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第6回HOPEミーティングに参加してきました:ノーベル賞受賞者と夢語り合い

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皆さんは自分が行っている研究を他分野の人にどのぐらい上手に説明できますか?ノーベル賞受賞者と対話したことはありますか?ノーベル賞を受賞するための秘訣を知りたくありませんか? このような思いを現実に体験させてくれるのがHOPEミーティングです。

これは優秀な博士課程学生・博士研究員、そしてノーベル賞受賞者をまじえた学際的な交流ミーティングであり、日本学術振興会(JSPS)によって催されています。今後世界をリードして行く科学者を鼓舞し、同世代の他分野研究者とのネットワークを作ることが主な目的です。交流メインという点で、普通の学術学会とは大きく異なります。今年は3月10~15日まで東京都内のグランドプリンスホテル新高輪で開催されました。

今回は第6回目の開催。参加者の一人であるKyalo Stephen Kanyivaさん(ケニア出身・現在 早稲田大学理工学術院 国際研究センター 助教)から体験記を頂くことができましたので、ケムステでご紹介したいと思います。(HOPEミーティングの詳細についてはこちらを、以前の参加体験記はこちらこちらもご覧下さい。)

※HOPEミーティング中に撮ったノーベル賞受賞者が写っている写真は会の決まりでここに載せる事はできません。興味のある方はwebsiteをご覧下さい。今回の講演はUstreamで観ることもできます。

会の一週間はどう過ごしましたか?

 

もちろんノーベル受賞者の講演を聴いたり、質問をしたりする事ができました。今年参加された受賞者は小林誠先生、Brian P. Schmidt先生、Martin Chalfie先生、根岸英一先生、Richard J. Roberts先生、Gunnar Oquist先生とSuzanne Shale先生でした。

講演以外には、与えられたテーマについて10人程度のグループでディスカッションし、最終日にその結果をプレゼンします。今年のテーマは「Science Meets Society」でした。このテーマは科学者が社会にサイエンスを伝える際に直面する問題点および解決法を考えさせるものでした。最終日の午前中にはパワーポイント、ドラマと質問形式のプレゼンが行われ、大変面白くて勉強になりました。

私のグループの参加者の国籍は日本、オーストラリア、モンゴル、インド、タイ、台湾、中国とケニア(私)の国際的なチームで、研究分野もお互い違いました。一日目はお互いの英語が伝わりづらくディスカッションがほとんど出来ませんでしたが、日々理解出来るようになって最終日には立派なプレゼンが出来たと思います。

6th_HOPEmeeting_2

グループプレゼンの準備中です。

HOPEミーティングの参加者には初めて日本を訪ねる外国人が多いので、日本文化体験と施設見学などのプログラムも含まれています。プログラムは全て英語で行われ、学生とポスドクの参加者全員が自分の研究についてポスター発表をしないといけません。発表内容は分かりやすいものを作る事をおすすめします。

 

HOPEミーティングにはどんな人が参加できますか?

アジア・太平洋地域とアフリカの博士課程・ポスドクなら誰でも応募できます。実際の応募は8月頃に始まり、12月上旬に選考結果の通知・公表がされます。今年の参加者は110人、19ヶ国からで、私が参加した国際学会の中では最も多くの優秀でユニークな人間がいました。日本からの応募者は多いと思われるかも知れないですが、スタッフに聞いたところでは昨年は少なかったみたいです。参加したい学生・ポスドクは積極的に応募してみて下さい。人生のターニングポイントになるかもしれません!?

 

参加者と交流してどんな経験が得られましたか?

私は国際体験が豊富ですが、HOPEミーティングに参加しようと思ったのはノーベル受賞者と実際に会って話してみたかったことと、他分野の優秀な研究者とお互いに研究の議論をしたかったことが理由です。研究室にいるとなかなか他分野のホットな研究課題を知る機会が少ないですし、自分で勉強しても理解できない事が多いでしょう。HOPEミーティングの参加者は研究意欲が高くて、多分野の研究課題に興味を持っている事を認識できました。分野が違えば聞かれる質問の質も変わるし、自分の分野の理解度を改めて考えさせられます。今回の参加者の分野は主に「医学、化学、生理学と物理学」だったのですが、議論に最も困った事はやはり専門用語でしょう。一般の学術学会では質問されてもいくらでも答えられるかも知れませんが、他分野の研究者とのディスカッションでは使う用語を適度に選ばないとコミュニケーションできないです。簡単な用語を使いすぎると「そのぐらいは分かるよ」と言う表情をされるので、困るときもありました。

 

ノーベル賞受賞者についてどう思いましたか?

ほとんどのノーベル受賞者は非常に慎ましく、受賞後でも研究に熱心です。彼らは研究についてはもちろん、生活経験も喜んで参加者と共有してくれました。チームディスカッションでは色々な質問がなされ、様々な答えも聞けました。例えば、博士学生はどのようにポスドク先を探せば良いのかとか、応募願書の書き方などのアドバイスも聞けました。私はミーティングの5日目にRichard J. Roberts先生とMartin Chalfie先生を含む6人の参加者とお酒を飲みながら夕食をする機会がありました。夕食時に彼らが現在の研究分野を選んだ理由、ポスドクまでの研究が思う通りに進行しなくてどれだけ困ったかとか、ノーベル賞を受賞した時の喜びなどについて聞けてとても良い経験をしました。

 

研究以外では、どんな体験が出来ましたか?

HOPEミーティングでは日本の文化を学ぶ特別なプログラムが設けられます。今年は書道、生け花と着物の体験がありましたが、私は生け花を体験しました。下に私の生け花の写真がありますが、思っていたより奇麗に飾る事が出来ませんでした。生け花を学んだのは初めてでしたが、生け花は自然と人間が一緒にされている規律の芸術形式であることを教えられ、興味深いものと思いました。

6th_HOPEmeeting_3

初体験できた生け花

6th_HOPEmeeting_4

外国人の着物体験。美しい!

また、物質・材料研究機構(NIMS)高エネルギー加速器研究機構(KEK)という、日本の誇る研究施設を見学する機会もありました。

最終日の夜はちょっとした「大晦日」です。参加者同士がお互いの研究とキャラクターを分かり合った喜び、全てのプログラムを終えた達成感、ミーティング中に出来た仲間とこれから会えないかもしれない寂しさの融合によって生まれる奇妙なテンションで「Farewell dinner」に参加してお酒を飲みますが、想像以上の盛り上がりとなります。希望者には皆の前で母国の歌や一人漫才を披露して皆を楽しませるという機会も設けられます。今年はインドと日本の歌、日本空手道の型の披露もあって非常に楽しかったです。私自身は司会を務めさせていただきましたが、外国人参加者に日本の文化を体験させてあげようという強い想いで頑張ってしまい、気がついたら二次会に突入していました。

 

参加した後は?

HOPEミーティングのプログラムに参加した人は「JSPS HOPE Fellow」に任命され、今後もJSPSからメールで色々な情報が受け取れます。ミーティングで作られる学際的なネットワークは研究面に限らず、将来ずっと役に立つと思います。昨年からはFacebookグループ(グループ名はHope Meetings Jspsです)も作られたので、ミーティングの後も友達とのやり取りがより簡単に出来るようになっています。

 

最後に、参加したい人にアドバイスがあれば教えて下さい。

応募したい人全員に言えることですが、書類を全て英語で書かないといけないので、早めに準備をはじめておく方が良いです。特に化学者に言えることは、大体の人(他分野の多くの科学者を含めて)は化学の記号を見ると逃げてしまうので、上でも書きましたがポスター発表の内容は工夫する必要があります。

最後にこのような貴重な体験ができるようにチャンスを与えてくれたJSPSに心から感謝致します。一生に一回しか参加できないHOPEミーティングですが、一生の素敵な思い出を持ち帰りました。どうも有り難うございました。

 

いかがでしたか?

このような貴重な体験がなんと日本国内で持てる素晴らしい会合・HOPEミーティング、是非とも積極的に応募してみてはどうでしょうか。次回は貴方も参加者の一人になっているかもしれませんね。

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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