Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments

Mar
26
2009
Author: cosine[Edit ] View: [340]  
Category:一般的な話題 , 実験・テクニック
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Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments: All Lab, No Lecture (Diy Science)



 Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments: All Lab, No Lecture (図解・家庭でできる化学実験)という書籍をご存じでしょうか? 


 本書は、コンピュータ系出版社として名高いオライリー社から2008年に出版された、化学実験手引書です。




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 「なぜコンピュータ出版社が化学実験の本を?」と、人によっては疑問に思われるかも知れません。


 実は「Illustrated~」は、季刊誌"MAKE"の派生品なのです。MAKEは「DIY・電子工作・サイエンスアート分野において、自分で手作りしつつ理解する楽しみを味わってもらおう」というコンセプトで2005年に創刊されました。日本でいう「大人の科学」シリーズと同様のコンセプトをもつ雑誌といえます。


 「Illustrated~」はそのような思想がベースになっているため、本格的な化学実験をDo It Yourselfでやってみたい人 (学生のみならず、化学実験を趣味的にやってみたい大人も含む)が対象読者として想定されています。研究者向けの実験手引書ではないのですね。


Slashdot.jpの記事に、概要が良くまとまっていましたので、紹介します。

 400ページを超えるこの本の著者は、一般市場向けの化学実験用品が減り、科学教育の質も低下している現状に一石投じるべくこの本をまとめるに至ったとのことで、掲載されている実験は銅の精錬やアルコールの精製、レーヨンの合成から、潜在指紋の採り方や血液の検知法など多岐に渡ります。
 WIREDのレビューによると、序盤は研究室ノートの作り方、安全、器材や材料の揃え方などにしっかりとページを割き、安全かつ正しく実験が行えるように計測・ろ過・分離などの実験技術について書かれた章が続き、その後やっと各実験に関する章に入るとのこと。また、この本を書くにあたって著者は自身及び実験者の安全や法的責任を守るため、爆発物や塩酸メタンフェタミン(覚醒剤)の精製など、違法にあたる内容が入らないよう細心の注意を払ったそうです。

 
 著者のRobert  Bruce Thompsonは、12歳の頃から自宅地下室に実験室をもち、様々な化学実験を行う子供時代を過ごし、大学でも化学を専攻していました。しかしながら、そのような経験で化学の魅力を感じてきた彼にとって、『現代の子供向け化学キットは"火・ガラス・化学薬品"を必要としないことを誇らしげにしており、"牙を抜かれた"ように魅力がなくなっている。"化学"はそれ自体魅力たっぷりなもので、子供達にとっては魔法そのものにしか見えないのだが、その魅力を伝える力を持つアイテムが、あまりに少ない』―そういった失望を抱くに十分な現状だったらしく、それが「Illustrated~」を執筆するモチベーションとなったようです。


 筆者もその辺りの話に興味を持って購入し、ざっと目を通してみました。レベルは中高生でも理解可能な程度であり、比較的入手容易な薬品で行える実験が厳選されています。理論的背景・実験手順・安全面での注意・考察事項なども含めて、400ページもの分量があります。その分量はまさに圧巻。


 相当に本格的な内容になっており、"Home Chemistry Experiments"と銘打ってはいますが、洗面器やコップなどではなく、ビーカー・フラスコ・メスシリンダーなど、ちゃんとした実験器具の使用が前提されています。最近では東急ハンズなどでも実験ガラス器具が買える時代ですから、それらを個人でそろえることも難しくない、という考え方でしょうか。科学クラブや理科実験の教材としては、勿論この上なく優れた書籍です。


 類を見ない良書ですが、英語で書かれているので、やはり敷居の高い書物だと言わざるを得ません。広く普及させるのであれば、和訳版の発行は必要不可欠となるでしょう。未だに和訳版が刊行されてないのは、新しい本というのも一因でしょうが、日米における化学規制の差異などの理由から、本書の思想を損なわずに翻訳・構成を行う作業ににハードルがあるからかもしれません。その辺りをどうやって処理するか、というのも訳者と編集者の腕の見せ所になってくるように思えます。


 何にせよ、世界的に見ても"化学"のイメージは良くなく、日本でも理科離れの進行が嘆かれる現状です。そのような中で、こういった意欲的書物が出版されてくること自体、世界の化学界にとって一つの朗報といえるのではないでしょうか。今後もこのような試みが引き続き出てくることを願ってやみません。



Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments: All Lab, No Lecture (Diy Science)
  • 関連書籍
フォトサイエンス化学図録 改訂版―視覚でとらえる
数研出版
数研出版編集部(編さん)
発売日:2007-02
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 ビジュアル高校化学
おすすめ度5 一家に一冊、化学図録
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おすすめ度5 これはかなりいいよ。
おすすめ度5 化学を楽しめる
Make: Technology on Your Time Volume 01
オライリー・ジャパン
オライリー・ジャパン(編集)
発売日:2006-08-24
おすすめ度:4.0
おすすめ度3 少年の心を持った大人達へ!
おすすめ度4 工作好きの心をくすぐる
おすすめ度5 アメリカ版(ちょっとジャンクな)大人の科学
おすすめ度4 作らなくても面白い
おすすめ度4 面白いです

  • 関連リンク


アメリカで「図解:家庭で出来る化学実験」出版される (slashdot.jp)

Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments査読

GeekDad Review: The Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments 英文レビュー

MAKE:JAPAN

HomeChemLab.com 正誤表などがあります

Best home chemistry lab book Wired誌編集長・Kevin Kelly氏によるレビュー

Robert Bruce Thompson on the demise of the chemistry set (Make:Online)


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