[スポンサーリンク]

一般的な話題

化学系ブログのインパクトファクター


このブログ「化学者のつぶやき」を立ち上げたのがおよそ3年前。今ではChem-Stationの一大人気コンテンツに成長し、毎日数多くのアクセスを頂いております。

3年前の日本Web化学界を振り返ってみると、しっかりと頻度高く更新されている化学系ブログは、有機化学美術館・分館さんぐらいしか実質無かったように思われます。しかし最近になって、数多くの中身の濃い化学系ブログが増えてきています。ここ数年でのWeb化学の隆盛を見てとることができ、大変喜ばしいことと思えます。

さて、サイトの数が増えてくると、他の化学系ブログはどれぐらい人気があるのか・・・?ということが気になってきます。競争しているわけではなく、それぞれが個性ある記事を公開しているだけなので、比較しようとする姿勢は烏滸がましいとも言えますが、やはり管理者・読者の皆さんならば、少なからず気になる点ではないかと思われます。

自分達で運営している「つぶやき」であれば、自前のアクセス解析である程度わかります。当該サイトがアクセスカウンタをつけていたり、ランキングサイトに登録してあれば、またある程度は推測可能です。しかしそうでもないサイトも沢山あるのが実情です(この「つぶやき」にしても、ランキングサイトに登録はしていません)。一見して、比較は難しそうに思えます。

しかし実は、ネットに転がっているフェア・客観的な数値を上手く拾ってくることができれば、「どのサイトが急成長しているか」「どのサイトが現在人気か」などを、かなりの程度知ることができます。

今回はそんな、(化学系)ブログサイトの人気度を客観的比較するためのアイデアをを紹介してみます。

題して「化学系ブログのインパクトファクター」!

さてさて、もっとも人気のある化学系ブログはいったいどこなのでしょうか・・・?


今回の記事では、以下に示す日本Web化学界における有名ブログ・新進気鋭ブログをエントリーとして取り上げてみます。いずれもしっかりした記事を提供してくれる素晴らしいブログで、それぞれ個性ある書き手がいらっしゃいます。どなたもWeb化学界に少なからず貢献しておられるのは間違いありません。

化学者のつぶやき
ケムステニュース
化学業界の話題
有機化学美術館・分館
科学が変わる、化学が変える
気ままに有機化学
気ままに創薬化学
ユーキの有機化学Hot Topics
ほろ酔い化学者のブログ
若き有機合成化学者の奮闘記
大学教授のぶっちゃけ話

予めお断りしておきますが、この記事は数値を並べたてて「どこのサイトが良い・悪い」と論ずることを目的とはしていません。「Web化学界の現状を把握する上で役立つ、客観的指標を取り上げる」のが主目的ですのでご了承ください。

では以下、具体的な比較指標を紹介してみます。

はてなブックマーク数

webchem_IF_2.gifどのブログ・サイトが人気なのか端的に知れる指標の一つとして、ソーシャルブックマーク数は真っ先に考えうるものでしょう。単純に「皆が気にとめたサイトほどブックマーク数が増える」ので、イメージも掴みやすい指標と言えるのでは無いでしょうか。

ブログのトップページごとに、はてなブックマーク数を取得してみると、以下のようになります(2010年4月13日現在、Google検索+Firefoxプラグインを使って取得)。

1. 「有機化学美術館・分館」=65
2. 「化学者のつぶやき」=49
3. 「大学教授のぶっちゃけ話」=29
4. 「科学が変わる、化学が変える」= 24
5. 「化学業界の話題」=20
6. 「気ままに有機化学」=13
7. 「ユーキの有機化学Hot Topics」=3
7. 「若き有機合成化学者の奮闘記」=3
7. 「ケムステニュース」=3
7. 「気ままに創薬化学」=3
11. 「ほろ酔い化学者のブログ」=2

なるほど大まかな傾向は見て取れるかと思います。
しかしこの指標には一つ大きな難点があります。
はてなブックマークユーザは多くの場合、ブログ全体ではなく、特定の記事にピンポイントでブックマークをつけます。つまり皆が皆、ブログトップページにブックマークしてくれているわけではないのです。たとえば良い例として、「つぶやき」で紹介したClimategate事件の記事 は、はてブのホットエントリに載って多くの人がTwitterで広めたため、この記事だけで1531というトップページより圧倒的多数のブックマークがつく結果になりました。

つまりはてブ数は、指標としてはあくまで大まかなトレンドでしかなく、実際の読者数比を如実に反映したものではないと感じられます。

Google Reader登録数

webchem_IF_3.gif筆者個人が「もっとも現実をよく反映している指標」として提唱したいのが、このGoogle Reader登録数です。

RSSはその性質上、リピーター希望者が購読するものです。つまりGoogle Readerにわざわざ登録するような方は、ふらりと来た一見さんではなく、本当にそのサイトのファンになってくれた人たちの可能性が高いのではないでしょうか。

Chem-Stationではこの指標に以前から着目し、定期的に数値を取得してきました。4月13日現在の登録数は以下のようになっています。

1. 「有機化学美術館・分館」=764
2. 「化学者のつぶやき」=751
3. 「気ままに有機化学」=395
4. 「化学業界の話題」=330
5. 「ケムステニュース」=297
6. 「大学教授のぶっちゃけ話」=278
7. 「科学が変わる、化学が変える」= 177
8. 「若き有機合成化学者の奮闘記」=80
9. 「気ままに創薬化学」=74
10. 「ユーキの有機化学Hot Topics」=73
11. 「ほろ酔い化学者のブログ」=62

もちろんGoogle Reader経由で見に来る人だけではないため、実際のアクセス数・リピーター数はおよそこの数倍になると見積もられます。

Google Reader自体を最近になって始める人も少なくないのでしょう、定期的に眺めてみると、全てのブログで登録数は単調増加しています。

とはいえ、Google Readerを使って情報処理しているような人は、比較的ITリテラシーの高いほうだと感じられます。化学界では現状RSSリーダーが言うほどに普及してないですし、この結果は「化学者達から人気がある」というよりも、むしろ単に「ネットのヘビーユーザに人気がある」と捉える方が適切なのかも知れません。つまり母集団にそもそも偏りがあることは、気に留めておく必要があるでしょう。

Twitterのフォロワー数

twitter.png上記ブログの管理者でTwitterのアカウントを持っているのは現状、有機化学美術館(@KentaroSato)さんとChem-Station(@chemstation)だけなので、幅広い比較はできません。2010年4月13日現在の各フォロワー数は以下のとおりです。(http://twittercounter.com/compare/より取得)

webchem_IF_4.gif
webchem_IF_5.gifですが、この数値がブログの人気度を直接反映しているか?と言うと、正直やや疑問に思えます。

筆者がネットを日ごろ眺めて感じていることなのですが、管理者がTwitterに力を注げば注ぐほど、どのブログも更新頻度が落ちる傾向にあるようなのです。ブログ・Twitterを両方やったことある方なら心理的に理解出来る現象でしょう。Chem-Stationは今のところブログメインで活動していますので、ツイート数自体、未だに1000にも到達しておりません。
とはいえ「フォロワー数が多い=ブログの更新記事・アピールなどを拾ってくれる方が多い」というのは確かですし、ちょっとした記事でも広まりやすいというのは間違いないでしょう。Twitter経由でのアクセスも現状では無視できない数があります。
つまりこのフォロワー数はブログの人気度と言うよりも、「潜在的宣伝力の高さ」を示していると見るのが妥当ではないでしょうか。

Google Ad Planner

Google Ad Plannerは、広告主が出稿サイトを検討するためのツールです。
URLを打ち込むとなんと当該ドメインの月ページビュー(PV)・ユニークヴィジター数(UV)などが軒並み表示されてきます。アクセス数がどこの誰でも分かってしまうという、恐るべきサイトでもあります。これを使って月ごとのPV・UVを調べてみると、以下のようになります(2010年4月13日現在)。

Chem-Station (http://www.chem-station.com/) PV = 320K, UV = 70K 
有機化学美術館(本館)(http://www.org-chem.org/) PV = 93K, UV = 22K
・大学教授のぶっちゃけ話(http://junjikido.cocolog-nifty.com/) PV = 130K, UV = 18K
・気ままに有機化学 (http://chemistry4410.seesaa.net/) PV = 29K, UV = 5.8K

ただ、この方法ではサブフォルダを指定することが出来ません。そのため例えばケムステなら、ドメインwww.chem-station.com以下のサイト全てを総合した値(=「つぶやき」に加えてODOOSケムステニュースなどあらゆるコンテンツを全て総合した値)になっています。さらにレンタルブログの場合は、正確な値が出せません。加えてこの値は月によっても大きく変動します。例えばケムステの場合、ノーベル化学賞発表月の10月はアクセスが明らかに増えますし、学生の訪問者が多いせいか、夏休み期間中はアクセスが少なくなる傾向にあります。

このため直接的な比較は不可能ですし、全くフェアではありません。しかしどれだけのアクセス数を誇るサイトか単純に知りたい場合には、簡単で有効な方法だと思われます。

Googleのページランク

これは10段階しかありませんし、日本語圏だとYahooやAmazonなどの超巨大サイトですら、せいぜい8しかマークできていません。評価指標としては大雑把にすぎる、比較に堪えない値だと思われます。なので今回の記事では割愛いたします。興味のある方は各自で調べてみてくださいね。(ちなみに「化学者のつぶやき」のページランクは4です)

まとめ

以上の数値を総合的に眺めてみると、やはり更新頻度がそれなりに高く、老舗のブログが読者を多く獲得しているという、至極単純な結果が見て取れるように思えます。
有機化学美術館さんはやはり質の高い文章を継続的に書き続けられているだけあって、立派ですね。気ままに有機化学さんもすでに人気ブログの一つですね。城戸先生の「ぶっちゃけ話」はこうしてみると、個人のものとしては相当に人気ブログであることも分かります。
新しいブログは開設して時間が経っていないこともあり、知名度がそこまで高くないのでしょう、ある程度はしかたない結果と言えるでしょうか。どの指標にしても高い数値獲得のためには、やはり分野外読者の目に触れる機会獲得と、リピーターの蓄積が必要に思われます。しかし長年Webを運営してきた身からすると、どのブログも短い運営期間にしてはかなり健闘しておられます。
広く一般の目を惹く化学の記事が増える事は喜ばしいことですね。一読者として、是非今後とも質の高い記事を提供してくださることを、楽しみにしていたいと思います。

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 投票!2017年ノーベル化学賞は誰の手に!?
  2. 機構解明が次なる一手に繋がった反応開発研究
  3. 不斉Corey-Chaykovskyエポキシド合成を鍵としたキニ…
  4. Nitrogen Enriched Gasoline・・・って何…
  5. 三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開…
  6. 色の変わる分子〜クロミック分子〜
  7. アライン種の新しい発生法
  8. 茨城の女子高生が快挙!

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. サクラの酵母で作った赤い日本酒を商品化に成功
  2. 東亜合成と三井化学、高分子凝集剤の事業統合へ
  3. やせ薬「塩酸フェンフルラミン」サヨウナラ
  4. 田辺シリル剤
  5. 抗がん剤大量生産に期待 山大農学部豊増助教授 有機化合物生成の遺伝子発見
  6. ウィリアム・ノールズ William S. Knowles
  7. 2012年イグノーベル賞発表!
  8. 2009年ロレアル・ユネスコ女性科学者 日本奨励賞発表
  9. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (3)
  10. (+)-11,11′-Dideoxyverticillin Aの全合成

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018

「超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018」CEMS International Sy…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP