[スポンサーリンク]

E

エンインメタセシス Enyne Metathesis

[スポンサーリンク]

概要

アルケン-アルキン間メタセシスにより1,3-ジエンを合成する反応。通常はGrubbs第一世代or第二世代触媒が用いられる。結合再配列形式なのでアトムエコノミーは100%となる。

オレフィンメタセシス・アルキンメタセシスと同様に、分子内閉環エンインメタセシスが合成化学的に有用である。エチレンガス雰囲気下で反応を行うとよい場合が多い。

分子間クロスメタセシスも可能ではあるが、化学選択性・位置選択性・幾何異性の制御が若干困難を伴う。

 

基本文献

 

反応機構

enyne_met_3.gif

反応例

Tandem環化反応へと展開することで、複雑な縮環化合物を1ステップで得ることが出来る。以下に例を示す[1]。
enyne_met_4.gif
(-)-Longithorone A の合成[2] enyne_met_5.gif
(-)-Stemoamideの合成
enyne_met_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

All Things Metathesisは、Grubbsが創立したメタセシス専門のベンチャー会社Materiaが運営するブログである。各触媒や反応条件ごとに特長・違いなどをまとめ、検討に役立つ多くの情報を提供してくれている。是非とも参考にしたい。
※ Grubbs触媒は、空気中で秤量できるが、溶媒の残存酸素には敏感に反応してしまう。脱気溶媒を用いると収率面でベター。

 

参考文献

[1] Zuercher, W. J.; Scholl, M.; Grubbs, R. H. J. Org. Chem. 1998, 63, 4291. DOI: 10.1021/jo972279g

[2] Layton, M. E.; Morales, C. A.; Shair, M. D. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 773. DOI: 10.1021/ja016585u

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0123908884″ locale=”JP” title=”Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization”][amazonjs asin=”3527324402″ locale=”JP” title=”Metathesis in Natural Product Synthesis: Strategies, Substrates and Catalysts”][amazonjs asin=”3527306161″ locale=”JP” title=”Handbook of Metathesis (Greim/Henschler: Occupational Toxicants)”][amazonjs asin=”3662141825″ locale=”JP” title=”Alkene Metathesis in Organic Synthesis (Topics in Organometallic Chemistry)”]

 

外部リンク

関連記事

  1. ハンチュ ピロール合成 Hantzsch Pyrrole Syn…
  2. アリルオキシカルボニル保護基 Alloc Protecting …
  3. スナップ試薬 SnAP Reagent
  4. フリーデル・クラフツ アシル化 Friedel-Crafts A…
  5. バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald…
  6. バートリ インドール合成 Bartoli Indole Synt…
  7. ヘイオース・パリッシュ・エダー・ザウアー・ウィーチャート反応 H…
  8. マンダー試薬 Mander’s Reagent

注目情報

ピックアップ記事

  1. アリルオキシカルボニル保護基 Alloc Protecting Group
  2. 「アバスチン」臨床試験中間解析を公表 中外製薬
  3. NHC‐ZnBr2触媒を用いた二酸化炭素の末端エポキシドへの温和な付加環化反応
  4. 第48回―「周期表の歴史と哲学」Eric Scerri博士
  5. 塩野義製薬/米クレストール訴訟、控訴審でも勝訴
  6. 海外機関に訪問し、英語講演にチャレンジ!~① 基本を学ぼう ~
  7. イボレノリドAの単離から全合成まで
  8. 大阪大学インタラクティブ合宿セミナーに参加しました
  9. 【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用
  10. ケムステイブニングミキサー 2024 報告

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP