化学談話会@宮崎(7/8~10)

ごあいさつ天然物化学談話会は、全国の天然物化学および有機合成化学を研究する大学生…

トッド・ハイスター Todd K. Hyster

トッド・カート・ハイスター(Todd Kurt Hyster、1985年10月10日–)はアメリカ出…

“最難関アリル化”を劇的に加速する固定化触媒の開発

第 703回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院 理工学府 博士課程前期で…

「ニューモダリティと有機合成化学」 第5回公開講演会

従来の低分子、抗体だけでなく、核酸、ペプチド、あるいはその複合体(例えばADC(抗体薬物複合体))、…

溶融する半導体配位高分子の開発に成功!~MOFの成形加工性の向上に期待~

第702回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理学部(田中研究室)にて助教をされていた秋吉亮平 …

ミン・ユー・ガイ Ming-Yu Ngai

魏明宇(Ming-Yu Ngai、1981年X月XX日–)は米国の有機化学者である。米国パデュー大学…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP