[スポンサーリンク]

C

カテラニ反応 Catellani Reaction

[スポンサーリンク]

概要

3成分連結型反応(3-component reaction)の一種。ノルボルネンを共触媒とするパラジウム触媒の存在下、溝呂木-Heck反応をはじめとするパラジウムクロスカップリングをおこなうと、オルト位のC-H活性化が起こり、アルキルハライドとの炭素-炭素結合の形成がおこなえる。

基本文献

 

開発の歴史

1997年にイタリアの化学者Catelaniによって報告され、その名前を冠して名付けられた。

Marta Catellani

Marta
Catellani

 

 

反応機構

パラジウムは0・II・IV価を経由する。オルトC-H活性化の段階では、もともと歪みを帯びて反応性の高いノルボルネンがmigratory
insertionした中間体を経て、近接効果によってパラダサイクルが形成される。 (参考: J.Organomet. Chem. 1993,458, C12 , Synthesis1996, 769

計算科学による反応機構解明(Catellani M. et al, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 8574. DOI: 10.1021/ja110988p )

Catellani_2.gif

反応例

アルキル化材の酸化的付加は立体反転をともなう。[1] Catellani_3.gif
多環性化合物・複素環化合物の合成に威力を発揮する。以下はその一例[2]。
Catellani_4.gif

 

 

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] Rudolph, A.; Rackelmann, N.; Lautens, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 1485. DOI: 10.1002/anie.200603888

[2] Bressy, C.; Alberico, D.; Lautens, M. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 13148. DOI: 10.1021/ja054472v

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3642123554″ locale=”JP” title=”C-H Activation (Topics in Current Chemistry)”][amazonjs asin=”4759813659″ locale=”JP” title=”不活性結合・不活性分子の活性化: 革新的な分子変換反応の開拓 (CSJカレントレビュー)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ビシュラー・ナピエラルスキー イソキノリン合成 Bischler…
  2. シャープレス不斉ジヒドロキシル化 Sharpless Asyem…
  3. ファヴォルスキー転位 Favorskii Rearrangeme…
  4. エンインメタセシス Enyne Metathesis
  5. スマイルス転位 Smiles Rearrangement
  6. 正宗・バーグマン反応 Masamune-Bergman Reac…
  7. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…
  8. ヘテロ ディールス・アルダー反応 Hetero Diels-Al…

注目情報

ピックアップ記事

  1. SDGsと化学: 元素循環からのアプローチ
  2. ホウ素ーホウ素三重結合を評価する
  3. キラル超原子価ヨウ素試薬を用いる不斉酸化
  4. 触媒のチカラで不可能を可能に?二連続不斉四級炭素構築法の開発
  5. 初めてTOEICを受験してみた~学部生の挑戦記録~
  6. 立体特異的アジリジン化:人名反応エポキシ化の窒素バージョン
  7. ナノってなんナノ?~日本発の極小材料を集めてみました~
  8. トム・メイヤー Thomas J. Meyer
  9. マンダー試薬 Mander’s Reagent
  10. 三菱ガス化学と日清ファルマ、コエンザイムQ10の合弁事業を開始

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP