[スポンサーリンク]

医薬品

リピトール /Lipitor (Atorvastatin)

[スポンサーリンク]

Atorvastatin.jpg

リピトール(Lipitor)は、米ファイザー社が製造・販売する高脂血症治療薬の一種。化合物名はアトルバスタチン(atorvastatin)

  • 歴史・用途

 2006年には全世界で130億ドル(シェア世界第一位)の売り上げを記録している、米ファイザー社が製造・販売する大型医薬品です。HMG-CoA還元酵素阻害作用を示し、血中コレステロール値を低下させます。このため近年急増傾向の成人慢性疾患である、高脂血症の治療薬として用いられます。

 第一三共が販売するメバロチン(プラバスタチン)なども同様の薬理作用により高脂血症治療薬として用いられます。こういった医薬品群を総称してスタチン系薬剤と呼ぶこともあります。

 スタチン系化合物の歴史は、微生物代謝物から単離されたプラバスタチンから始まります。同様に微生物から単離されたシンバスタチンをまとめて、第一世代スタチン系薬剤と呼びます。その後、さらに強力な薬理活性を求め、フルバスタチン、セリバスタチンなどの完全化学合成・第二世代スタチン系薬剤が現れました。現在は、第三世代のアトルバスタチン(これも化学合成品)、ピタバスタチンなどが主軸となってきています。

 2005年には、血圧降下薬ノルバスク(成分名アムロジピン)とリピトールを配合した総合治療薬「Caduet」(カデュエット)がアメリカで発売されました。  

 

  • 関連リンク

スタチン(Statin)のすすめ

Atorvastatin – Wikipedia

スタチン – Wikipedia

  • 関連書籍
スタチンQ&A
医薬ジャーナル社
寺本 民生(編集)
発売日:2001-08
ひと目でわかるスタチン系薬物の薬物相互作用
メディカルパースペクティブス
発売日:2004-10
世界で一番売れている薬
小学館
発売日:2006-12-15
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 不遇の科学者に光を当てる良書
おすすめ度5 高脂血症治療薬にまつわる開発物語
おすすめ度4 突然死の恐怖を避けるために
おすすめ度5 日本人の誇り、新薬開発の貢献者
新薬スタチンの発見―コレステロールに挑む (岩波科学ライブラリー)
岩波書店
発売日:2006-09
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 挫折をいくつか乗り越えた「不屈の精神」
おすすめ度5 スタチンの生みの親への敬意
Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アルファリポ酸 /α-lipoic acid
  2. アントシアニン / anthocyanin
  3. 酒石酸/Tartaric acid
  4. テトラメチルアンモニウム (tetramethylammoniu…
  5. チアミン (thiamin)
  6. 塩化ラジウム223
  7. 緑色蛍光タンパク Green Fluorescent Prote…
  8. アザジラクチン あざじらくちん azadirachtin

注目情報

ピックアップ記事

  1. 天然物の全合成―2000~2008
  2. 来年の応募に向けて!:SciFinder Future Leaders 2018 体験記
  3. かさ高い非天然α-アミノ酸の新規合成方法の開発とペプチドへの導入~中分子ペプチド医薬品開発に向けて~
  4. 胃薬のラニチジンに発がん性物質混入のおそれ ~簡易まとめ
  5. t-ブチルリチウムの発火事故で学生が死亡
  6. 第11回ケムステVシンポジウム「最先端精密高分子合成」を開催します!
  7. 化学のあるある誤変換
  8. 様々な化学分野におけるAIの活用
  9. 金属材料・セラミックス材料領域におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用
  10. 特許の基礎知識(1)そもそも「特許」って何?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年2月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728  

注目情報

最新記事

2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ

2024年10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは、2024年のノーベル化学賞を発表しました。今…

デミス・ハサビス Demis Hassabis

デミス・ハサビス(Demis Hassabis 1976年7月27日 北ロンドン生まれ) はイギリス…

【書籍】化学における情報・AIの活用: 解析と合成を駆動する情報科学(CSJカレントレビュー: 50)

概要これまで化学は,解析と合成を両輪とし理論・実験を行き来しつつ発展し,さまざまな物質を提供…

有機合成化学協会誌2024年10月号:炭素-水素結合変換反応・脱芳香族的官能基化・ピクロトキサン型セスキテルペン・近赤外光反応制御・Benzimidazoline

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年10月号がオンライン公開されています。…

レジオネラ菌のはなし ~水回りにはご注意を~

Tshozoです。筆者が所属する組織の敷地に大きめの室外冷却器がありほぼ毎日かなりの音を立て…

Pdナノ粒子触媒による1,3-ジエン化合物の酸化的アミノ化反応の開発

第629回のスポットライトリサーチは、関西大学大学院 理工学研究科(触媒有機化学研究室)博士課程後期…

第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学,情報科学,実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

光と励起子が混ざった準粒子 ”励起子ポラリトン”

励起子とは半導体を励起すると、電子が価電子帯から伝導帯に移動する。価電子帯には電子が抜けた後の欠…

三員環内外に三連続不斉中心を構築 –NHCによる亜鉛エノール化ホモエノラートの精密制御–

第 628 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専…

丸岡 啓二 Keiji Maruoka

丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP