[スポンサーリンク]

F

ファヴォルスキー転位 Favorskii Rearrangement

[スポンサーリンク]

 

概要

α-ハロケトンへのアルコキシド等の攻撃により、ケトンのα,α’位間の結合形成をともなってエステルが生成する。塩基として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、相当するカルボン酸が得られる。環状ケトンの場合には、環縮小が起きる。

β-ハロケトンを用いる同様の反応はHomo-Favorskii転位、α位プロトンを持たずエノール化しない基質を用いる反応はQuasi-Favorskii転位と呼ばれている。

基本文献

  • Favorskii, A. E. J. Russ. Phys. Chem. Soc. 189426, 590.
  • Favorskii, A. E. J. Russ. Phys. Chem. Soc. 190537, 643.
  • Favorskii, A. E. J. Ptakt. Chem. 191388, 658.
  • Favorskii, A. E.; Bozhovskii, V. N. J. Russ. Phys. Chem. Soc. 1914, 46, 1097.
  • Fort, A. W. J. Am. Chem.Soc. 1962, 784, 2620, 4979.
  • Review: Kende, A. S. Org. React. 196011, 261.

 

反応機構

反応中間体としてシクロプロパノンが生じ、これがアルコキシドや水酸化物イオンの求核攻撃を受け、ついで環開裂する機構で説明される。
x-acid5.gif

反応例

環状ケトンのFavorskii転位は、代表的な環縮小反応である。以下は例[1]。
x-acid1.gif
(+)-epoxydictymene合成[2]の第一段階反応。
favorskii_5.gif
Eatonらにより、Cubane全合成[3]の鍵反応として用いられている。
favorskii_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] 院有化II P129

[2] Jamison, T. F.; Shambayati, S.; Crawe, W. E.; Schreiber, S. L. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 4353. DOI: 10.1021/ja970022u

[3] Eaton, P. E. et al. J. Am. Chem. Soc. 1964, 962, 3157.

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald…
  2. 細見・櫻井アリル化反応 Hosomi-Sakurai Allyl…
  3. アッペル反応 Appel Reaction
  4. クライゼン縮合 Claisen Condensation
  5. 高井・内本オレフィン合成 Takai-Utimoto Olefi…
  6. 求核置換反応 Nucleophilic Substitution…
  7. クメン法 Cumene Process
  8. グロブ開裂 Grob Fragmentation

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ヒュッケル法(後編)~Excelでフラーレンの電子構造を予測してみた!~
  2. 第15回 有機合成化学者からNature誌編集者へ − Andrew Mitchinson博士
  3. マクコーマック反応 McCormack Reaction
  4. 檜山クロスカップリング Hiyama Cross Coupling
  5. 脱水素型クロスカップリング重合法の開発
  6. メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction
  7. 永田試薬 Nagata Reagent
  8. ハンチュ ジヒドロピリジン合成  Hantzsch Dihydropyridine Synthesis
  9. 国内最大級の研究者向けDeepTech Company Creation Program「BRAVE FRONTIER」 2022年度の受付開始 (7/15 〆切)
  10. 交互に配列制御された高分子合成法の開発と機能開拓

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

実験条件検討・最適化特化サービス miHubのメジャーアップデートのご紹介 -実験点検討と試行錯誤プラットフォーム-

開催日:2023/12/13 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

カルボン酸β位のC–Hをベターに臭素化できる配位子さん!

カルボン酸のb位C(sp3)–H結合を直接臭素化できるイソキノリン配位子が開発された。イソキノリンに…

【12月開催】第十四回 マツモトファインケミカル技術セミナー   有機金属化合物 オルガチックスの性状、反応性とその用途

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

保護基の使用を最小限に抑えたペプチド伸長反応の開発

第584回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

【ナード研究所】新卒採用情報(2025年卒)

NARDでの業務は、「研究すること」。入社から、30代・40代・50代……

書類選考は3分で決まる!面接に進める人、進めない人

人事担当者は面接に進む人、進まない人をどう判断しているのか?転職活動中の方から、…

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP