[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

人と人との「結合」を「活性化」する

[スポンサーリンク]

oosakaunivnakanoshima.png

 たまにはいつもとは違うタッチで。化学者のつぶやきはまさにただのつぶやきなので何を書いてもよいのです。新学術領域「分子活性化」の全体会議のため、現在大阪に来ています。会場は大阪大学中之島センター。今回はクローズドの全体会議なので内容については述べません。
ちなみに、triviaですがこの大阪大学中之島センターは「白い巨塔」のモデルになった阪大医学部跡地に建てられた上記のようなきれいな建物です。つい最近、他の所用で来ているので今回でここに来るのは2回目でした。


新学術領域というのは文部科学省科学研究費補助金、つまり競争的資金のひとつで、ある大きなテーマに従って応募し、みなでこの分野を盛り上げようという文科省の政策のひとつです。つまり、「似た様な」テーマの化学者があつまるわけですが、これは一般的には代表の裁量によってきまります。代表が本気で分野を推進しようという場合、若手であっても分野関係なくしっかり判断してメンバーにいれます。今回の新学術領域も筆者のような若手も多く、10分間で研究計画を全員発表するという方針も、様々な研究を知ることができなかなか面白いものでした。

 分野の研究を盛り上げ、共同研究を推進できることもさることながら、やはり同じ方向性で化学を考えている人と人との繋がりを強めるという意味もあります。私はそれが一番の理由だと思います。自分だけで研究を行っていると細かい枠にとらわれがち。しかし、まわりの同じ方向性の化学者と話をすると自分もがんばらなければという良い意味でのコンペディションが生まれます。なおかつ、比較的様々な分野から同じ方向性をもった化学者とお話しし、研究を聴ける、語れることはとても新鮮です。馴れ合いにならないことだけは気をつけなければなりませんが。
それはどのコミュニティーにも言えることで、「いかに切磋琢磨しがんばれるコミュニティーをつくれる」かが自分の研究推進の1つのモチベーションになると思います。おそらくこのような最終的な大きなコミュニティーも元々は同世代の単なる「友人」「飲み友達」などからはじまるのでしょう。「類は友を呼ぶ」とはよくいったもので、アツイモチベーションを持っている人とは気が合うものなのです。
そういう意味で化学も大事ですが、今回のテーマに掛けまして、改めて人と人との「結合」を「活性化して」繋げることが最も大事ではないかと思った次第です。今日出会えた人との「結合」を大事にしていきたいと思います。
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. −(マイナス)と協力して+(プラス)を強くする触媒
  2. 結晶格子の柔軟性制御によって水に強い有機半導体をつくる
  3. 製品開発職を検討する上でおさえたい3つのポイント
  4. 求電子剤側で不斉を制御したアミノメチル化反応
  5. コラボリー/Groups(グループ):サイエンスミートアップを支…
  6. 有機ホウ素化合物を用いたSNi型立体特異的β-ラムノシル化反応の…
  7. 有機レドックスフロー電池 (ORFB)の新展開:高分子を活物質に…
  8. 大学院生のつぶやき:研究助成の採択率を考える

注目情報

ピックアップ記事

  1. あらゆる人工核酸へ光架橋性の付与を実現する新規化合物の開発
  2. ゲルのやわらかさの秘密:「負のエネルギー弾性」を発見
  3. ボラン錯体 Borane Complex (BH3・L)
  4. 尿はハチ刺されに効くか 学研シリーズの回顧
  5. 北原武 Takeshi Kitahara
  6. 天然物の全合成―2000~2008
  7. 虫歯とフッ素のお話② ~歯磨き粉のフッ素~
  8. アウグスト・ホルストマン  熱力学と化学熱力学の架け橋
  9. 生きたカタツムリで発電
  10. 広範な反応性代謝物を検出する蛍光トラッピング剤 〜毒性の黒幕を捕まえろ〜

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP