[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第54回―「ナノカーボンを機能化する合成化学」Maurizio Prato教授

[スポンサーリンク]

第54回の海外化学者インタビューは、マウリーツィオ・プラート教授です。イタリア・トリエステ大学の薬学部に所属し、材料科学と医薬化学に応用される有機合成化学のテーマに取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

10代の頃、『Scientific American』のイタリア語訳をよく読んでいて、遺伝学に魅了されました。進路を決めるときには、化学と生化学を学び、それから遺伝学を専攻することを薦められました。これはまったく間違っていたと後になって分かったのですが。実際には化学を専攻し、勉強しているうちに有機化学にますます惹かれていき、この学問にすっかりはまってしまいました。当時、パドヴァ大学での有機化学のメンターにも強く影響を受けました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

医者です。人間機械がどう機能しているか理解することは、常に魅力的でした。また、命を救うことは気分が良いものです。しかし私は化学者であること、より一般的には科学者であることを本当に幸せに思っています。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

今日では、主には汚染に関連して、化学の一般イメージは完全に偏見にまみれています。そのため、化学を勉強し開発しすることを若い人たちはますます奨励されなくなり、代わりに環境科学のような化学基盤の学問に魅力を感じるようになっています。しかし、医薬品から無数の商品に至るまで化学は貢献しており、私たちの生活の質を大きく向上させています。ゆえに、世界全体に化学がどのように貢献しているかという質問は、実際には類語反復的です。我々は、社会問題をもっと意識し「良い」化学大使になるべきだ、ということかもしれません。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

偉大なギリシアの哲学者プラトンです。

ギリシア文明は、西ヨーロッパで最も活発で影響力のあった時代の一つでした。彼らの行動の多くは、今日のライフスタイルよりも楽しく開放的でした。彼らの文化は非常によく発達しており、数学は非常に洗練されていました。例えば、正多面体は化学者にとって最も魅力的な幾何学的形態の一つです。また、彼らの著書には謎めいた話が多く書かれていますが、我々にはまだわからないことがあります。例えばプラトンは、彼の対話録「Timaeus and Critias」の中で、伝説的な島であるアトランティスに初めて言及しています。アトランティスは実在したのでしょうか?本当に大西洋にあったのでしょうか?どうして海に沈んでしまったのでしょうか?

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

15年以上前のことで、正確には覚えていません。当時は環化付加反応を行っていたので、その一つだと思ってしまいがちです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本については、トーマス・マンの「魔の山」を持っていきます。ある本が好きになったりよく覚えている理由は、それを読んだ人生の瞬間に強く依存するものです。もう一つ、レオ・トルストイの 「戦争と平和」 も、読んでいてとても興味をそそられました。これらの本で気に入っている点は、愛や感情だけでなく、哲学、自然科学、歴史などにまでおよぶ生命観です。すべてを理解するには何年もかかるほど、興味深い問題がたくさんあります。

これに加えて、リヒャルト・ワーグナーの 「ワルキューレ」 の第三幕を持っていきます。WotanとBrunnhildの間の、強烈かつ音楽的に比類無い対話が含まれています。聞いていて飽きません。

原文:Reactions – Maurizio Prato

※このインタビューは2008年3月7日に公開されました。

 

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第10回 ナノ構造/超分子を操る Jonathan Steed教…
  2. 第43回―「均質ナノ粒子の合成と生命医学・触媒への応用」Taeg…
  3. 第52回―「多孔性液体と固体の化学」Stuart James教授…
  4. 第51回―「超分子化学で生物学と材料科学の境界を切り拓く」Car…
  5. 第77回―「エネルギーと生物学に役立つ無機ナノ材料の創成」Cat…
  6. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授
  7. 第60回―「エネルギー・環境化学に貢献する金属-有機構造体」Ma…
  8. 第72回―「タンパク質と融合させた高分子材料」Heather M…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 単一分子の電界発光の機構を解明
  2. 構造化学の研究を先導する100万件のビッグデータ
  3. ハリーポッターが参考文献に登場する化学論文
  4. 光化学スモッグ注意報が発令されました
  5. アイディア創出のインセンティブ~KAKENデータベースの利用法
  6. 薗頭 健吉 Kenkichi Sonogashira
  7. 第96回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part II
  8. 化学遺産財団
  9. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(4)
  10. チアゾリジンチオン

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

海外機関に訪問し、英語講演にチャレンジ!~② アポを取ってみよう~

海外学会のついでに近郊機関に訪問し、ディスカッションと英語講演にトライしてみよう!シリーズ記事です。…

海外機関に訪問し、英語講演にチャレンジ!~① 基本を学ぼう ~

筆者は年1~2回ほど海外学会へ参加し、研究成果を対外的に発表しています。ここ数年はそれに数日の滞在を…

ケムステのライターになって良かったこと

先日、Chem-Stationのスタッフのやぶさんがスタッフになって良かったこと、Chem-Stat…

ワイリーからキャンペーンのご案内 – 化学会・薬学会年会参加予定だったケムステ読者の皆様へ

学会会場で予定していたケムステ読者向けキャンペーンを実施します!(追記:公開早々に1.メルマガ登…

ケムステスタッフ Zoom 懇親会を開催しました【後編】

今話題のオンライン会議ツールである Zoom を使って、日本時間3月21日 18:00  (太平洋時…

ケムステスタッフ Zoom 懇親会を開催しました【前編】

今話題のオンライン会議ツールである Zoom を使って、日本時間3月21日 18:00  (太平洋時…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP