[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

非専門家でもデザインはできる!「ノンデザイナーズ・デザインブック」

[スポンサーリンク]

 

 

「つぶやき」読者のみなさんは、デザインセンスに自信ありますか?

もちろん専門家ではないほとんどの方は「ごめんなさい・・・」だと思えます。

しかし我々のような科学者といえど、デザインセンスが必要とされる局面は多々あります。

典型的なのはプレゼンスライドと論文の図づくりでしょう。どんなに良い仕事でもこれらが見づらいだけで、「あーあなんだよこの仕事・・・」と受け手に思われてしまうものです。

科学の中身が最重要なのはもちろんですが、一目で惹きつけられるような論文・スライドを作れるならば、それに超したことはありません。情報過多の現代にあって「良い物なら誰もが興味を持ってくれる!」という考え方は、のんきにすぎるとも言えるからです。

デザインの考え方を表面的にではなく、基礎から押さえておきたい――そのとっかかりに適した書籍が今回紹介する「ノンデザイナーズ・デザインブック」です。

本書は「デザインを正式には学んだことが無いけれども、デザインする必要がある人たちのために」書かれているのが特徴。デザイン入門書としては定番中の定番です。

メッセージは極めてシンプル。下記の「4つの基本原則」を徹底しておけば、誰でもマシなデザインができますよ!ということです。

コントラスト:要素同士をはっきりと違わせる

反復:視覚的要素を繰り返して一貫させる

整列:視覚的要素の関係性を考える

近接:関連度の高い項目同士は近づけてグループ化する

本書では「なぜこの原則を欠いたレイアウトやデザインが良くないのか?」ということを、カラーイラストの実例とともに解説しています。一つ難点があるとすれば、日本語ではなく英語のレイアウト事例のみが取り扱われている点でしょうか。しかし言語に依らない原則なので、学びに支障はありません。

日本語での内容を掴みたい方は、下の「ノンデザイナーズ・デザインブックを読み解く」と題したスライドを眺めてみてはいかがでしょう。(余談ですが、同時に取りあげられている「MIND HACKS」「インターフェースデザインの心理学」も名著ですよ!)


画期的業績をあげた科学者であっても、平然と見づらいスライドで喋る姿、筆者自身も何度か見たことがあります。ノーベル賞クラスともなれば分野の広告塔でもあるわけですから、改善しないままあちこち出張ってしまうと、分野の評判を落としてしまうことにもなりはしないでしょうか・・・まぁそれはさておき。いざそうなった暁にいろいろ言われないタメにも(!?)、デザインセンスは身につけておきたいところですよね。

というわけで、デザインにお悩みの化学者の皆さんは是非ご一読を!

 

関連書籍

 

関連リンク

  • PowerPointスライド世界ワースト作品… (Gizmodo.jp)
  • 伝わるデザイン 研究者に特化した、レイアウト・デザイン指南サイト。非常に優れたコンテンツで、大変勉強になります。こういう話に興味のある方は、是非本書を読んでみるといいかと思います。表題の通り、読む気の失せるスライド。なぜかそうなのかは、やっぱりきっちりと分析・勉強しておく必要があるでしょう
  • プレゼンテーションテクニック:プレゼンの基本構成は科学論文と同じ!

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. CEMS Topical Meeting Online 機能性材…
  2. 95%以上が水の素材:アクアマテリアル
  3. 研究室でDIY!~エバポ用真空制御装置をつくろう~ ④
  4. 酒石酸にまつわるエトセトラ
  5. 映画「分子の音色」A scientist and a music…
  6. 力をかけると塩酸が放出される高分子材料
  7. アルケンのエナンチオ選択的ヒドロアリール化反応
  8. 深紫外光源の効率を高める新たな透明電極材料

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ハリース オゾン分解 Harries Ozonolysis
  2. 野依不斉水素移動反応 Noyori Asymmetric Transfer Hydrogenation
  3. 学術変革領域(B)「糖化学ノックイン」発足!
  4. あらゆる人工核酸へ光架橋性の付与を実現する新規化合物の開発
  5. オルガネラ選択的な薬物送達法:②小胞体・ゴルジ体・エンドソーム・リソソームへの送達
  6. 有機合成化学協会誌2019年1月号:大環状芳香族分子・多環性芳香族ポリケチド天然物・りん光性デンドリマー・キャビタンド・金属カルベノイド・水素化ジイソブチルアルミニウム
  7. 有機合成のための新触媒反応101
  8. 2012年10大化学ニュース【前編】
  9. ウォルフ・キシュナー還元 Wolff-Kishner Reduction
  10. 位置多様性・脱水素型クロスカップリング

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

【十全化学】核酸医薬のGMP製造への挑戦

「核酸医薬」と聞いて、真っ先に思い起こすのは、COVID-19に対するmRNAワ…

十全化学株式会社ってどんな会社?

私たち十全化学は、医薬品の有効成分である原薬及び重要中間体の製造受託を担っている…

化学者と不妊治療

これは理系の夫視点で書いた、私たち夫婦の不妊治療の体験談です。ケムステ読者で不妊に悩まれている方の参…

リボフラビンを活用した光触媒製品の開発

ビタミン系光触媒ジェンタミン®は、リボフラビン(ビタミンB2)を活用した光触媒で…

紅麹を含むサプリメントで重篤な健康被害、原因物質の特定急ぐ

健康食品 (機能性表示食品) に関する重大ニュースが報じられました。血中コレステ…

ユシロ化学工業ってどんな会社?

1944年の創業から培った技術力と信頼で、こっそりセカイを変える化学屋さん。ユシロ化学の事業内容…

日本薬学会第144年会付設展示会ケムステキャンペーン

日本化学会の年会も終わりましたね。付設展示会キャンペーンもケムステイブニングミキ…

ペプチドのN末端でのピンポイント二重修飾反応を開発!

第 605回のスポットライトリサーチは、中央大学大学院 理工学研究科 応用化学専…

材料・製品開発組織における科学的考察の風土のつくりかた ー マテリアルズ・インフォマティクスを活用し最大限の成果を得るための筋の良いテーマとは ー

開催日:2024/03/27 申込みはこちら■開催概要材料開発を取り巻く競争や環境が激し…

石谷教授最終講義「人工光合成を目指して」を聴講してみた

bergです。この度は2024年3月9日(土)に東京工業大学 大岡山キャンパスにて開催された石谷教授…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP